サメ肉調理

「一旦インベントリに仕舞うとして……ホフマンさん。いったい何ていう物を……」

「いやぁ、どうにか色々とサメ肉の匂いをどうにかしようと思ってたんだが、思い切って匂いを無視した物を作ろうとしたら……な？」

　いやぁ、思い切り良すぎでしょ？

「これは……勿体無いかも知れないけど、この缶詰を投げたら凄まじい兵器になりそうな気がしますね……」

「まぁ……それはそうかもしれんな。下手に喰おうとするより敵に投げた方が良いかもしれん」

　いやぁ、缶詰めだし普通にぶつけるだけでも中々痛いと思うけど、これが破裂したら……考えるだけでも怖いなぁ……

「あ、一応日本の基準だと例の缶は殺菌処理してないらしいから『缶詰』とは言えんらしいぞ？」

「そうなんだ……」

　そういう区分とかあるんだなぁ……殺菌処理してなければ日本だと缶詰って見なせないのか

「それはそうと、どうしたんだ？」

「クラーケンを倒してきて、ゲソ足をゲットして来たので、ホフマンさんは使うかなと思って……」

「おぉ！そいつぁ助かる！クラーケンの肉は歯ごたえもあって良いんだよなぁ」

　ふむふむ、イカも良いなぁ

「ん？待てよ……ハチ。クラーケンのイカ墨とか持ってないか？」

「イカ墨ですか？確か入手してたと思います」

　グリーサでクラーケンを採取した時にイカ墨は残ってたな

「うーん。いや、墨は炭だ。やってみっか！」

　サメ肉をイカ墨に浸すらしい。イカ墨は食材として良い物と言われてるけど、墨は炭では無いと思うが……いや、このゲームなら行けるのか？

「炭の脱臭能力は凄いけど……これで何とかなるなら、このサメ肉はかなり高級な食べ方になりそうですね……」

　サメを手に入れるのも大変だろうけど、何よりクラーケンを倒さないとクラーケンの墨を入手する事も出来ないだろうからこれで上手く行っちゃったら……大変だぞ？

「う、うめぇ……！匂いも気にならねぇ！やっべぇぞこれ！」

「イカ墨の旨味みたいなのがしっかりしみ込んでて、匂いが抜けてる……いやぁ、これはあまり嬉しくない成功とも言えるなぁ……」

　まさかの炭の脱臭的な能力と、イカ墨本来の旨味成分みたいな物がしっかりとサメ肉にしみ込んでてサメの肉を食べているハズなのに出汁みたいな深い旨味のある肉汁が湧いて出て来るみたいな……やっぱ美味ぇわ……

「にしてもこれは超高級食材になりそうですね……一応ホフマンさんがこれを調理して売るとするなら……どの位になりそうですかね？」

「そうだな……コイツぁ、そもそも仕入れがとんでもなく難しいだろうし、クラーケンは一応見つけようと思えば見つけられるが、このサメはそもそも今回のイベント以外で出て来るのか？もし二度と出てこねぇって事なら余裕でウン千万越えとかになっちまうぜ？」

　そもそもの話、僕が倒したサメは船を襲うだろう割と中々見かけないサメだと思う。今回のイベントなら船を襲う為にそういうサメを用意するのは分かるけど、このサメが普通の海に居るのかなぁ……

「そこも問題ですよね……一応、白玉さんにも相談してみますか？」

「そうだな……一応、こういうのを取り扱うとしたら、商人の協力は有った方が良いだろう。ちょっくら連絡してみるわ」

　さっきゲソ足を贈ったばっかりだけど、この高級サメ肉に白玉さんはどう判断するのかは気になるな

「ははっ、今すぐ来るってよ。一応画像を付けて送ったらすぐ喰い付いて来たぜ？」

「じゃあ、迎えに行ってきて貰えますか？いやぁ、忙しいですね？」

「しゃーねぇ。ちょっくら行って来る」

　苦笑いしながら白玉さんを迎えに行くホフマンさん。いやぁ、白玉さんが来たらあの缶も見せてみようかな？

「クラーケンのゲソ足でも驚いてたのに、またコッソリ変な物作ってるわね？」

「今回は僕じゃなくてホフマンさんがやってた事なんですけどね……」

　何か全部僕がやってると言われても困るし、キチンと自分がやった功績と、他の人がやった功績を混同しない様にしないと

「アンタがやったのね……で、これは？」

　イカ墨漬けのサメ肉を見て凄く興味深そうに見る白玉さん。どういう評価を下すかな？

「まぁ、一口食ってみな。飛ぶぞ？」

「では、頂きます……うおっ！？」

　一口食べて後ろにのけぞる白玉さん。何だ？

「お、溺れるかと思った……旨味の肉汁が溢れまくりよ！」

「そんなに出たっけ？」

「ちょっともう一回食ってみるか……うおっ！？」

　さっきよりも肉汁が溢れて来る。これはこのイカ墨にずっと漬けていたお陰？

「漬ける時間が長ければこの肉汁が増えるって事かな？」

「これ、ここまでじゃなくても充分美味しいし、別にクラーケンの墨じゃなくても普通のイカの墨じゃダメかしら？」

「「あっ」」

　確かに。それで良いのならこのサメ肉を調達出来れば美味しい料理をもっとお安く作れるかも知れない

「これは……このサメ肉を調達出来るなら普通に買い取りしたい位ね？高く買い取るわよ？」

「あ、因みにこのサメ肉を使った商品はもう一つありまして……」

「おまっ！？ちょ！？」

「はっ！？いやそれ絶対危険な奴！？」

　いやぁ、ちょっと膨らんだ食べ物の缶って中々の恐怖感あるよなぁ……