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王宮世界・絶対少女王政ムジカ  作者: 狩集奏汰
四章
88/97

87話

 気を取り直して公国での会談である。

王国のときと同様に、クレシェンド公の側には廷臣達が立ち並ぶ。

しかし今回は立ち位置などから推測するまでもなく、彼らの代表が誰なのか一目でわかった。

公国摂政フォルテ・シンフォニア伯爵、その存在感は群を抜いている。


『フォルテ・シンフォニア サブキャラ 所属:【ピアノ公国】

  【ピアノ公国】摂政。伯爵。

  先代公王ラルゴと公王クレシェンドの強い信任により国政をほぼ一任している。

  その手腕から国民からの人気も厚い。』


 簡潔な【道標】の記述からさえもその有能さが伺える。

というか常に戦時体制の軍事国家なのに国民からも人気ってどんな手を使ってるんだ。

まあ今はまずこの会談を乗り切ることだけ考えよう。

わたしは姿勢を正して進行を見守ることにした。


「【聖女】殿、今回の訪問誠に感謝します。そして学友として、無事な様子に安心しました」


 まずはクレシェンド公がマリアに挨拶をした。

ちらちらとシンフォニア伯爵を見て指示を仰いでいるのが不安を煽る。


「わたしも会談の場を設けて頂き感謝しています。早速ですが、対ドラゴン同盟の参加について答えをお聞かせ頂けるでしょうか?」


「うん、それについてはもちろん参加……でいいんだよね、フォルテ?」


 シンフォニア伯爵はこほん、と咳払いをして口を開く。


「もちろん公王陛下の意のままに。しかし……【聖女】殿に一つ確認が」


「はい、なんでしょうか?」


「既に帝国と王国を訪れているということは、二国の参加を取り付けているということでよろしいいですか?」


「ええ、もちろんです」


 マリアに緊張が走る。

【道標】の記述から察するに、おそらくここから白竜王キーボード討伐の話へと移る。

シンフォニア伯爵は満足気に頷き、話を進める。


「では公王陛下が参加の意を示したただいまより、同盟の履行を求めてもよろしいですかな?」


 普通に考えればよろしくない。

しかし【道標】によれば今回は頷くのが正解だし、求められる内容が不可能でないこともわかっている。

マリアは緊張しつつも、既にここから先の会話の内容を知っていることを悟られないように返事をする。


「わたし達に出来ることであれば、なんなりと」


「【聖女】殿というよりは、そちらの帝国騎士である彼女にお願いしたいのです」


「わたし、でしょうか?」


 わたしも白々しくならないように気をつけて会話に加わる。


「帝国が同盟に参加しドラゴン討伐に国を越えて協力するというのなら、【宝剣ストラディバリウス】を持つ貴方の協力を要請したいのです」


「わたしは【聖女】マリアとともに試練に挑む身、当然協力させて頂きます」


 なんとか平静を保ちつつ会話を進めているが、この人当たり前のように色々知っているな……

マリアにわたしが同行していること、【宝剣ストラディバリウス】を持っていることが筒抜けである。

いや、クレシェンド公やレガートがいるんだからそう難しくはないか。


「こうも急ぎ協力を要請するということは、公国に出現している白竜王キーボードとの戦いは切迫しているのでしょうか?」


 マリアがそうではないことを知りつつ、質問を投げかける。

シンフォニア伯爵はにこにこと微笑みをたたえてそれに答えた。


「白竜王キーボードとの戦況は均衡している、といったところでしょうか。公国の将兵の奮戦と【遺物(マスターピース)】のおかげでね」


『【遺物(マスターピース)

  【古代超帝国オーケストラ】の遺失技術によって作られた機械。

  ほとんどのものは既に故障しているか使用方法そのものが分からず収集品としての価値しかない。

  極稀に発掘される使用可能なものは高額で国家が回収している。

  帝国と王国の遺跡はほとんど発掘されているが公国の遺跡は未発掘のものが多いため、新たに使用可能なものが見つかるとすれば公国からだろうと言われている。』


 実際に見つけやがったらしい。

【道標】によると公国は拘束用の【遺物(マスターピース)】で白竜王キーボードを足止めし、その間に眷属のワイバーンを討伐することで防衛戦を維持しているようだ。

帝国人的にはそんな強力な【遺物(マスターピース)】はここで使い切って欲しいのだが、残念なことに【トゥルーエンド】に向うためには【遺物(マスターピース)】が壊れる前に白竜王キーボードを討伐する必要がある。


「【遺物(マスターピース)】……、白竜王キーボード討伐後は他のドラゴン討伐のために供与していただけますよね?」


 マリアが釘を刺す。


「もちろん、そのためにこそ一刻も早い白竜王キーボード討伐にお力添えを」


 シンフォニア伯爵は少しも怯むことなくそう返した。

こうして一応会談はまとまった。

のん気にあくびをしていたクレシェンド公をせっついて返書をしっかり頂く。

シンフォニア伯爵の説明によると現在の白竜王キーボードの位置は【カンタータ】から南西。

今晩は休養に当てて明日早速出発し討伐へと向うことになった。

正直公国領内の険しい道のりと長旅でちょっと疲れてきているのだが、戦いの中でそんな弱音を騎士が吐くわけにもいかない。

用意された客間には柔らかいベッドもあるし、しっかり眠って元気回復だ!

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