シロクマ戦
「グガァァァ……」
鼻を押さえて痛がるシロクマ。手を退けるとシロクマの鼻が縮んでいた。なんか凛々しい熊!って感じがマスコット的なくまさん……みたいになってしまった
「ふっ!」
掌底を一息で3発。胴体に撃ち込む。凄い、現実じゃ3発をこのスピードで撃ち込むのは僕には無理だ。ゲームっぽくというかいよいよ人間辞めてきた感出てきた
「ゴパァ!?」
掌底を3発撃ち込んだけど【パシュト】のお陰でもう3発分、計6発分の攻撃を胴体に喰らっている。【オーガン・ブレイカー】の効果で内臓にも深刻なダメージが入っている為か口から赤ポリゴンが出てくる
「グゥガァァ!」
胴体に受けてノックバックしたのか距離が少し開いた。すると反撃とばかりにシロクマが口から氷柱を沢山飛ばしてきた。まるでショットガンみたいだ……って
「これ流石に避けきれないかも……」
中々濃密な氷柱弾幕でスローな世界でもすべて避けるのは中々大変だ……
ゆらゆらと重心をずらしながら氷柱を躱す。【受け流し】をしようと氷柱に手を伸ばすと……
「うおっ!?バチバチしてる!」
白と紫の雷が体の表面を駆け巡り、受け流そうとした氷柱はバチィ!と弾かれる。他にも沢山氷柱が飛んで来るけど雷が勝手に氷柱を弾き飛ばす。これが【電磁防御】……効果時間は30秒だっけ?今の内にまた距離を詰めよう。にしても身体能力上がってるからなのか雪の中でも中々動けるなぁ?
回避運動をやめてシロクマに近寄るとバチバチと音を立てながら氷柱を弾いていき、シロクマの目の前まで辿り着く。その頃には氷柱ショットガンの攻撃も止んでいた
「もう一度!」
今度は掌底6連打。力士の突っ張りの様かもしれないけどかなりの速度で撃ち込んだので他の人から見たら3~4回撃ち込んだかなぁ?くらいに見えるかも
衝撃が内部に響く様に撃ち込んだ掌底6連打はパシュトの力で12連撃となる。今回はおよそ心臓がありそうな場所に対して6発撃った
「ゴボォ……」
「うぎゃっ!?」
致命傷として入ったのかシロクマは口から更に赤いポリゴンを吐き、力尽きたのか倒れた。やっぱりこれだけ至近距離で戦っていたせいか力尽きたシロクマの下敷きになった。めっちゃ重くて苦しい……HPがどんどん減っていく
「むごっもごもご……」
雪のお陰で地面とのサンドイッチでペチャンコになって即死……とはいかなかったけど窒息しそうだ
全く動かなくなったシロクマに押しつぶされながらも雪を何とか掻き分け、背中に手を伸ばす。背中に手が触れると泡沫バッグが出てきてそのままシロクマを包む。動くのも大変だった重さがフッと無くなり、シロクマが消えて背中には水の球……泡沫バッグがついていた
「助かった……せっかく倒したのに死体に殺されるところだったよ……」
押しつぶされて少し焦っていたけどナイフを使えば死体自体消えたからそっちの方が……待て待て、ドナークさんに持っていく素材としてこのシロクマはかなり良い物だからこれが正解だったんだ。HPがレッドゾーンまで行ったけど死んで無いし、良い素材が手に入ったんだからこれで合ってたんだ
「ふぅ……安心したら冷えて来ちゃった。足跡は……良かったまだ消えてない」
雪が降っていたけどまだ足跡が消えていなかった為、迷わずに帰る事が出来る
「よし、帰ろう!」
たったの1戦とはいえ、たぶんこれ以上ここに居ても迷ったり、寒さに耐えられなくなるかもしれない。欲張っても良い事も無いだろうし、帰ろう
「こういう所は歩かないとやっぱり跡が残らないから紫電ボードで移動しなくて良かった」
遭難して村に帰れないのが一番悪い。生きて下山出来てもここ何処?ってなるのが怖い。足跡付けててよかった……
レッドゾーンに入っていたHPもじわじわ回復している。これアミュレットが無かったら確実に死んでたね?
登って来た崖に向かい歩いていく。降りるのも中々大変だ
「降りる……ってより落ちるなのかな?」
崖に張り付く、手足を離して落ちる、また張り付くというラぺリングもビックリな降り方で山を下りる
「ここまで来たらもう分かるぞ」
山を爆速で降りてきて猪豚くんが居た辺りまで戻って来た。ここまで来ればもう迷わないぞ
「あぁでもお腹減ってるから何か木の実食べてから村に戻ろう」
空腹度が結構減っていた。寒いとお腹が減りやすいのかな?
レモンジの実とかブドープの実を食べて空腹度を回復する。果汁がジューシーで美味しい
「美味しいけど……またアユとか食べたいなぁ……」
村に来る前に食べた焼きアユチバリスとかまた食べたくなった。お肉というより今の気分はお魚だ
「シロクマをドナークさんに届けて……あぁでもログアウトしちゃうか。うーん、でもまた山登りする前にアユを取って行っても良いかもしれない」
アユを釣って山の山頂で岩塩を削って振りかけて塩焼きを食べる……おぉ、凄く良いかもしれない!
またログインしたら木材とアユチバリスを取りに行こうと心に決めつつ、村に戻った




