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村からの旅立ち

 正直一瞬だったフリーフォールで心臓バクバクになったけど何とか表に出さない様に努めた


「大丈夫か?ハチ?」

「あぁ、姫様……ちょっと足がガクガクしちゃってるよ……」

 3人の所から姫様の所に戻ってちょこっとだけ愚痴をこぼす。地上に戻って歩き出した時は少し歩くのがぎこちなかった


「明日にはハチも旅立つだろう?だから皆も寂しいんだ。もちろん私も……」

「そっか、僕も寂しいけどもっと広い世界を見てみたいんだ。大丈夫、絶対帰って来るからさ」

「あぁ、泉を見つけたらその度に帰って来ても良いぞ!」

 ヴァイア様の厚意をフルに使えと言っているみたいだ


「毎回はちょっと大変かなぁ……でも出来るだけ帰って来るようにはするよ」

「あぁ!約束だ!」

「うん、約束だね」

 出来るだけこの村には冒険しても顔を出す様にしよう。さて、そろそろ時間かな




 宴会も朝日が出てきた事で終わりを告げる

「さて、ハチよ。朝日も出てきたし、行くか?」

「うん」


 ここに来た時と同じようにアトラさんがあの湖まで送ってくれるらしい。村を出る前に皆に別れの言葉を言おう


「森で迷ってアトラさんに連れて来てもらったこの村で色んな出会いがあった。色んな事を教えてもらった。皆のお陰で強くなれた」

 思い返せば初めに棒を倒して行先を決めたところから始まった僕の旅。でもこの村は決して終着点じゃない


「でも僕はもっと世界を見てみたい……だから行くよ!」

「「「「「……」」」」」

 沈黙が帰って来る。だけどこの前の様に逃げ出したりしない。だって、皆は……


「そうだな!ハチ!行ってこい!」

「今度帰って来る時はどうせならもっと強くなって帰って来いよ?」

「ぽよっ!ぽよぽよっ!」

「今回は邪魔しない。行ってこいハチ!」

「「「ご武運をー!」」」

「兄さんが居ない間はおらぁが村を盛り上げまっせ!」

「ハチー!帰ってきたら遊んでねー!」

「ハチさん。頑張ってください!」

「むふふっ!帰りたくなったらいつでも帰って来るが良いさ」

 村の皆は僕の事を応援してくれるんだ。だから僕も胸を張って村を出るんだ


「まぁそのなんだ……頑張ってこい!」

「…………!」

 さっき何処かに走り去っていったヘックスさんも戻って来てエールをくれた。隣にはピュアルが並んで立っている。うん、やっぱり凄く絵になるなぁ……


「じゃあ皆、行ってきます!」

「「「「「「「「「行ってらっしゃい!」」」」」」」」」

 村の中央で皆に見送られながらアトラさんの背中に乗る


「行くぞ」

 アトラさんが猛然と走り出す。名残惜しんでゆっくり進まれるよりもこのくらい思いっきり走ってくれた方が踏ん切りもつく




 アトラさんの背中に乗って移動するけどやっぱり木の多い所を進むせいか視界が悪い。それでもアトラさんが速いから目を閉じてしっかりアトラさんにしがみ付く

「おう、最初の頃に比べたら随分力強くなったもんだ」

「とりあえずもう少し障害物が無い所行けないんですか!?」

「そりゃ無理だな!カッカッカ!」

 ガサガサと木々の間を走り抜けるアトラさん。枝も中々痛いけど我慢できる痛さだ




「よっしゃ着いたぞ!ハチ」

「おぉ、なんか既に懐かしい湖だ」

 アトラさんと初めて出会った湖に戻って来た……戻って来たは良いけど、街はどっちだ?


「その顔……さてはどこに行けば良いか分かってないな?」

「はい……」

 決して方向音痴では無い。ただ目的地が分からないだけだ


「良いか?ここをずっと真っ直ぐ進むんだ。ハチなら出来るだろ?」

「あの……獣道すらないんですが……」

 アトラさんに提示されたのは獣道すら無い森。ここを真っ直ぐ進むなら【登攀】とか使わないと大変そうだ


「そりゃそもそもここは普通は見つからない所だからな」

「へぇ、そうだったんですか」

 この湖ってもしかして隠しエリア的な所だったのだろうか?


「ハチ、ちゃんと覚えてるよな?儂たちの事は……」

「誰にも教えない。ですよね?」

 この約束は絶対に忘れない。皆の為にも僕の為にも


「そうだ。じゃあ冒険してこいハチ!」

「行ってきます!アトラさん!」

【リインフォース】を発動してアトラさんに示された方向に走り出す。幹を蹴り、木の上を飛び跳ねながら進む。後ろは振り返らない


 草で生い茂る地面を走るよりも木の上を走ったり、跳んだりした方が速い

「大分慣れたな?」


 木の間を跳ね進む事に慣れてきて結構良いペースで進んでいる。段々木も減ってきたからそろそろ森を抜けれそうだ


「やーっ!」

「そりゃっ!」

「コケーッ!」

 森を抜けそうになったところで人の声と何か敵対している声が聞こえた。多分鶏かな?ギリーマントと【擬態】を使って森を抜けきる直前で木の上から声のした方を見る


「おぉ、見るからに初心者っぽい」

 偶然見かけた女の子2人組は片方が大きい斧を、もう片方が杖を使って鶏と相対していた。でも2人とも若干腰が引けているが、斧の質量を用いた振り下ろしが鶏に当たり、鶏がポリゴンと化した


「やったー!倒したー!」

「素材も取れたし、これでクエスト完了だね!」

 ん?死体にナイフを刺さなくても素材を取れるのか?んー、でも見た感じ僕より年下っぽいし、子供向けにその辺が考慮されているのかな?それにクエストって言った?


「あの子達には悪いけど道案内係として街まで連れて行ってもらおう」

 非常に申し訳ないけど話しかけるのもちょっと面倒だし、追跡して街まで連れて行ってもらおう



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― 新着の感想 ―
[一言] 約七十話にしてとうとう人に! あう! ストーカー? 違いますよ? 会場まで人の流れに身を任せる的なあれですよ? ギリーマントに驚かれるのが面倒とか。どこからどう来たとか。根掘り葉掘りれるのが…
[一言] 初プレイヤー遭遇!そしてストーカー!!
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