防衛シチュエーション
「まずはポン君で、知覚ブーストして」
「ガブッと」
この艦のレーダーとしてオーラもそうだけど、僕自身の知覚を強化して判断する
「ん-、よし!大体動かせる!というか、シールドと魚雷以外は可動範囲が決まってるからむしろ楽だな」
真淵操作による可動域が制限されていない物の扱いは既に何度も何度も経験しているからか、逆に可動域が決まっているレーザー砲台とかはむしろ楽にすら思える。勿論、同時に操る数も多いだろうから、流石に全部同時に動かすのはまだ無理かな……
「ハチ艦長に武装制御が完全に掌握されました。これからリーディングを開始します」
「オッケー。シミュレーションいつでも開始して良いよ」
「了。シミュレーション開始します」
武装の制御を完全に掌握したとアナウンスされたので、シミュレーションを開始する。さて、せっかく学習してくれるって事なら、僕も全力で頑張らないとね
「出力設定。全力戦闘状態。シチュエーション。包囲戦。開始します」
ネレイドさんの言葉が聞こえたあと、周囲のグリッドに赤い点が現れて、それが船の形になる。木製の船っぽいデザインにはなっているけど、何か見える武装がベーシックな大砲な船も居れば、レールガンチックな近未来砲を乗せてる船もある。まぁ、シミュレーションだしなぁ……
「基本的には回避と防御に重点を置く。敵船を破壊してしまうのが手っ取り早いが、今回は敵船を鹵獲する目的があるから相手の武装が弾切れするか、こっちの味方が相手の船を制圧するまで守り切れれば良い。だから……」
空中にシールドモジュールを飛ばし、ポン君によって超ブーストした知覚とオーラで敵の船の場所を認識。そして、その船から飛んで来る攻撃をレーザーで撃ち落としたり、シールドモジュールで防御したりする
「疑。ハチ艦長は本当に人間なのですか?」
「ごめん。今そっちの会話に割けるリソース無いわ!うぉぉぉ!」
このネレイドの武装の管理。真淵を操るよりも難しいというより忙しい。体が大きくなったとはいえ、ボディで受けるって言うのは可能な限り避けたいから、しっかりと防御しないと良くないだろうネレイドの操縦にはノータッチだから、こっちは不動の構え。つまり、全方位からの攻撃を僕の防御だけで凌ぐ必要がある。だからちょっと今は会話するリソースも、割くのも辛いくらいだ。自分の体じゃないと、こんなに難しいのか……
「敵性勢力。上空に出現」
「上のは全部落とす!」
ネレイドからの報告を受けてシールドモジュールで防御をこなし、レーザーで上空の敵性勢力の翼部とかを撃って破壊する。上空からの攻撃は即反応して撃ち落としておかないと、制空権を取られてとんでもない事になるしね
「シチュエーション変更。味方勢力追加」
ネレイドからの追加報告。今度は上空と水上に青い味方の船や飛行隊が現れる。今までは目に見える物全て撃ち落とすで良かったけど、次は敵と味方の区別を付けなければならない。やっべ、頭ガンガンしてきた……
「やってやる……これがやれなきゃ誰も守れない!」
「了。シチュエーション追加。救援ミッション。本艦も動きます」
不動の状態から自分に迫って来る攻撃を処理するだけだったのが、今度は救援を待つ味方の所に向かう為移動する。その状態で敵味方入り混じる戦場で敵からの攻撃だけは弾き、撃ち落とす。正直もう常時スロー状態だから何とか熟せているけど、一瞬でもそれが切れたら多分ヤバい。緊張の糸が切れたら最後だ。この緊張状態を維持して死ぬ気で全ての任務を完遂してみせる!
「これで……終わりか……」
「了。素晴らしいデータをありがとうございます。救援ミッション成功。味方の損耗率2%。本艦への被弾0です」
「次は……味方の損耗率も……0を目指す……ぞ……」
そこで意識が途絶えた
「はっ!あぁ、やっちゃった。久々に強制終了かぁ……いやぁ、頭クラクラするぅ~。操作すべき物が多過ぎるなぁ……やっぱり艦の操作を全部1人でやるってのは非効率だな。これは分業するべきだわ」
やってわかった。シールドモジュール操作は全然良い。レーザー砲の操作がマジでヤバい。というか、普通に砲が20門以上あるからそれ全てを使って敵の砲撃を撃ち落とすとか脳1つじゃパンクする。これはそうだな……5門ずつ位とかなら行けるか?それとも1門に1人付ける位の方が良いのか?
「確実に撃ち落とすという事を考えるなら1門に1人で撃ち落としてもらった方が良いのかもしれないな。それなら味方を守るとかになっても、撃ち漏らしも少ないだろうし……どうしてもこの状況で自分を守ろうとしたら、周りの味方への防御も薄くなっちゃうし……」
2%の損耗。その原因が僕1人だけでは完璧に守り切れていなかったという事実だ。いやぁ良かったシールドモジュールに大層な名前とか付けて無くて。守り損なってるのにそんな名前名乗れるかってなる所だった
「あくまで補助に留めないと……これを常時行うのは流石にネレイドさんに対する負荷も高過ぎるだろうから、自分でやって気付けて良かった」
いやぁ、やっぱりやってみないと分からないよねぇ……




