クライミング
「せっかくならあの切り立った崖の所でも行こうか。【登攀】を信じれば行けるはずだ!」
ロッククライミングでもして山を登ってみよう。あの崖の上なら良い感じの景色が見られるかもしれない。そういえばこっちだと外の景色を見ても頭がクラクラしたりしないなぁ?今度眼鏡外して出掛けてみようかな?
「レッツ、クライミング!なんてね」
わざわざ険しい道を進むのは短時間で少しでも高く進む為だ。なだらかな坂道を歩いてあがるより、【登攀】を持っている僕なら切り立った崖を登った方が速い
「中々登りがいがある崖だなぁ」
切り立った崖でもスイスイ登れる。これはやっぱり素晴らしいスキルだよ
「ちょっと休憩しよ」
崖の中腹で座れそうな場所があったので腰かける。これ高い所が怖い人とかだと大変かもね?
10分くらい休憩してから崖をまた登る。さて、この先に何があるかなぁ?
「到着!」
崖を登り切り、ちょっとした広場の様な場所に着いた。遮るものが無いから絶景ポイントだな!
「おぉ!木の実も結構ある!」
この前ゴブリン達に放出した木の実が少し離れた辺りの木になっている。貰っていこう
「少しは残しておいて……ん?」
木になっている木の実を取っていたら下の方で何か4足の生物が歩いていた
「フゴフゴッ」
猪……いや、豚かな?どっちでもまぁ一緒か。木の上から奇襲してみよう。悪いね?今回は食材を集めて帰ろうと思ってたから君には肉になってもらう!
「プギュ!?」
木の上から豚(?)に着地するように飛び降りる。驚いた様に声を上げる豚に蹴りを3発程入れてから飛び退く。そうだ、そういえばアレが出来るかどうかはまだ確認してなかった
「プギィィ!」
「リブラ!INTとDEF!」
突進してくる豚を受け流しつつ、豚に触れた手で豚に対してリブラを掛ける。これでINTを50%上げ、DEFを50%下げる事が出来たハズだ。そして……
「レスト!」
「プギュゥ……」
レストを受けた事で豚が眠った。これで僕のレストやリブラが敵にも使える事が分かった
「せいっ!」
横たわる豚の腹部に両掌を揃えた双掌打を打ち込む
「プギョォ……」
リブラによるDEF50%ダウン。レスト中に攻撃を喰らう事による倍ダメージによって豚は1撃で動かなくなった。これは中々使えそうだ
「よし!これでまた新しい戦い方が出来そうだ!」
火力不足な僕の切り札として、これはいつでも使える様にしておきたい
「さて、じゃあこの豚から肉を……」
ナイフを使おうと取り出した所で急に頭上に影が差した
「ん?わぁお……」
影を確認したから上を見てみるとでっかい紫色の鳥が飛んでいた。これは死んだかも
「おぉい!そこの人間!」
「……あ、はーい!」
唐突に話しかけられてボケっとしていたけどどうやら空中の鳥が話しかけてきたみたいだ
「その豚を譲ってもらえないだろうか?」
「豚を……もしかして食べるんですか?」
「あぁ、やっと雛が孵ったから餌を集めているんだ」
「ん?もしかして……」
崖の方に行き、姫様と会った大木を探す……あった!
「あの木にあった巣があなたの巣ですか?」
「ん?知っているのか?あの木は高いからバレないと思っていたんだが……」
あの木にあった鳥の巣と卵はこの鳥の物だったようだ。あの時卵を落とすとかしなくて良かった……後少しで孵るって時に卵割られたとかどれだけブチギレされるか分からない……本当にあの時やらなくて良かった……
「迷った時にあの木に登って村の場所を確認した時に見つけまして……」
「村!?まさかハグレ者の村か!?」
「はい、アトラさんっていう蜘蛛に連れて来てもらって村の周りを探索していたら迷ってしまって……」
「何と!アトラ様と交流があるのか!」
アトラさんの事を知っているのかな?
「何か気に入られたみたいで村にお邪魔してます」
「アトラ様が旅人を気に入るとは……中々無いぞ?」
「何か沢山の旅人集団を蹴散らしたとかは聞いたんですけど……アトラさん結構優しいのになぁ」
見た目で判断は良くないって言わない?
「とりあえずこの豚はあげますよ。それで良かったら何ですけどあの木までで良いんで運んでくれませんか?」
崖の上まで来たは良いけど帰る時には夜になっちゃうだろうから帰りはどうしようか悩んでいた。だから豚をあげる事であの木まで飛んでいけるのであれば時短出来て良い
「おぉ!それはありがたい!一度登った事があるのなら卵の頃を見た事があるだろう?一度雛に会ってみないか?」
雛……見たい!
「是非!お願いします!」
「それならば背に乗ってくれ。豚は足で掴むからな」
巨大な鳥は地面に伏せて背に乗る様に嘴クイクイと背をさすのでゆっくり後ろから乗る。すっごいモフモフしてる……気持ちいい
「しっかり掴まれ?落ちたら大変だからな」
「はい」
言われなくてもこのモフモフ感ならしっかり掴みますよ
巨鳥が足で豚を鷲掴み、飛び立つ。落っこちたらどうしようって思うのとモフモフが気持ちいいと思うのと雛が早く見てみたいと思うのと色んな思いが混ざりながらも大木まで空を飛んで運んでもらった




