012 ある日森の中猫さんと出会った
脚に気を込めて、森の中を走る。
アイテムバッグを装備している。
ショルダーバッグ型のアイテムバッグは、ウエストバッグの様に腰に固定する事が出来たので、移動も苦にならず音もしないので、狩りの時に装備していても支障が無い事から常時装備している。
気配検知で魔物の位置を確認。
気配の主はアルミラージ。
巨大な一角兎。
黄色の体毛に覆われている。
体長は1mぐらい。
黒い螺旋状の角は60cmと長い。
角も含めると体長は1m60cmだ。
鋭い牙と爪。太い後足。
アルミラージは遠目に見ると可愛いが、凶暴な魔物だ。
強靱な足腰による跳躍、螺旋状の角で突き刺す体当たりは破壊力抜群。
接近時には鋭い爪と牙で襲う。
俊敏性も兼ね備えた魔物。
ゴブリンやコボルトは1対1では歯が立たない。
気配を消してアルミラージに近付く。
狩りと野宿の生活も3日目となり、気の操作も随分上達していた。
アルミラージの後ろから横に移動し手刀で首を刎ねた。
その時、突然後方の木の上に気配が現れた。
「魔法を使わずに上手に狩をするにゃ~。」
振り向くと、そこには人型の子供の黒猫がいた。
俺は指弾を準備し、黒猫を注視する。
「戦うつもりはにゃいにゃ。アタシはケット・シーのペロだにゃ。」
ペロは両手を振って害が無い事を伝えているつもりらしい。
「俺はショータ。何故ここに来た?」
警戒を解かず指弾の準備はそのまま、会話する事にした。
「そのアルミラージを狙ってたにゃ。
狩る寸前で突然ショータが現れてビックリしたにゃ。」
アルミラージを狙ってたのか。
「それは済まなかったな。他の獲物を探すから、このアルミラージは渡すよ。」
アルミラージの死骸を持ってペロに差し出す。
「そんなつもりで言った訳じゃにゃい。獲物は倒した者の物にゃ。倒されるまで全く分からにゃかったから、驚いたにゃ。魔力も音も検知出来にゃかったにゃ。」
「ペロも急に現れたじゃないか。俺も驚いたよ。」
気配が無かったところに急に出現したのだ。俺と同じ気配を消す事が出来るのか?
ペロはニヤッと笑って嬉しそう。
「闇魔法にゃ。影に隠れる事ができるにゃ。こんな風にゃ。」
ペロが影に沈む。
気配が消えた。
・・・。
俺の影から目の前にペロが現れた。
「おお!ビックリしたよ。凄い魔法だね。」
こんな魔法があるんだ!影に沈んでいる間は気配検知出来ないのか。
こんな敵が出たら危ないな。
「凄いにゃろ。」
ペロは得意気だ。
「俺の技は秘密だよ。」
「え!ずるいにゃ~。」
「初めて会ったばかりの人に・・・、いや猫に教えられないよ。
不用心だ。」
「う~。ずるいにゃ~。」
ペロは俺をジト目で見てる。
「ぐぅうう。」
その時、ペロのお腹がなった。
「一緒に食べようか?」
俺は笑いながらペロに聞いた。
「いいのかにゃ?」
ペロは笑いながら嬉しそうだった。
その後、アルミラージを解体して一緒に食べた。
それから何回かペロと一緒に狩りをする事になった。ペロが現れない日もあって、猫は気紛れだと思ってたら、そうでは無かったらしい。
「昨日は見つけられなかったにゃ。」
ペロは困った表情だ。
俺が気配を消して移動しているので、探しても見つけられない日があったとの事
一人で居る事に寂しさもあり、話相手がいると楽しかったので、待ち合わせをして毎日会うようになっていた。




