所業の結果
「ちょっと、これ本当に大丈夫なの?」
「一応、外装に問題はないんで……多分僕らのポータル技術では無いワープで強制的に飛ばされたので、計器類とかが一時的にイカレちゃったみたいですが、今全力で復旧作業をしてます。でも流石にこれは想定外の事態なんで、ちょっと完全復旧には時間が掛かりますね。精霊達のお陰で呼吸に関しては全く問題無いはずなので、その辺を焦る必要も無いので……」
潜水艦で計器の異常とか、普通ならパニックを起こしかねないが、ウチの潜水艦なら酸素問題とかも計器が止まっていたとしても問題無しという最低限の安心をさせる事で、不安と安心の波状攻撃でこっちの言葉を信じさせる
「それなら良かったわ。このポータルが繋がったからすぐに生存確認に来たけど……艦が復旧するまではウチの船に来たら?」
まぁ、その誘いに乗っても問題はないかもしれない
「それも良いですが、一応、艦長としての責務もあります。復旧作業を全て任せて、自分だけ悠々と待たせてもらう訳には行きません」
これに関してはそもそも、そっちの船に呼ばれる事は想定してたし、断る為の準備はしていた
「艦長がこれだから、私達も出来れば復旧作業を手伝いたいんだ。勿論タティーノがこっちに居た方が良いかもしれないが、そっちの方もボス戦で周りの船がボロボロだろう?」
「僕らを早く見つけてもらう為にも、ここはタテさんと補修品を白玉さんに預けます。タテさん。お願いします」
「こちらの復旧も大事ですが、早急な合流も大事ですからね。頑張りますよぉ!」
やる気満々で他の船の修理と言いつつ、色々とデータを集めるんだろう。後で活かせると良いなぁ
「おかしな話よね……貴方達は今私の目の前に居るはずなのに、居場所が分からないなんて……」
「そうですね……狼煙でも上げます?そうすれば場所の特定はしやすくなるのでは……」
よし、早速本題に入ってみよう!
「そんな事したら、海賊に見つか……っても別に貴方達なら問題無いか。分かったわ。その狼煙を確認したらすぐに救助しに行くわ」
あれ?何か思ったよりすんなり……
「一応、ネレッサーで外の確認に行くつもりなんですが……」
「まずはこの船が完全に……まで行かなくても良いけど、航行出来る状態になるまではじっとしていなさいな。それから狼煙を上げても貴方達なら問題無いでしょう?多分今の状況でも、貴方達の方が戦力が上の可能性すらあるのよ?ちょっとした休憩時間だと思って、修理作業をした方が良いわ」
何か、海の上まで白玉さんを乗せて行って騙すって計画してたけど、思った以上に信用されてて、そこまでしなくても良いと言ってくれた。むしろ待ってろって……
「わ……かりました。こちらも修理に集中させてもらいます。航行可能になったら狼煙を上げる。で、良いですか?」
「えぇ。絶対貴方達を見つけるから安心なさいな」
何だろう。白玉さんが一皮剥けたというか、こんな状況でも余裕がある感じだ。あの海賊船に乗り込みに行ったのがそんなに効いていたのかな……
「貴方達が誰も欠けてない。それだけで、安心したわ。水上よりも激しい戦闘があったんでしょうけど、それを私達に感じさせない位静かに戦闘していたのでしょう?お陰でパニックもかなり少なかったわ」
あ、そうか。水中戦の方がヤバかったんだろうけど、僕らが水上で戦ってる人達を心配させない様にしてたと思っているからこそ、その山場を越えたからたかが海賊程度何て事無いと。だから安心している訳か。まぁそう言われれば、別に現状ネレイドが起動出来ない風にはしているけど、僕らが怪我をしたとかではないから、僕ら自身の戦闘力自体は落ちていない。僕らを襲いに来る存在に関しても別に心配するに値しないと。どうやら今までに築いた信頼?によってあらぬ方向で信用が既にガッチリ出来ていたから僕らが考えていた事が丸々必要無かったのかもしれない
「そ、そうですね。いやぁ良かった。僕らもちょっと飛ばされた程度で済んでますから」
「その『ちょっと』にしたって、どの尺度で言っているのかしらね……まぁ、そういう事だから、こちらとしてもありがたく、修理資材と人員を借りるわね。絶対に貴方達を見つけるから、そっちも修理を頑張って!」
「あ、はい……」
うん。まさか過ぎる。なんか思った以上にすんなり行ってしまった
「ハチ君が彼女の常識やら価値観を破壊するから、どうやら回りくどい事はしなくても良くなったみたいだね?」
「うーん、喜んで良いんでしょうか……」
まぁ、多少の事で動じない商人っていうのは普通に良い存在ではあるか……
「という事で、白玉さんは帰ったけど、ネレイドさん。一応本当に異常が無いかチェックはしてある?」
「答。しっかりチェック済みです。外装に傷やへこみは確認出来ません。計器類も正常です。航行システムにも異常ありません」
もう、今すぐにでも動き出せるみたいだけど、流石にすぐ動くのは良くない。最低限30分はゆっくりしよう




