第三十四話 侵攻
やってきました駿河国。
遠江国じゃなかったのかって?
俺もそう思ってたよ!
* * *
Hey boy!
武田が来るよ。
タスケテー、タスケテー!
危なくなったら助けてくれるんでしょ?
早く来てっ
うっさいわボケェ!
すぐ行くから準備しとけやっ
* * *
今川家からの懇請に負けて、駿河の国まで出張る羽目になったのさ。
ま、しゃーないね。
駿河国が武田に獲られると、非常に困る。
今回は援軍として北条も出てくるし、頑張らんとなー。
俺が頑張ることで、示唆行為にもなるんだし。
とは言え。
実際に武田が動くと、駿河や遠江は勿論、三河や美濃なんかでも裏切る奴が出てきそう。
大事な場所は、事前に保全するけど。
でも、どーでも良いとこは放置する。
そんで、後で潰す。
整理整頓、超大事。
そんな方針。
美濃とか、畿内で起こる事案は信長に一任。
俺はこっち側の主幹だからな。
てな訳で、俺は拡充した大鉄砲部隊を率いて駿河国に出陣。
遠江国は守護代の信時に加え、援軍の信成と合流して待ち構えてる。
三河国では、松平家次に後詰と整地を宜しく頼んだ。
あ、信長には美濃国からは信濃国を窺う姿勢を見せるよう依頼してみたよ。
実際に攻め入る必要はないんだけど。
さーて、どう来るかな?
* * *
数名の今川家臣が武田に通じた。
そして、事前に掴んでたんで速攻殲滅。
伊賀衆、一番手柄也。
今川家としても、不穏な勢力を整理出来て嬉しいことだろう。
おおっと、お出でなすった敵は武田本隊。
向こう側のどこかには武田信玄が居る、はず。
おお、怖い。
基本的な戦法としては、長槍と鉄砲でサクサク倒していくもの。
切った張ったの大立ち回りは、あまり好まない。
もうオッサンだからね。
でも俺が育て、率いる大鉄砲隊は大いに活躍してるよ。
突進力に対するには、確かに弱い。
でも、よく言うでしょ?
戦いは数だよ、アニキ!
俺にアニキはいないが、この場合は鉄砲衆の数。
弾幕はパワーだぜっ
* * *
暫時の後、武田軍は撤退。
この一報に湧き上がる味方諸軍。
ふむ……。
よし。
宗政ーっ
「なんですか?」
武田が撤退してるけど、引き込み策の可能性はー?
「いえ、それはないと思います。」
本当に?
「恐らく。」
ふむ。
じゃあさー。
追撃に追撃を重ねて、むしろ逆に侵攻しちゃっても良いよね!?
怒られた。
調子に乗って追撃すると、痛い目に合う可能性が高いので注意が必要です。
歴史小説などで、無能な味方や残念な敵方が良くやるアレですね。




