089 次の行き先は獣人国
さて、ハーピーであるハルカの復讐を果たす為、ハルカを陥れた冒険者がいる国に行こう。
小人の情報屋モナジーに聞いた冒険者がいる国は、・・・獣人国。
「次は獣人国に行くよ。」
「ハルカの復讐じゃな。」
エルフのエリが俺の横に並んだ。
「そうだ。」
俺はハルカの様子を窺う。
「僕の・・・。」
ハルカは決意を秘めた眼をして、拳を握り獣人国の方角を見る。
ハルカにも否は無い様だ。
ダークエルフのダルアがハルカの肩に手を置く。
「その前に、ユキの服はそのままで良いのかにゃ?」
黒猫のケット・シーであるペロが俺の影から顔を出した。
「わちきの服でありんすか?」
雪女のユキが着ている服は白装束の和服。この世界には無い服だ。
確かに目立つかなぁ?
俺はユキを見た。
ユキは首を傾げている。
「確かにその服は目立つかもね。
でも、そもそも雪女って服を替えられるの?」
「服を替える事が出来んす。」
「妾の服を着せるのじゃ。」
エリはアイテムバッグから幾つか服を出した。
「そうだな。町に行ったらユキの服を買うから、今は取り敢えずエリの服を借りて着て貰おう。」
ユキが選んだ服は白い特攻服?っぽい感じの服だ。背中に刺繍でも入れば昔の暴走族のレディースみたい。
そもそも何でエリがそんな服を持ってるかも疑問だが、深くは追求しないでおこう。女子の服には疑問を持ってはいけないのだ。
ユキが白装束を脱ぎ出した。
白い透き通る様な肌。全裸だよ。
小ぶりの胸。
下着も着てなかったのか!
思わず凝視してしまったが、慌てて後を向いてエリに言う。
「エリ、下着も貸してあげて。」
ペロが俺の影から顔を出して笑う。
「見たにゃ~。」
「見ちゃったよ~。いきなり脱ぎ始めるなんて、しかも下着も付けてないなんて驚いた。」
こう言う時は正直に言うのが1番だ。
「ラッキーだね。僕の裸も見る?」
ハルカが俺の前に来て、服を脱ぐ真似を始めた。
「ダルも脱ぐよー。」
ダルアも脱ぎ始めた。
「君達!変な感じになるから止めなさい。」
俺はハルカとダルアの肩を押さえ止めさせる。
「もう良いでありんすぇ。」
とユキが言うので振り向いた。
「可愛い子は何を着ても似合うね。」
白い特攻服。黒いブーツ。
白い革の指無し手袋。
「そんな事無いでありんすぇ。」
ユキは頬を赤らめ俯き恥ずかしがっている。
「ユキは町では、このままの姿で同行する事として、バズは風になって周りの人に認識されない様になって、一緒に来ることは出来るか?」
「可能デス。」
魔神パズズのバズは風になって、エリの側に移動した。
「後は町に近づいたら、ライヤは子犬サイズ、ドラムは小鳥サイズになれば良いね。クーコも子犬サイズになれるかい?」
「我了承。」
鵺のライヤは頷く。
「承知した。」
ドラゴンのドラムも承諾した。
「大丈夫や。」
空狐のクーコは子犬サイズになった。
「後はユキにこの剣を渡すよ。」
迷宮『猫の穴』で手に入れた炎の魔剣をユキに渡した。
「雪女に炎の魔剣って大丈夫?」
「問題ありんせん。」
「じゃあ、ドラムとライヤに分乗して獣人国に行こう。」
ドラムとライヤは馬サイズになって、俺とダルアはドラムに乗る。
ペロは俺の影に入り、雪は粉雪になり俺の側に漂う。
エリとハルカはライヤに乗る。
バズが風になってエリの周りを纏う。
クーコが子犬サイズになってライヤの頭にしがみついた。
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