観艦式？

「運営と話してみて、結果としては出撃地点を少しだけずらしてもらえるって事なので、ネレイド自体は海中に居る状態からスタート出来そうです」

「おっ、となると、我々はボート……いや、ネレッサーでスタートするのかな？」

「そうなりますね」

　相談した結果として、僕らはボート（仮）から名称をレッサーネレイドから変化したネレッサーに乗ってイベントを開始出来るみたいだ。イベントを始める直前で、トーマ君が「こっちのボート？の名前って何です？」と聞いて来たので、その場で皆で相談した結果。ネレッサーに纏まったんだけど……

「だとしたらまた我々は浮きそうだねぇ？」

　他のオートマトンさん達は既に乗り込んでる状態で僕らだけネレッサーでネレイドに合流するって形だから一応、最後に行くのが良いかもしれない

「まぁ、それはそれで良いじゃないですか。僕も他の人が造った船を見て回りたいですし」

　他の人がどういった船を造って来たのか気になるしねぇ……

「えーっと、観艦式？でしたっけ。ハチさん」

「そうそう。そんな感じで他の人が造った船を見て見よう！」

　いったいどんなヘンテコな形をした船とかあるかなぁ？

「ヒャッハー！これから海賊と戦うのに微塵も怖気づいてねぇな？」

「まぁ、あのシミュレーターをやったら、今更海賊とか……ねぇ？」

「元々非戦闘員のハズの俺らだって負ける気がしねぇんだ。バリバリに戦闘出来るあいつ等がビビる訳もねぇって」

「まぁ、船の格からして負ける要素もほぼ無いですからね……」

　皆もそこまで緊張はしていないみたいだな

「余裕も緊張も操作ミスに繋がります。だから楽しむ位のメンタルで行きましょう。あのシミュレーターを越えて来たんです。緊張する必要はありませんし、装甲はしっかり造りましたが、皆で防御はしないと沈む可能性も０ではありません。程よく行きましょう」

　どれだけ体を鍛えても、メンタル次第で負けるなんて話は山ほどある。だからこそ、平常心か、楽しむ位の気持ちで皆にもやって欲しい

「よし、行くかぁ」

「やってやりましょう！」

「ヒャッハー！行くかぁ！」

「やりますかぁ」

「やりましょう」

「やってやろうぜ！」

　という事で、イベントの開始地点にレッツゴー！

「おぉ……いっぱい人と船が……」

　既に港には沢山の船と人で賑わっていた

「わぁ、凄い形の船も沢山あります！」

「随分とでけぇ船もあんなぁ？」

「また色々と面白い形の船があるねぇ？」

「あれは……随分とまた思い切ったスタイルもありますね？」

「早そうな船もありますね」

「おいおい、まさかアレは……鉄の船か？」

「ほう？やりますね。しかもあの滅茶苦茶尖ってる衝角……ラムアタックする気ですかね？」

　勿論、ノーマルな形の船もそれなりにあるけど、色々と尖ったデザインの船もあり、中々面白そうな事になりそうだ

「まぁ、それよりも何よりも……」

「やっぱり出ましたね。飛行船が」

「空に浮かぶ船も数隻ありますね。ただ、船に気球をくっ付けた様なスタイルに比べるとアレは……」

「明らかにあの船だけ何か技術違うよなぁ？」

「そうですねぇ……あれはまた少し生物的な面もありつつ、機能面も充実していそうです」

「あ、ロープが降りて来ましたよ！」

　空に浮いている飛行船からロープが垂れ下がって来たと思ったらそこから４人程ロープを降りて来る人影が……あれ、手が熱くないのかな……

「やぁ、ハチ君」

「遂にイベント開始ですね！」

「私達の造った船。どうかしら？」

「アハッ！頑張って造ったよー！素材集めとか大変だったー！」

　おぉ、ロザリーさんにアイリスさん。そしてキリエさんにキリアさんと。という事はあの船がロザリーさん達のクランで造った船か

「飛行船みたいですけど、他の飛行船とは随分と形が違いますね？気球的な物もありませんし……」

「モルガ師匠の力を借りてね。あのウィンドオールで空気を掴んで漕ぐとでも言えば良いかな。それで、空を進む事が出来る」

　ずっと気になっていた船の横から生えている様な巨大な魚の背びれみたいな物はどうやらオールの役目を持っているみたいで、それを使って空中に浮ける様だ。確かによく見たらあの背びれっぽい先端が船を漕ぐオールの形をしている。うぅむ。中々これはこれで凄い技術だ

「ところで、ハチ君達の船は何処に？」

「あぁ、僕らの船は」

　皆でシャコーの箱からネレッサーを港に出す

「まぁ、一旦これだね」

「あら？随分と小さいわね？それに個別？」

　キリエさんが疑り深く聞いてくる

「個人で動く分にはこれが凄く楽でね」

「ヒャッハー！乗り心地も良いぜ？」

「い、いざという時はこれで戦闘も出来ます！」

　ハスバさんとダイコーンさん。それにトーマ君がほんの少しだけ説明する。まぁ、これで充分でしょう

「あれ、絶対まだ何か隠してるわね？」

「アハッ！だよねー！ハチがこれだけしか用意してない訳無い気がするー！」

「いざという時は連携するので、良かったらこれを持っていてくれませんか？」

　キリキリ姉妹の疑いを流しつつ、アイリスさんが手渡して来た物を見る

「これは？」

「これは通信機みたいな物です。かなり離れていても伝わるので、メッセージでやり取りするよりも早いかと思って……私達のは飛ぶので視界も広いですから」

「なるほど。それは確かにそうですね。確かに。受け取っておきます」

　まぁ、僕らにはドローンもあるけど、そういう手段は他にもあった方が良いもんね

「それじゃあ、イベントも始まりそうですし、そろそろ船に乗りますか」

　さぁ、ネレッサーにまたがってイベント開始を待とうじゃないか