表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
58/253

58

 そのあと、しばらく腕十字の掛け合いをしてからまた剣術の稽古に戻った。


「オミくんはさっきの構えで良さそうだから武器はメイスでいいんだけど、ソードみたく鍔のついたものが良いと思う。そうすれば相手の剣を受けた時にも手を守れる」

「おお、そんなものが?」

「いや、そんな武器は普通では無いからオーダーして作ってもらうしかないね。もしくは割り切って木刀にするか」

「ああ、でもそれもアリですよね。程よい木材があればどこでも作れる」

「そう、それって地味に大事なんだよ。あと、両手剣の良いところなんだけど、盾がなくなると旅が随分楽になるよ」

「あ、そうだな。荷物が減るから行軍が随分ラクだな」

「なるほど」

「剣と盾と弓を持って食糧と毛布を持つとなると結構なもんだぞ」

「みなさんそうした経験が?」

「そうな、海軍ではそうした行軍はないが陸軍ではある。アカデミーでは必ずやるな」

「軍事教練の基礎だね」

「でもキコさんもナイフじゃないですか」

「お前もアカデミーに行ったら剣と盾と弓は持たされるけどな」

「なんだ」

「何にせよ、オミくんの武器を早く作ってしまおう」

「そうしようぜ」

「え、いいんですか?」


 出来上がったメイス木刀は70cm程の木材に10cm程の横木を麻紐で括り付けただけの大変簡素なもの。

 把手部分が30cm程あるのでブレードに当たる部分は40cmしかない。

 見るからにしょぼい仕上がりだったが、鍔に見立てた横木が使ってみると大変ありがたかった。

 そのあとも少し乱取りなどしたが、上段攻撃の受けの安心感が段違いだった。

 剣道スタイルだと上段は受けとめるのではなく左右に受け流すので滑った相手の刃が指に当たることが最も避けなければならないことだが、鍔があることで変に弾くことやはね除けることを意識しなくても受けることができる。


 ちなみに、さっきみたいな奇襲のような攻撃はキコにもカッロにももう通用しなかったよ。

 タックルも組み付きも警戒されて全く通用しなかった。

 グスン。


 カッロもハチェットに見立てて木刀の先端近くに横木を取り付けた。

 ちょうど俺の木刀を逆さに持ったみたいな感じになるのだが、その横木を上手く使ってこちらの木刀を絡めてもぎ取るみたいな技まで駆使されて全く見事に歯が立たなかった。


 それから教わったのだが、メイスで練習を積みながらも最終的にはソードは使えるようにならなきゃいけないとのこと。

 槍や農具を対処するのにある程度長い武器は使えた方が良いのだとか。

 キコもカッロもちゃんとソードも使えるのだそうだ。

 狭い船での戦闘を想定してそれぞれ短い武器を練習しているだけらしい。


 そうやって考えてみると狭い廊下などを防衛するのだったら正面からチクチクするレイピアは中々侮り難い武器チョイスかもしれない。


 そういえば銃は存在しないのだろうか。

 今度長官に聞いてみよう。


 そうしていると飯の時間となり、俺はロッコを手伝って配膳などこなし片付けを終わらせてからいつものように長官と飯だった。


 格闘技の話は長官も興味を持ったので長官にも腕十字を極めて一日を終えた。

 夜になるとパコに突かれた首の傷がヒリヒリと痛んだが、次はあんな風に一方的にやられないよう練習を積まなければ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
首への突きは即死リスクがあるから、訓練中に発生すると吊るされる案件なんよね 特に軍隊だと営巣入り以上 何が言いたいかというとパコしんどけって感じ 訓練中の事故を装った犯罪許せんわ
そういえば日本だと先に火縄銃が入って来たから銃→大砲のイメージだけど 西洋だとまず大砲があって次に銃の順番だったんだっけね
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ