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第4章ー9

 ちなみに、英海軍の艦上爆撃機であるが、96式艦上爆撃機よりも、後にブラックバーン・スクア艦上爆撃機が開発されている。

 だが、スクアはまともな急降下爆撃照準器の開発に失敗したために、基本的に地上目標や停泊中の艦船といった動かない目標にしか急降下爆撃が不可能だった。

 もっとも、当時の英海軍としては、スクアを艦上戦闘機としても使える艦上爆撃機として開発したために、そんなに不都合だとは考えていなかったらしい(海上を移動する艦船は、水平爆撃すればいいではないか、という発想だった。)。


 そのため、第二次世界大戦勃発後、英国救援に駆け付けた日米両海軍の空母に搭載された艦上爆撃機を見て、英海軍は、一驚する羽目になる(何で、海上を移動する艦船を、日米両海軍の艦上爆撃機は、急降下爆撃できるのだ、という驚きである。逆に、日米両海軍の方は、何で、英海軍は海上を移動する艦船を急降下爆撃できる艦上爆撃機を保有していないのだ、と驚く羽目になった。)。


 厳密に言うと、第二次世界大戦初期(1940年前後)、後述するフェアリー・ソードフィッシュ艦上攻撃機が、英海軍では、海上を移動する艦船に対する急降下爆撃が可能だったので、英海軍に全く無かったということは無いらしいが、1930年(!)に開発が開始され、1935年に制式採用されたという複葉機である。


 日米両海軍は、既に99式艦上爆撃機、SBD艦上爆撃機を制式採用している段階であり、それを聞いた米海軍のハルゼー提督が、

「英海軍は、真面目に艦上機を開発する気があるのか。それとも戦争する気が無いのか」

 と英海軍の軍人がいないこともあり、部下の前で、怒りをぶちまけたという噂がある。


 ちなみに艦上攻撃機については、日本海軍の96式艦上攻撃機と、米海軍のTBD艦上攻撃機が、同年の採用であり、共に単葉機で、艦上攻撃機としての性能は、日米海軍の間に差はそうない。

 ただ、敢えて問題を挙げるなら、航空雷撃を行う際に使う航空魚雷は、かなりの精密機械であり、日本海軍は孜々営々と改良の努力を積み重ねていたが、米海軍は、そこまで熱心でなかったため、航空魚雷を使用しての対艦攻撃の際に、TBDはかなり速度を殺す必要があったのに対し、96式艦攻は、その必要が少なかったという差がある。

 そのため、96式艦攻が雷撃を行う際の速度を見て、米海軍のTBDの搭乗員は、よくあんな速度で雷撃ができるものだ、と感心したという逸話があり、96式艦攻の方が優秀と言えた。


 これに対して、英海軍は、前述したフェアリー・ソードフィッシュ艦攻が、96式艦攻が登場した当時の現役であり、更に第二次世界大戦終結まで、後継機を事実上採用しなかった。

(厳密にいうと、英海軍は、フェアリー・アルバコア艦上攻撃機を、1938年に制式採用、1940年に量産開始はしているのだが、運動性能や操縦性では、ソードフィッシュの方が優れていたため(更に、アルバコアも複葉機だったために)、前線部隊では、アルバコアではなく、ソードフィッシュを寄越せ、という声が極めて高く、新鋭機のアルバコアが後方部隊に、旧式機のソードフィッシュが前線部隊に、という日米両海軍からすれば、英海軍は、何を考えているのだ、という事態が引き起こされた。)


 このように、日本海軍航空隊の96式シリーズは、同時代の英米海軍の艦上機を明らかに凌ぐと言えるものであり、日本空軍の96式シリーズと共に、日本の航空業界の精華を、世界に示すものと言えた。

 そして、第二次世界大戦の最初期を、日本海軍航空隊は96式シリーズで戦い、96式艦攻に至っては、第二次世界大戦の中盤まで、第一線で活躍した。

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