第四十五話 上杉
毛利家に対し、出雲国を尼子に返すよう通達。
断るだと?
宜しい、ならば侵攻だ。
* * *
四国を制した信忠と信益には、現地の後始末をさせつつ、毛利への牽制も担わせる。
瀬戸内の制海権も握りたいので、佐治信方に指示。
四国側でいくらでも寄港出来るから、やり安かろうて。
水軍としてもう一手。
鉄砲船はともかく、鉄甲船はデカくて重くてニブチンなので。
瀬戸内を通航するのは至難。
よって、ぐるっと土佐沖を経由し豊後水道に回航。
豊後大友の水軍が少し邪魔になったが、大友家は耳川で大敗してそれどころじゃない。
軽くあしらって、伊予に接岸。
関門海峡と、防長を直接狙うという搦め手策も。
今回は毛利の為に回航してきたが、次は九州への先手も兼ねる。
重要な役割だから、頑張って貰いたい。
* * *
山陰道の秀孝は出雲に攻め入り、山陽道の信勝は備中に雪崩込む。
伊予から信忠が水軍で周防にちょっかいをかけ、佐治信方が村上水軍の補給を邪魔する。
ふはははは。
いくら毛利が大国だろうと、消耗を強いることは出来るのだよ。
ま、西は彼らに任せよう。
俺は北陸と関東を見なければ。
* * *
出羽国から最上義光が、陸奥国から大崎義隆が従属を申し出てきた。
いきなり飛んで、東北からになっちゃったよ。
まあ、彼らには伝手があるからな。
斯波義銀と言う、謎の勝ち組が。
上杉謙信が没し、北条家と同盟したからには、東北も安穏としては居られない。
その中にあり、幸い最上と大崎は斯波一族。
織田家に在って、割と厚遇されてる斯波義銀に、同族の誼で以って取り成しを依頼したって訳。
その結果、従属と保護を申し出てきたと言うこと。
正確には申し出させたんだけど、些細なことさ。
正規のルートで斯波義銀から俺に話が来て、それを信長に報告。
関東にすらあまり興味がない信長は、東北のことなど右から左に承諾。
出羽は最上に、陸奥は大崎に任せると言うことになった。
伝手って大事だよね。
* * *
さて本題。
上杉謙信亡きあと、上杉家では家督騒動が勃発。
一時は沈静化の動きもあったけど、ちょっと煽ってみたよ!
これを好機として、越中国に乱入。
ついでに、飛騨と信濃からも軍勢を北上させる。
上野国の上杉領には、北条家と共同で侵攻。
更に越後も窺わせる。
騒動の結果、上杉家の家督は上杉景虎が相続。
彼は北条氏政の弟に当たる。
* * *
織田家は北条家とは同盟したが、上杉家とは結んでない。
むしろ、滅ぼすつもりで動いてる。
それは、誰が家督であっても同じだよ。
だけどまあ、仮にも俺と同盟した北条氏政の頼みだし?
特別に、聞いてあげても良いよ。
でも、越後一国は流石に無理だね。
実際治めきれてないじゃん。
それでもいいなら、信長に言ってみるけど。
ああ、判った。了解したよ。
安心しなって、俺と氏政の仲じゃないか!
* * *
巧み(稚拙)な話術(詐術)で北条家に譲歩させ、越後と上野国を蹂躙。
上杉家は、北条家傘下として存命することになった。
謙信が作り上げた毘の旗も、所詮は当人あってのものか。
ま、しゃーないな。
追伸
岩倉殿は、常陸の国は佐竹の元へ逃れた模様。
武田に続き、上杉も大名としては滅亡しました。
なお、サブタイに関しましては、引き続き掲示の方向で参ります。




