1475.質疑篇:中世ヨーロッパのような異世界ファンタジーばかり
今回は以前から何度か読み手の方と話題にしている「中世ヨーロッパのような異世界ファンタジーばかり」についてです。
改めてGoogle先生にお聞きしたところ「ナーロッパ」という単語がヒットしました。先生、初めて聞きました、その単語。
ということで、そちらを中心とした解説となっています。
中世ヨーロッパのような異世界ファンタジーばかり
「異世界ファンタジー」ジャンルは、なぜか「中世ヨーロッパのような」世界観ばかりです。
もちろん工夫を凝らして、その書き手ならではの世界観を構築する方もいらっしゃいます。でも少数派なんですよね。
なぜ「異世界ファンタジー」は「中世ヨーロッパのような、剣と魔法のファンタジー」ばかり集まるのでしょうか。
設定を丸投げできる
最も多い理由はおそらく「設定しなくても読み手と共有している世界観だから」だと思います。
水野良氏『ロードス島戦記 灰色の魔女』から、神坂一氏『スレイヤーズ』、茅田砂胡氏『デルティニア戦記』、水野良氏『魔法戦士リウイ』、片理誠氏『屍竜戦記』、杉原智則氏『烙印の紋章』、水野良氏『ブレイドライン アーシア剣聖記』、杉原智則氏『政権の姫と神盟騎士団』、水野良氏『グランクレスト戦記』、内堀優一氏『グラウスタンディア皇国物語』、津田彷徨氏『やる気なし英雄譚』などが「中世ヨーロッパのような異世界ファンタジー」の代表格でしょうか。水野良氏のファンなのでその点は申し訳ございません。
変わったところでは和テイストを含む伏見健二氏『ブルーフォレスト物語』、春日みかげ氏『織田信奈の野望』。ロボットも登場する日下部匡俊氏『剣の聖刻年代記』、近代兵器が剣と魔法のファンタジーに乗り込む『ゲート 自衛隊彼の地にて斯く戦えり』と異色のものもあります。
これらの戦記もの以外にも、単発だったりラブコメだったりで「読み手と共有している世界観」として「中世ヨーロッパのような異世界ファンタジー」が定義されているのです。
書店のライトノベルコーナーを覗いたら、必ず一冊は置いてある。そんな世界観です。
ナーロッパ
Web検索したところ「ナーロッパ」という単語を見つけました。
「剣と魔法のファンタジーRPG風異世界」のこととされています。(出典:ニコニコ大百科)
この言葉はいわゆる「なろう系作品に関する蔑称」、それと「気軽な創作に極めて便利な世界観の概念」という2つの側面を持つ。とされています。
「なろう系」+「ヨーロッパ」で「ナーロッパ」。わかりやすいですね。
異世界に転移・転生するなろう系と称される作品群での行先が余りにもテンプレートである事から付けられた侮蔑的俗称が発祥ではあるが、語感や語呂のよさ、またアマチュア小説自体に向けるスラング・蔑称もそれほど忌避されない風潮から喜んで使うなろう作家も居る。
「剣と魔法のファンタジー」はゲームの『ドラゴンクエスト』シリーズでもおなじみです。「冒険者ギルド」は『ロードス島戦記』に出てきますし、レベルやスキルの概念は深沢美潮氏『フォーチュン・クエスト』やマンガの衛藤ヒロユキ氏『魔法陣グルグル』などにも存在していました。
ですからこれらが「ナーロッパ」を規定するわけではありません。
また「ナーロッパ」的特徴を持つファンタジー世界は「中世ヨーロッパ風」とよく表現されますが、それらが同時に現実の中世ヨーロッパとは全然違う文明レベルであることは頻繁に指摘され続けて来た。とあります。
「ナーロッパ」はあくまでも「ファンタジーRPGによく見られる中世ヨーロッパ風の世界観」であって実際の中世ヨーロッパとはまったく異なる世界観なのです。ですがプレートメイルを着ていたり剣で戦ったりするので騎士が活躍した時代と場所を象徴して「中世ヨーロッパ」と呼んでいるにすぎません。
ゲーム的なナーロッパ
「ナーロッパ」にはファンタジーRPGをベースにした概念がよく用いられます。
「レベル」「ステータス」「HP」「MP」「スキル」「クラスシステム」また使用回数のある「魔法」などがその特徴に挙げられるでしょう。
もともとがゲームから派生した三条陸氏&稲田浩司氏『DRAGON QUEST −ダイの大冒険−』あたりからステータス関連の概念が創作界隈に持ち込まれたようです。
このタイプの「ナーロッパ」では演出ではなく本当にステータスという概念が存在します。
ゲームが元なので「冒険者ギルド」も数多く登場します。これもゲイリー・ガイギャックス氏『Dungeons&Dragons』から登場し、そのリプレイとして連載された『ロードス島戦記』で一般にも普及したのです。
そしてなぜか存在するダンジョンと、そこに棲まうモンスター。まぁこれらがなければ「剣と魔法のファンタジー」である必然性もないですからね。
しかもモンスターを倒すと姿が消えて、代わりにアイテムや金銭や経験値が手に入るなんていうのも、いかにも「ゲーム的」です。
また衛生環境や医療レベルも実際の中世ヨーロッパとは雲泥の差があります。スライムに下水処理させたり怪我は治癒魔法で治したり。もちろん上下水道が完備された都市や、外科医のいる世界だってあります。
「異世界ファンタジー」を書いている方は、一度Googleで「ナーロッパ」を検索してその定義を読んでおくとよいでしょう。
いかに、あなたが書こうとしている、または書いている作品が「ナーロッパ」かわかるかもしれません。
もちろん「ナーロッパ」だからダメと言いたいわけではないのです。むしろ「皆と共有している剣と魔法のファンタジー世界」として「ナーロッパ」があってもよいのです。
ただ、その世界観だと別にあなたが物語を書かなくても、誰かが書いてくれますよね。その世界観であなたらしさが本当に出せるとお思いなら「小説賞・新人賞」へ応募したってかまわないのです。
要は「ナーロッパ」を書きたいのか、「独自の世界観」を書きたいのかを、始めから明らかにしておきましょう。
現実問題として「ナーロッパ」作品は多数「紙の書籍」化されていますからね。
最後に
今回は「中世ヨーロッパのような異世界ファンタジーばかり」についてお答え致しました。
まぁほとんど「ナーロッパ」で探してきた情報ばかりですけれども。
しかしよく「ナーロッパ」なんて造語が生まれたものだと、感心すらしてしまいます。
皆様は「ナーロッパ」の物語が書きたいのですか。
それともオリジナリティのある世界観の物語を書きたいのですか。




