表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
94/120

第9章ー4

 たびたび、話が変わってすみません。

 北部戦線を制したスペイン国民派や日本等は、思わぬ獲物を手に入れます。

 バスク地方を抑えたスペイン国民派とそれを支える英日伊等は、思わぬ獲物を手に入れることができた。

 それは、何種類かのソ連製兵器の設計図や治具等だった。

 何故、そのようなものがあったかというと、スペインの主な兵器工場群は、主にバスク地方とアストゥリアス地方に従前からあったことから、スペイン共和派政府は、その兵器工場群を活用して、ソ連製兵器を北部戦線に供給することで、北部戦線を維持しようと考えていたからである。

 ところが、スペイン国民派の進撃が急だったことと、バスク自治政府の寝返りにより、それらがスペイン国民派等の手に無傷で落ちたという訳だった。


 また、独ソの各種兵器の何種かも、完全に動く状態、かつ説明書付きで、スペイン国民派等は、バスク自治政府の面々から手に入れることができた。

 これらは、スペイン国民派等(中でも対ソ主敵の日本)にしてみれば、宝の山が手に入った、といえる大戦果だった。


「ほう、ソ連製の自動小銃とは。しかも38式歩兵銃の銃弾が、そのままで、ほぼ使えるとは有り難い」

 ローマから帰還していた石原莞爾大佐は、宝の山の詳細について知るたびに、子どものような歓声を上げつつ、その中身の詳細を咀嚼しては、日本に報告していたのだが、中でもフェドロフM1916自動小銃に着目した。

 これは、真実では、中古兵器を少しでも高く売りつけようというソ連政府の方針から、売り込まれた兵器だったのだが、日本の軍人からしてみれば、別の意味があった。

 疑えばきりがない、というレベルの話だが、ソ連軍が、ボルトアクション式小銃に替えて、自動小銃を前線に配備しようとしているのではないか、という疑惑を石原大佐は覚えたのである。

「何しろ、スペインにまで自動小銃を供給するくらいだ。ソ連は、狙撃兵に配備する小銃を全て自動小銃化するつもりではないだろうか」

 石原大佐は、そう考えて、自己の意見を付け加えて、日本の海兵隊(及び陸軍)に報告した。

 このことは、日本陸軍に大騒動を引き起こした。


「ふむ。F-22 76.2mm野砲か。すごいな。いざとなれば、対空用の高射砲としても、対戦車用の対戦車砲としても使えるとは。これをスペイン共和派は量産するつもりだったのか」

 石原大佐は、ソ連から提供され、ライセンス生産予定だった、この野砲の高性能ぶりには瞠目する想いがしていた。

 実際問題として、高射砲として使おうとするなら、それなりの高射算定具等が必要であり、それがソ連からスペインに供給されていない以上、高射砲としては、ほぼ使えないが、野砲、対戦車砲としてスペイン共和派が使用するなら、そう問題は無さそうだった。

「これも、日本に報告せねばな」


「ドイツ製の兵器にも、目を見張るものが多いな。特に88ミリ高射砲はすごい。まさか、ドイツは、この砲を搭載したり、これに耐えうる戦車を開発、保有するつもりではないだろうな」

 第二次世界大戦において、その勇名を馳せるドイツ製8.8cmFlak18も、スペイン共和派に売却されていた。

 バスク自治政府の担当者の説明によると、高射砲としても、対戦車砲としても使える優秀な砲とのことで、実際、マドリード攻防戦で、数少ないスペイン国民派の戦車部隊に対して、この高射砲が対戦車砲として使用され、戦車部隊をほぼ全滅させた、ということが、石原大佐の耳にも届いている。

 実際、この高射砲が、日本の戦車に対して、対戦車砲として用いられた場合、開発中の海兵隊の戦車でさえ、最も厚い部分の装甲は傾斜80ミリに過ぎず、耐えられない公算が高かった。

「これに耐えられ、かつ撃ち勝てる戦車を作らねばな」

 石原大佐は、これも日本に報告することにした。

 ご意見、ご感想をお待ちしています。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ