第二十九話 火薬魔
援軍がやってきた。
率いてきたのは、なんと……。
* * *
「三河以東に来るのは初めてだが、中々悪くないな。」
なんでお前が来てるんだ。
ちゃんと中央に座ってろよっ
「ククッ。何、お前が昔言っていた、現場視察と言う奴だ。」
確かに言った。
トップの現場視察は大事だと。
だけどな、時と場合を考えろ?
「まあ良いではないか、信清。都はちゃんと信広が抑えておる。」
そうは言いますがね、信次叔父上。
「そうだぞ信清。もっと信広兄者を信用せよ。」
そーゆーこっちゃないわっ
* * *
お分かり頂けたであろうか?
援軍の将は、我らが英雄・織田信長その人であった。
なんでやねんっ
その下には信次叔父上と信時、松永殿らが控えている。
って松永殿!?
何で居るっ
「ふむ。信清様の戦ぶりに興味がありましてな。」
違う、そうじゃない。
大和の守りはどうしたよ。
「倅に任せて参りました。信清様が、火薬にも造詣が深いと伺いましてな?」
信長……。
「はっはっは、気にするな!俺はもう帰る。ほれ、松永のことは任せたぞ。」
え?
ちょ、おまっ
「さあさあ信清様。いざ軍議と参りましょうぞ!」
* * *
信長はホントに軽く視察だけして、信時と一緒に帰って行った。
……むしろ信時は、何しに来たんだ?
まあ、真の援軍は信次叔父上と言うことか。
「ワシもおりますぞ!」
うん、知ってる。
てか、えらい張り切ってるね?
「ふむ。実は信清様の、火遊びにお付き合いしたいと思いましてな。」
火遊びって……。
確かに、援軍に合わせて信正が大鉄砲隊を率いて来てる。
コイツが俺の主力なのは間違いない。
「ふむ。ワシも鉄砲衆を率いておりましてな。信清様の一助になればと。」
てーか、いつの間にか様付になっとる。
「信清は、織田家でも特別枠だからな。」
叔父上……。
まあ、いいでしょう。
松永殿の鉄砲衆も、当てにさせて貰おう。
じゃあ、軍議を始めるよ。
「「ははっ」」
* * *
情報の吟味と、物資の消費を考えて各種段取り。
今川家との連携や、軍勢の手配。
俺が率いる大鉄砲隊。
松永殿が率いる鉄砲衆。
残党どもの動きは、下山組により看破されてる。
よしッ。
じゃあ皆、蹂躙しに行こうか。
* * *
遠江の乱、鎮圧。
呆気ないね。
暗躍した輩も、無事に討ち果たした。
今川家も喜んでくれるだろう。
残党の皆さんは残念だったね。
悪いけど、余裕だったよ。
まあ、武田に踊らされる程度の君たちだもん。
しょーがないよね。
でも、踊ってる間は良い夢見れたろう?
それで満足してくれ。
武田はまだ、全力侵攻じゃなかったみたいだ。
少しだけ見え隠れした程度。
今回の過剰火力が抑止力になると良いけど、無理かなあ。
武田家と言うか、武田信玄に対しての油断は死に繋がる。
アレの怖いとこは、単に戦が強いとかじゃない。
何より搦め手が上手いことだと思ってる。
今はまだ、こちらに本腰入れる状況じゃなかったようで良かった。
領国の安定とか、色々早めの対策が必要だなー。
ま、過剰火力も結果として悪くはなかった。
何故なら、東海道筋で織田家の影響力がマシマシに!
松永殿の鉄砲衆も加えたから余計にね。
まずは、先勝。
* * *
「ふむ、流石は信清様。大鉄砲隊の威力、ワシは感激しましたぞ!」
それはともかく、大鉄砲隊を見た松永殿の興奮振りには少し引いた。
早く信長に伝えて、引き取って貰わねばっ
またもエスパーに遭遇しまして、今回からサックリ方向転換しました。
爆死はしません。悪しからずご了承下さい。寒い、眠い。




