第二十八話 蠢動
遠江国の守護代に就任した。
突然何だと思うだろう?
俺もそう思う。
おいコラ。
東に掛り切りになる気はないって、言ってんだろぉーがぁっ!
あぁん?
守護様たってのお願いだ?
斯波義銀が、何でそんなことを……。
またあの将軍が、何か要らんことしたんか?
* * *
「松平の、残党ですか。」
「左様。謀反人の生き残りが暴れておりましてな。」
仕方ないから伊勢国を信興らに任せ、宗政たちを連れて三河国までやって来た。
そこで合流した、信成と松平家次に話を聞いたんだけど。
松平衆の残党その他が集まってると。
そして三河が治まっちゃったから、今度は遠江ではっちゃけてると。
ふむ。
でもオカシイな?
遠江は今川家の影響力が強い国。
松平の残党如きが、好き放題出来るとは思えない。
と、すると……。
「考えられることは二つ。一つは、今川家の指示によるもの。」
「もう一つは、今川家が対処出来ない事態である、ということか。」
そーなるねー。
面倒この上ないねー。
と言うか、別に俺を守護代にしなくてもねえ?
「信清殿は、頼りになりますから。」
家次さん。
この場面でそれは嬉しくない。
「おっと失礼。」
信成も笑うな!
ったく。
それで、状況は?
「宜しくないですね。離反までは至ってませんが。」
猶予なしか。
まあーつまり、武田が動いたってことでFAね。
* * *
今川家から、内々に相談された。
武田が動き出したんだ、どうしようっ!?
落ち着けバカちんっ!
一度今川家を離れ、再度帰参した奴らが蠢動してるらしい。
武田の触手は伸長著しいようで。
これは気張って対処せんと、後が怖そうだね。
はあ、仕方がない……。
よし!
信正。
尾張に戻り、大鉄砲隊の準備をしておいてくれ。
そんで広良と、信長にも連絡頼む。
家次さん。
三河を頼むよ。
忠政と信照を使ってくれ。
信成。
後詰を頼む。
ついでに吉良義昭の周囲を注視しろ。水野の分家もな。
宗政。
遠江国に入ったら下山組を放て。
残党連中の動向を、確実に掴むように。
余裕があれば、信濃と甲斐、駿河にも送ってくれ。
よし。
皆、頼むぞっ
「「御意!!」」
* * *
斯波義銀を遠江守護職に就けたが、まさか自分まで守護代になってしまうとは。
因果応報とはこのことか。
いや、悪いことした訳じゃないんだけど。
しかし武田が動いたのか。
全力侵攻はまだ先だと思いたいが、どうすっかなー。
俺が悩んでるのは、火力のこと。
犬山名物・大鉄砲隊は、正しく火力部隊。
一度運用すると、硝石などを湯水の如く消費する。
自前生産と蓄えのお陰で、伊勢侵攻と上洛戦では大活躍だった。
その結果、余剰分は消え去った。
畿内を手に入れた信長に頼んで補充はしたけど、正直まだまだ。
でも対・武田には絶対必要だ。
消耗を覚悟してガッツリやるのか、若しくは温存するのか。
どっちもメリット・デメリットあるからなー。
実に悩ましい。
そんな俺の下に、援軍を派遣すると手紙が届いた。
誰が率いるかは書いてない。
どういうことだ?
登場人物の別視点や設定などは、外伝等でまとめてみたいと思っています。
でも完結した後に、一旦落ち着いてから作成するのが無難ですよね。




