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ステーキの対価

「それにしてもこんな美味いソースの作り方を教えてくれてサンキューな!」

「僕としては醤油とか塩とかの調味料をどうやって手に入れてるか知りたいですがね……」

 せめて塩があればあの時食べたアユチバリスを塩焼きで食べられるから結構入手先が知りたい


「大半はワリアが畑で作ってるぞ?塩は村から少し離れた所に岩塩が取れる岩場があるんだ。私の家から一番近い村の出入り口を真っ直ぐ進んでいけばその岩場に着くから」

「ほほう?それは貴重な情報を貰っちゃった」


 ワリアさんが畑をやってたのは知ってたけどまさか醤油とか砂糖まで作っていたとは……それに岩塩の入手先も知る事が出来た。この前の探索で僕はその岩場を見つけられなかったからもう少し遠くなんだろう


「ありがとうございますドナークさん」

「いやいや、私こそこんな美味いもん食べられたしそれにソースの作り方も教えてもらったからな!そうだ!これやるよ!」

 ドナークさんが何かを手渡してきた。何だろう?これ?


『水蛇乙女のブローチ を入手』


 ---------------


 水蛇乙女のブローチ


 レアリティ エピック


 DEX +80


 耐久値 180%


 特殊能力 身体系状態異常耐性付与

 水蛇乙女の鱗に細工し、乙女の絵柄が施されているブローチ。水蛇乙女の状態異常に対する力がこのブローチにも宿っている


 ---------------


「これは?」

「暇な時に私の鱗で作った物だけど自然に落ちた物を使ったから気にすんな」

 気にすんなじゃないんだよなぁ……


「暇な時に作ったってこれドナークさんが自分で作ったんですか?」

「あぁ、良く出来てるだろ?」

「結構細かいのに細工が凄い……こんな物まで作れるんですね……」

 実際この鱗に彫るにしても乙女を描くってかなり大変だ。ドナークさんって実はめっちゃ器用なのかもしれない……


「ありがたく貰います」

「ステーキソースの情報は私以外でも使えるからな。このくらいの礼はさせてくれ」

 そんなソースの情報って良かったのかな?他にもソースの種類があるし、紙とメモが有ったら作り方書いておこうかな?他の素材があればだけど


「とりあえず僕は休みますけど、これ以上今日食べるのはやめておいた方が良いですよ?」

「わっ分かってるって!おやすみ!」

「おやすみなさい」

 腕を組んでプイッとそっぽを向いてしまうドナークさん。流石にあれだけ言っておけば僕が居ない間でも食べ過ぎる事は無いと思う


 ドナークさんの家を出て、僕が泊まっていた空き家に向かう。あっ、アトラさんまだ居るかな?


「アトラさーん」

「おっ?おう、どうした?」

 丁度村の真ん中あたりで縮まっていたアトラさんを見かけたので声を掛けた


「さっき物を預けたじゃないですか?」

「おう、そうだが?」

「これもお願いします」

 さっき貰ったブローチもアトラさんに渡す


「……ほう?これはどうやって手に入れた?」

「兎肉のステーキの焼き方とステーキに掛けるソースの作り方を教えたらドナークさんがくれました」

「ほう?作り方を教えたと?」

「ステーキくらいなら簡単ですからね。教えるのも楽でしたよ?」

 ドナークさんかなり器用みたいだし、言葉使いは多少荒いけど覚える為にしっかり色々聞いてたからあれはしっかり作り方を覚えただろうなぁ


「あんまりにも美味しそうに沢山食べていたんで注意はしたんですけどね……太っちゃうよって」

「カッカッカ!それは要らぬお節介だな!」

 確かに女性に対して太っちゃうは失礼だったかも


「今度から気を付けないとなぁ……」

「まぁアイツもそこまで気にしておらんだろう。あの量を全部今食べるとなればそれはアイツの方が悪いからな。とにかくこれも預かっておこう」

「じゃあ僕は寝ますね」

「あぁお休み」

 僕も現実でご飯を食べる為にも一旦ログアウトだ


「さて、ご飯だご飯。ログアウト」




 現実に戻って来てお昼ご飯や課題をやる。課題をやり忘れて夏休み後半に溜まって地獄を見たくないからね……


 ご飯だ家事だ課題だと用事を済ませてまたアルターにログインする




「朝だねぇ……今回はどうしようかな?」

 人形のパーツでも集めてみようかな?


 パーツ集めするならヴァイア様の所に行って聞いてみようかな?アトラさんと多分知り合いみたいだし、何か知ってるかもしれない。でも流石に何か手土産くらいは持っていきたいなぁ……


「ヴァイア様もドナークさんも蛇っぽいし兎肉のステーキがあれば喜んでくれるかな?」

 まぁだとしても僕の手持ちに調理セットとかは無いからドナークさんの所で調理させてもらわないと


「さて、じゃあ行きますか」

 とりあえずの行き先はドナークさんの家だ




 コンコンコンとドアをノックする

「あーい……おうハチ?どうした?」

「おはようドナークさん。昨日の兎肉のステーキってまだ余ってる?」

「一応1枚だけあるけど……これは私の朝ごはんだぞ!」

「それ1枚だけって……昨日僕が帰った後に食べたね?」

「うっ……」

 やっぱり食べたか……まぁ朝ごはんを奪う訳にもいかないしちょっと好みとか聞いてみようか


「ねぇ、ドナークさん?好きな食べ物の好みとか教えてもらえる?」

「ん?そんな事聞いて……まさか私の朝ごはんを取って来てくれるのか?」

「ドナークさんは少し我慢してね。山の麓の洞窟の所に居るヴァイア様の所に何か持っていきたくてね?」

「ヴァイア様……なるほどな。それならカエル肉なんか良いかもな?」

「カエル……どこに出てくるんだ?」

「昨日教えた岩場があるだろ?その奥に小さな沼があるんだ。そこに居るぞ?」

 んー、やっぱりまずはもっと探索をするべきかぁ



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