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262 魔王イリスなのだ

セイレーンの集落は、エキドナの眷族であるデルピュネに任せた。


「じゃあ、帰ろうか。」

俺は仲間達に言った。


「そうだにゃ。復讐も完了したし帰るにゃ。」とケット・シーのペロ。


「うむ。気功士王国でダル達も待ってるのじゃ。」とエルフのエリ。


「イリヤ、じゃあねー。」とハーピーのハルカ。


「承知しんした。」と雪女のユキ。


「ちょっと待て!」とエキドナ。


「ん? なんだ?」


「魔王様に会っていけ。」


「え゛~。ヤだよ。」

露骨に嫌な顔の俺。


「そんな事言わずに、なっ。」


「なっ、じゃねえよ。」


デルピュネが温かい目で見ている。

「うふふ、エキドナ様とショータ様は、まるで夫婦の様ですわね。」


「そうだろ。妾はショータの子を産むのだ。」


「あら? うふふ。」


「違う違う、そんなの認めてねえし、既成事実作ろうとすんなよ。」


「まあ、うふふ。」


「良いだろ。ほら、こっちの身体の方が良いか?」

エキドナは、下半身人間に変化して、俺の腕に胸を押し付ける。


「ちょっと、ちょっと、そう言うのは良いから。」


「ははは、魔王軍が気功士王国とその同盟国に攻め込まない契約を、交わしただろう。その契約をより確実にする為に魔王様に、念押しする必要があるのだ。」


「うん。それはエキドナの仕事だ。」


「まあ、そうなのだが、ショータの力を見せればより早く、魔王様も納得するだろう。」


「ヤだよ。エキドナが1人で説明してよ。」


「そこを何とか、なっ、なっ、この通りだ。お願いだよぉ。」


「え゛~。ヤだなぁ。う~ん。」


「ねっ、良いでしょ。お願い。ねっ、ねっ、ねっ、お願い。」

最後には可愛く上目遣いでお願いされて・・・。


「ちっ、しょうがねえなぁ。会うだけだぞ。最悪魔王と殺し合いになっちゃうかもよ。」


「やったぁ!大丈夫大丈夫、魔王様も強い男が好きなのだ。」


強い男が好き?


何だかイヤな予感がする。


ーーーーーーーーーーーーーーーーー


どうしてこうなった・・・。


今俺達は魔王城謁見の間にいる。


俺も一応気功士王国の国王だから、跪く事はせず、魔王も王座から降りて向かい合ったのだが・・・。


イヤな予感は当たっていた。


魔王は女だった。


見た目は12,3の年齢の魔族で、凄く可愛い事は認める。しかし実年齢は恐らく100歳を越えるだろう。所謂合法ロリって言う奴だ。俺は種族差別はしないのだが、これは犯罪だろう。


俺は魔力を感知出来ないので、分からんが、濃厚で邪悪な、そして強力な魔力が滲み出てるらしい。


ペロもエリもハルカもユキでさえビビって後退った。


魔王の気配は確かに只者ではないが、気の力は断然俺の方が上だからねぇ。


俺は平然と向かい合ったのだが、今まで魔王と向かい合って、平然としている者を見た事がないらしく、えらく気に入られて、いきなり抱き付いて来た魔王!


「魔王のイリスなのだ!宜しくなのだ!抱き付いても平然としてるとは、しゅごいのだ。しゅてきなのだ。」


「あ、ああ、俺は、気功士王国の国王ショータだ。ちょっと、離れろ。」

魔王の肩を掴んで引き離す。


「ほほう、流石だな。我を前にしてその余裕とは、未だかつていなかったのだ。エキドナに聞いたぞ!強いんだってなぁ。」


キラキラした目で上目遣いで、俺を見る魔王。


「ま、まあ、そこそこな。」


「早速だが、勇者を倒してくれ!」


「はぁ、それは断る!」


「ちょっと、魔王様、妾の婿殿に、あまり近付いて貰っては困るな!」


エキドナは俺と魔王の間に入って来た。ちょっと戦闘モードになっているエキドナ。


このくらい力を込めないと、魔王の魔力に対抗出来ないらしい。


「って、婿じゃねえだろう。認めて無いからなぁ。」

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