初フレンド
スクール水着に忍者頭巾の細マッチョ……まだだ、まだ声を聞いてないから分からない……
あまりにも衝撃的な見た目でどこから突っ込むべきかとも思ったけどこの異質さ……この人に話しかけてみよう
「あの……うぉっ!」
スク水頭巾の人に話しかけたら自分の声が男性と女性の声が混じった感じの声になった。そういえば最初にプライバシー設定を最強にして声も変わる様にしてたんだっけ……こうなるのか
「ん?私か?」
あ、男の人だ
「はい、ちょっとお尋ねしたい事がありまして……」
「ほう?私に?」
僕が謎のスク水頭巾の人に話しかけたら周りの人がザワザワし始めた。ちょっとここで話し始めるのは邪魔が多いな……でも宿の場所を聞くだけだし、良いか
「あの、何処か宿とか知りませんか?」
「宿ですか?安くても良い?」
「はい、ログアウトしたいだけなんで安くても良いです」
「おや?ひょっとして熟睡ボーナスの事は知らないのかな?」
「熟睡ボーナス?」
この人見た目は凄まじく独特だけどひょっとして凄い良い人かもしれない
「良い宿とか良いベッドで寝てログアウトすると次ログインする時に経験値にボーナスが入ったりするんだよ。だから泊まる宿は出来れば良い宿に泊まった方が良いよ?」
「へぇ……良い情報ありがとうございます。でも僕そこまでお金持ってないんで安宿で良いです」
「なら、私も使っている宿で良かったら紹介しましょうか?」
「お願いします」
「では行きましょう」
恰好は変態っぽくても中身は普通の人だこれ。なら今まで人ですらない皆と喋っていた僕にとってはずっと話しやすい相手かもしれない
スク水頭巾の人と街を一緒に歩くとザワザワと騒がしいけど僕達の周りには誰も近寄ってこない。なんだろう、モーゼ的な?
(君、そこの角を曲がったら走るぞ)
「えっ?はい……」
スク水頭巾の人の声が耳からでは無く、頭の中から聞こえてくる感覚がある。これはひょっとしてウィスパーチャットって奴かな?初めてでこんな風に聞こえてくるとは思わなかった。これどうやってやるのかな?
とりあえずやり方は後で聞くか自分でヘルプメニューでも見て覚えよう
スク水頭巾さんと一緒に歩いて角を曲がった時にスク水頭巾さんが走り出したので僕も合わせて走り出す。結構この人速いな?置いて行かれそうだ
後ろからガヤガヤした声も聞こえてきたけどどうしよう?置いて行かれそうだし、イドとエゴも装備しようかな?
「おっと、少々速かったかな?」
「いえ、何とかついていけます」
路地を走り、木箱なんかもパルクールの確かモンキーヴォルトだったかな?跳び箱の様に飛び越えたりしてスク水頭巾さんを追いかける
イドとエゴは装備せず、スク水頭巾さんについて行くと後ろからの追いかけてくる様な雰囲気は無くなった
『スキル 【パルクール】 を入手』
なんだ?本当にパルクール取れたぞ?とりあえず確認は後にしよう
「追いかけられるとかひょっとしてあなたは有名人とかなんですか?」
「ん?君は掲示板とかは見ない派か?」
「掲示板……見ないですね。何も無い手探り感が好きなんで」
「それは中々凄いな?とりあえず名乗っておこう。私はハスバカゲロウだ」
スク水頭巾改めハスバカゲロウさんが名乗りながら右手を差し出してきた。なので、僕は握手して返答する
「僕はハチです。よろしくお願いします」
握手をしたらハスバカゲロウさんが少し笑ったような気がした。頭巾を被ってるから実際は分からないけど
「君は見た目で判断しないんだな?」
「ゲーム内の見た目だけでは判断出来ませんし、話してみないとその人の事なんて分からないですからね?」
イケメンなキャラ、可愛いキャラ、カッコイイキャラ、面白いキャラ……現実とどれくらい見た目を変えても中身はそこまで変えられない。ロールプレイをする人とかならまた変わってくるだろうけど、ゲームだからと自分の本性の部分が隠しきれない人とかもいるだろう
「なるほどな……君さえ良ければフレンド登録しないか?」
「フレンド登録ですか?良いですよ。僕の初めてのフレンドです。えっと、フレンド登録はどこだっけ?」
「私が初めてのフレンドで良いのだろうか?」
僕がメニューを開いてフレンド登録を探している間もハスバカゲロウさんは少しオロオロしながら僕の初めてのフレンド登録を拒否しようとしている。自分からフレンドになろうって言ってきたのに……まぁもうフレンド登録は見つけちゃったからこっちからフレンド登録送っちゃうもんね!
「さぁフレンド登録受け取って下さい!ハリーハリー!」
「わ、分かった。ハチ君?ちゃん?プライバシー設定で声も顔もよく分からないから君をどう呼んだら良いんだ?」
あぁそっか、こうなってくるとちょっとプライバシー設定も面倒だな……あれ?よく見たらフレンドのみプライバシー設定オフにする事も出来るんだ。やっとこ
「あ、あー、これでどうですか?」
「おぉ?プライバシー設定を解除したのか?」
「フレンドのみ解除っていうのがあったので、それをしました。僕の素顔と声が聞けるのは今の所ハスバカゲロウさんだけですね」
「なんか罪悪感が出てきたな……とりあえずハチ君。宿屋に案内しよう」
「はい、よろしくおねがいします!」
何故か僕の方がハスバカゲロウさんを困らせている様な状態になったけどとりあえず宿屋まで連れて行ってもらおう




