アトラさんとの約束
「いやー美味い!良い酒だ!」
「ふむ、これ美味いな?」
「…………!」
ドナークさんとヘックスさんがワインを飲んでピュアルが注ぐ。中々のピッチで既に空き瓶が数本転がっている
「うん、ジューシーな良いお肉だ!」
「「「美味しい!」」」
姫様とゴブリン達が多分フロッカウのステーキを食べて舌鼓を打っている。後で僕も食べよう
「お前らサラダも食えよー、せっかく作ったんだからよー!」
「ぽよっ!」
ワリアさんとちのりんがサラダを両手に持ちながら皆の周りを回ってオススメしてる。あれはちのりんは買収されて運んでいるのか自分から進んで運んでいるのか……どっちだろ
「わー!綺麗ー!」
「こら、はしたないからもう少し落ち着きなさい」
「まぁまぁ、楽しんでるんやからええですやん?」
ホーライ君が空中に浮かんでいる光の玉を突いているのを見たパーライさんが咎めるけど、宴会だから良いじゃないかとミミックさんはホーライ君の肩を持つ。まぁホーライ君はミミックさんを持ち上げながら光の玉を突いているから肩を持つ(物理)状態だ。でもミミックさんも楽しんでいるから……まぁいいか
「悪いなハチ。宴会を開いたけど大事な話があるからな」
「なに、話だけだ。さっさと済ませよう」
アトラさんとヴァイア様が真剣な表情で話しかけてくるので僕は皆が楽しんでいる宴会を見ているだけだった
「で、お話ってなんです?」
「これからの話なんだが……我々の事は他言無用。ハチの力や持っている装備も秘密にしてくれ」
「ハチの様な自分を持っていない奴がこの村に来るのは迷惑だからな」
「自分を持っていない?」
「要は人の真似しか出来ない奴がハチみたいになりてぇってこの村の全員に迷惑を掛ける可能性があるからな……断言できる。ハチの様な旅人はまず、居ない。だから誰にも儂らの事は言わないで欲しい」
アトラさんにそう言ってもらえるのは嬉しいんだけど……人真似しか出来ないのは僕も一緒なんだけどね……映画とか格闘ゲームで見た技を真似して使っているだけだし、人の真似しか出来ない奴って言われて少しドキッとしてしまった
「僕の事を買い被り過ぎな気もしますけど、約束は守ります。誰にも皆の事は言いません」
実際は人真似しか出来ない僕でもこの約束は絶対に守る。それが出来なきゃ僕には皆に貰ったアストレイ・オブ・アームズもアストレイ・オブ・アミュレットも装備する資格が無い
「よし!それでこそだ!さぁ飯だ!酒だ!」
「はい!よーし!食べるぞー!」
アトラさんからの許しが出たから宴会にレッツゴーだ!
「アトラよ、ハチならば聞かなくても返事は分かっていただろうに……」
「分かっていても直接聞きたいだろ?」
「まぁ……そうだな」
肉やサラダを食べるハチを見ながらうっすら微笑むヴァイアとアトラ。だが、ハチは食事に夢中でそんな2人は見えていない
「さぁ、私達も宴会に参加しよう!」
「おう!おーい!儂の分の酒もくれー!」
そしてやっと全員参加で宴会が始まった
「あぁハチ?楽しんでるかぁ……?」
「おっと、ヘックスさん?もしかして酔ってる?」
「まさかぁ?オリジンゴ~レムの私がぁ、酔う訳ないだろぅ!」
はい、確実に酔ってますね?
「多分ずっと飲んでなかったから飲み過ぎたとかなんだろうなぁ……」
あんな山の上でお酒とか飲みまくるヘックスさんをイメージ出来ないからきっとそうだろう
「とりあえず、お水でも飲んでください」
「ん~?お酒かぁ~?」
「あ、だめだこりゃ……酔ってる方が楽しいかもしれないけど僕の勝手なヘックスさんへのイメージを守る為に……レスト」
酔って楽しんでいる所をぶった切る事になっちゃうけどレストを掛けてヘックスさんを休ませる
「…………!」
ピュアルがお辞儀をして感謝している気がする。一応マスターの痴態を止める事を協力したからかな?
「おーい!ピュアルー!もう一杯ちょうだい!」
「……!」
あぁ……ドナークさんに引っ張られた感じかぁ……ピュアルも頼まれたらお酌を拒否出来なさそうだし、ドナークさんの方は……放っておいても良いか
しっかり30秒間休息状態になったヘックスさん。一応泉の縁に座ってヘックスさんが起きるのを待つ
「ん……私は何を」
「おはようございますヘックスさん。お酒をお楽しみ中の所悪いと思ったんですが、その……酔っぱらっていたんで回復魔法的なので酔いさましを……」
そこまで言った所で口をヘックスさんの手で抑えられた
「うおぉぉぉ……」
両手で頭を押さえて顔が真っ赤なヘックスさん。これは今声を掛けないのも優しさだろうか?
「じゃあ僕はサラダでも……」
「ハチ!これをやるから他の奴らには黙っておけよ!」
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『【違法改造】アクティブスキル 自身が作り出したアイテムにマイナス効果を付与する事で性能を向上させる事が出来る』
恥ずかしそうにヘックスさんが何処かに走り去っていくけどとんでもないモノを置いていった
「何て物を……」
サラダを食べながらヘックスさんが走り去っていった方向をぼんやり見る
「言うつもりは最初から欠片も無いんだけどなぁ……?」
けど、かなり凄いスキルを貰っちゃったな?その内試してみよう。おぉ!サラダうまっ!




