皿作り
「さてさて、早速作ってみようか!」
休憩やご飯を済ませてまたアルターに入る。木の食器作りをしよう
「流石に手刀だとちょっとサイズ取り難いよなぁ……【魔糸生成】」
細く、ギザギザで、千切れない……糸ノコギリをイメージした糸を生成する
「これで……おぉ!切れる切れる!」
両手で糸を持ち、交互に引いてミニ丸太を切る事が出来た。だが完全に切断するとなるとこれ結構大変だな?
「よし!根気よくやろう!」
ただの皿だけじゃなく、深皿とかのサイズもこのくらいかな?と予想しながらお手製糸鋸でギコギコ……
「多分このくらいのサイズ感かな?」
出来上がった薄い木の輪切りはおおよそ目算通りに切れた。多少斜めに切れちゃったり、左右からギコギコして切ったから高さに微妙にズレがあったりと完璧では無いけど失敗でも無いって感じだ
「刃毀れも無いし、切れ味も落ちないナイフってありがたいなぁ……オーブさん様様だ」
オーブ・ナイフは料理するにも、毛皮を取るにも、多少の木工にも使える。こんなにありがたいナイフを貰えた事に感謝せねば
「…………」
無言でナイフを使って木を削る。外側の表皮を落とし、手を切らない様に気を付けて角を落とす。これだけでも結構形になるもんだ
カリカリカリカリ……
物を作るときはね?誰にも邪魔されず自由でなんというか救われてなきゃあダメなんだ……独りで静かで豊かで……
「おーい」
「…………」
「ダメだこりゃ、集中してて周りが見えてないな?」
ドナークさんがハチが作業している所にやって来たが、完全集中モードに入っているハチは皿を作っていて全く気が付いていない
「これで……完成!」
「ハチー?」
「うおっ!?ドナークさん?いつから居たの?」
皿作りに集中していたハチは皿が完成して初めてドナークさんの存在に気が付いた
「あー、その皿の内側を削ってる最中かな?」
「結構中盤から見てたんだね……どう?お皿を作ってみたんだけど」
ナイフで削って作り上げた木の皿をドナークさんに渡す
「ほー?中々良いんじゃないか?」
「最初にお皿を作ってみて分かったけど、これ深皿とかコップを作るとなるとナイフじゃ厳しいですね……」
鑿か彫刻刀的な物でも無ければ底が深めの物は作るのは難しいだろう。正直皿は木のプレート的な物を作った方が効率よく作れるかもしれない
「ま、そこは無理して作らなくても良いんじゃないか?」
「まぁ、今は作らなくても良いかもしれませんね。正直皿一つ作るのに結構時間掛かっちゃってますから」
木の皿を作ったは良いけどこのペースで作っていくとするなら全部作るのに多分現実時間で丸1日掛かっちゃうんじゃないだろうか?
「これは計画変更してお皿はプレートタイプにして、深皿は積層で作ってみるべきかな?」
ちょっとずつ径を大きくしたドーナツ状の木の輪切りを接着してその中を削る事で深皿を作る事が出来るんじゃないか?と考えた。粘り草君の力なら出来るはずだ!
「皿なんてそれこそハチなら街で買っちまえば良いんじゃないか?」
「僕今お金持ってないんですよね。それに呪いの効果でお金も入手出来なくなってますけどコレはもう正直手離せないくらい使い勝手が良いんですよ」
貧呪の魔硬貨を指で弾きながらドナークさんに見せる
「ハチ今呪われてんのか……呪いを嬉々として受け入れるってどうなんだ?」
「そんなに呪われるって嫌ですかね?僕の場合呪いのお陰で手元に戻ってくる遠距離武器になってるんで呪いがとってもありがたいんですが……」
「まぁ普通じゃ無いが……ハチだからなぁ……」
その納得のされ方はちょっと僕が納得できないんですが?
「一回教会に行ってはみたんですけど結界みたいなので弾かれたんですよねー」
呪いを受けたのと教会に行った順番は前後してるけど教会に弾かれたのは事実だ
「はぁ?ハチって人間?だよな?」
「疑問符を付けないで欲しいんですけど……多分アストレイ・オブ・アームズが何か作用しているのかなって」
「あぁ、紋章なんて普通の人間は装備出来ないからなぁ。じゃあハチは解呪出来な……いや?確かあそこに教会があったはず……」
「あの、ドナークさん?僕解呪するつもり無いんですけど?」
「まぁまぁ、確か『棄てられた教会』って所があったはずだ。案外そこなら入れるかもしれないだろ?行ってみるだけ行ってみろって!」
『位置情報 棄てられた教会 のデータを入手しました』
お?ドナークさんから何か位置データなる物を貰えたぞ?
「ある程度やりたい事が終わったら行ってみるだけ行ってみたいと思います。解呪は絶対しませんけど……」
せっかくドナークさんから新しい場所を教えてもらったんだからある程度準備出来たら様子見に行ってみても良いと思う
「とりあえず今日はお皿作成の日にしようと思うけど、ドナークさんもやってく?」
「いや、流石に皿を作るのはいいや。頑張ってくれ」
手を振って何処かに行くドナークさん。まぁ自分用のだし、自分で作るのが良いよね?
「よーし!作るぞー!」
それから方針転換をして木のプレートタイプにしたことで丸い皿よりも簡単に作る事が出来た。ついでにまな板も作ったのでこれでどこでも安全に調理できるぞ?
まぁ最初にプレートを作ろうと思った時にころんとただの板が落ちた時。あ、まな板にしよう。と思ったので最初に作っただけなんだけどね?




