役割分担
「本当にとんでもないな……」
「ナニコレ?」
「アハッ!すっごーい!」
「ポータル技術……アダマンタイト弾頭……フェプシックエンジン?」
「よく分かんねーけどとにかくすんげー強いんですの!」
いやぁ、良い驚きっぷりでこっちも紹介し甲斐があるなぁ……
「とりあえずウチの戦力としてはこんな所ですね」
「ホント、こんなヤバい艦が味方で良かったわ……」
マンマミーヤンには武装らしい武装も、戦力となる人もそんなに居ないとはいえ、食事という大事な娯楽や補修なんかも一応は出来る大事な船ではある。そして船の無防備さから海賊が寄って来る恰好の餌にもなる。これほど僕らにとって都合の良い船もそんなにないだろう。リッキューさんとの繋がりがこんなに良い出会いになるとはなぁ……
「アルバトロスの武装的には一応、敵の船を沈める事は出来るが……流石にこれ程の攻撃力は無い。となるとやっぱり私達の協力が出来る事は殆ど無いのでは?」
飛行船アルバトロスは空という圧倒的地形アドバンテージで海賊船からの攻撃を受けずに一方的な攻撃が出来るという利点があるし、他の船には無い超広範囲の視野もある。勿論、レーダーもあるけど、目視は大事だ。レーダーには見つからないけど、目視だと見つけられるみたいな敵が出て来る可能性も考慮したらアルバトロスの目視監視は欲しい。あとは単純に空の敵が出て来た場合。アルバトロスは同じ高さで戦える貴重な戦力だ。こっちも一応空に対する攻撃手段はあるけど、一応攻撃手段があると言うだけで攻撃が到達するまでは時間が掛かるだろう。まぁ、レーザーを使えば倒せると言えば倒せるだろうけど、そういった物を使わずに上空に攻撃する云々を考えたら、空の敵はアルバトロスに任せる事が出来れば僕らの隠密性が更に上がる
「一旦この3隻を活用するのであれば、アルバトロスには主に空から哨戒と対空防御を、マンマミーヤンは補給と囮を、ネレイドは水中から哨戒と対潜防御が一番動きやすいと思います。定期的にマンマミーヤンに集合する形で補給したりメッセージ以外での綿密な情報のやり取りをするのが良いと思います」
マンマミーヤンを中心に行動するのが僕らにとっても動きやすいと思うんだよね
「ハチ、1つ良いか?」
「ヘックスさん。どうしました?」
「いや、君達なら多分行けると思うんだが……こっちは面子的に装備出来ない者も居たから今までは提案はしていなかったんだが、実は、航空部隊用のパッケージアーマーを少し改造したものがあってな?所謂バッテリー駆動という形式ではあるんだが、君達なら小柄だからこれを装備する事が出来ると思うんだ」
そう言って2つプロペラの着いたバックパック的な物とか、手足に沿う様なフレームとフィンみたいな物が付いている装備を取り出した
「これは?」
「簡単に行ってしまえば飛行用の装備だ。内部の魔力バッテリーに魔力をチャージしておけば5分は飛べるだろう。正直ウチで使うには5分の制約や、装備する人の重量制限がある飛行装備というのはあまりよろしくない。試作品だが、もし空で戦うと言うのであれば、これがあれば少しは力になるんじゃないか?」
何だかウチで使うにはその程度じゃダメみたいに言ってるけど、それでも5分自由に飛べるって相当ヤバくない?しかも魔法とか使える事は使えるだろうし……
「良いんですか?」
「あぁ、せっかくだからデータを取る為にも使ってくれ。安全性の為にパラシュートも付いているし、いざという時の為の装備を強制解除して自爆する秘密保持機構も付いている。だから壊したとしても問題無い。勿論君らが良ければだが……」
おっ?ヘックスさんマジか
「是非よろしくお願いします!使わせてください!」
「よろしくお願いするわ」
「お願いしまーす!」
「こちらこそよろしくお願いします!」
おぉ、ヘックスさんが僕ら以外にも技術を見せるか。まぁ協力関係になるし、その位は良いか。にしてもヘックスさんも自分達の為にデータ取りの対象をアイリスさん達にも増やすのは良いな。技術流出を恐れ過ぎてデータが集まらなかったらより良い物は作れないもんなぁ……
「クックック……この程度なら技術流出したとしても今や痛くも痒くもないがな……」
僕にだけ聞こえる様にすれ違いざまに耳元で呟いて来た。いやぁ、怖いなぁ……飛行能力の技術流出が痛くも痒くもないとは……
「とりあえずアルバトロスの外でも戦える様にはなったでしょうから、そっちはお任せしますね」
「因みにこの魔力バッテリーというのは、どう充電?充魔?するんだ?」
「あぁ、それはだな……」
まぁ、魔力バッテリーって言うのは普通に魔石を機械的にしたって感じなのかな?どっちにしても魔力ジェネレーターよりは劣ってる……いや、魔力ジェネレーターよりは小型だからその点は勝ってるのか
「……という感じだ」
「なるほど。分かりやすい。データ収集の件は任せてくれ」
「あぁ、任せるとしよう」
うむうむ。まさかここで新しい技術発展のきっかけが生まれるとは……よーし、どうせなら空から敵来てくれないかなぁ?




