新しい住民
皆の元を離れてオーガの元へ行き、ナイフを突き立てようとしたけどその前にさっき手に入れた魔法を確認しなきゃ
『オプティアップ 消費MP30 5分間、対象のステータスのうち1つを10%上げる』
『オプティダウン 消費MP45 5分間、対象のステータスのうち1つを10%下げる』
オプティという名称でアップとダウンが付いていたから似たような能力かな?と思ったらステータスに作用する感じだ。しかもこっちで好きなステータスを選べるみたい。5分間と10%が大きいのか小さいのか分からないけど……
『リブラ 消費MP100 5分間、ステータスを2つ選ぶ。対象ステータスの片方を50%上げ、もう片方を50%下げる』
リブラ……多分天秤?これまた凄い魔法だ。逃げる時には不必要なSTRを下げてAGIを上げれば逃げやすいだろう。僕が攻撃する時なら……やっぱり【格闘術・技】があるからSTRかINTを下げてDEXを上げれば攻撃の威力が上がるかな?
『パシュト 消費MP50 10分間、追撃状態を付与する 追撃状態 攻撃を当てた時、同程度のダメージを与える』
これ、単純に威力が2倍になるって言ってる?絶対修正されるでしょ……
「僕、何か凄い強化された?」
オーガの死体の前で覚えた魔法の情報を見て自分が強化された事を確認する。まだ使用していないので本当に使えるかどうかは別だが……
「とりあえず、えい!」
オーガにナイフを突き立てる
『オーガの牙×2 オーガの爪×4 オーガの角×2 魔石(中)×1 を入手』
おっと?これは?
『魔石(中) 魔物の魔力が詰まった結晶体。様々な用途がある』
おぉ、汎用性の高そうなアイテムだ。これなら皆にあげても良いかな?
魔石を持って皆の元に戻る
「ねぇねぇ、この魔石って色々使えるらしいけど皆は使える?」
「おぉ!?魔石か!」
「中々良いサイズの魔石じゃないか。旅人なら色々使えるらしいな?」
「ぽよぽよっ!」
「魔石は欲しいが……アイツから出た魔石か……私はいらん」
皆様々な反応をしているけど概ね良いアイテムみたいだ
「おぉぉい!大丈夫か!」
ばたばたと大きな音と声を出しながらでっかい蜘蛛……アトラさんがこっちに向かって走って来た
「あ、アトラさん。お疲れ様です」
「お、おう……それで、襲撃者は!?」
「オーガですか?倒しました」
「ほう?オーガを倒したのか!やるじゃないか!」
アトラさんがオーガを倒した事を褒めてくれた。やっぱり他の人(人?)に褒められるって嬉しいなぁ
「にしても新しい住人と襲撃者の報告を受けた時はひやひやしたぞ……儂の村の村人になった者は儂の加護を受ける代わりに日の出ている間は村を出られなくなってしまうからな……ハチとか村の外で戦って死んでしまうのではないかと思ったぞ?」
村の外で戦ったのは当たってますねぇ……なんとか死なないで済んだけど。というか村を出られない理由がそういう理由だったのね
「で、そこの者がハチの見つけてきた者か?」
「は、はい!ゴブリンプリンセスです!」
あの姫様がガチガチに緊張してる……やっぱアトラさんって実は凄いんだなぁ
「どうする?村の住人になるのか?」
「是非!この村の住人にしていただきたい!」
「分かった、では今日からお主もこの村の住人だ!」
アトラさんがそういうと姫様の体の周りに蜘蛛の糸が巻き付く様なエフェクトが出た
「凄い……ありがたき幸せ!」
「よいよい、体の調子はどうだ?」
「はい、問題ありません。アトラ様ありがとうございます」
アトラさんに深々とお辞儀をする姫様。どうやらこれで姫様はこの村の住人になった様だ
「あ、アトラさん。ちょっと聞きたい事があるんだけど良いかな?」
「ん?何だ?」
ラフな会話に戻るアトラさん。威厳ェ……
「この魔石の使い道とか出来れば教えてくれない?」
「ほう?魔石を手に入れたのか。魔石は旅人であれば道具のエネルギーとしたり、武器を作る際に材料にすると魔力を持った武器を作ったりすることが出来るぞ?」
魔法武器!……って言っても装備制限があるんだった
「アトラさん達は魔石の使い道が違うの?」
「儂らは魔石を取り込めば強くなる事もあるからな。いわばご馳走だと思う者も居るだろう」
「じゃあ、この魔石はここに連れて来てくれたアトラさんに対してのお礼って事で受け取ってくれる?」
「おっ?良いのか?それを素材に色々便利な物を作る事も出来るのだぞ?」
「不便を楽しむのも冒険だよ。はい、どうぞ」
魔石をアトラさんが受け取りやすい様に手に乗せて高く掲げる
「不便を楽しむ……やはりハチは面白い。その魔石は確かに頂こう。いつか気が向いたらあの山の麓に行くと良い。きっと面白い物が見つかるはずだぞ?」
アトラさんが何か情報をくれた。明日起きてから行ってみる事にしよう。今日はもう疲れた……
「とりあえずオーガを倒して疲れたので休ませてもらっても良いですか?」
「あぁ、あの家は空いているから好きに使うといいぞ?」
「じゃ、僕はこれで」
「ハチ!」
開いている家に行こうとしたら姫様に引き留められた
「この村まで連れて来てくれてありがとう!」
「森を逃げ続けるよりは良かったでしょ?」
「あぁ、ずっと良い!感謝してるぞ!またあの肉を喰わせてくれ!」
今それ言う?
「肉?なんの事だ?」
「何か食べたのか?」
「美味い肉をハチに喰わせてもらったんだ!」
「え?私達には?」
ドナークさん。そんな目で見ないで?
「ゴメン、全部姫様とゴブリン達に食べられちゃった」
兎肉が残ってたけど、今度ドナークさん達の分も取ってこよう。今は姫様とゴブリン達にヘイトを向けて空いた家に向かい、ログアウトした




