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王宮世界・絶対少女王政ムジカ  作者: 狩集奏汰
四章
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81話

 とりあえず帝国での目的は果たした。

わたし達は客間へと通され、一息をつく。


「緊張しました……上手くいったんです、よね?」


「皇帝陛下の腹の底はともかく、【トゥルーエンド】に向かう条件は満たせたはずよ……」


 短い会談だったのに、わたしもマリアも疲労を隠せないで向かい合う。

しばらく見つめ合っていると、はっと気づいたようにマリアが頬を赤く染める。


「そ、そういえば、手を握ってくれてありがとうございました。勇気が出てきたっていうか……」


 マリアは恐る恐るといった様子で、わたしを見つめる。


「本当に、これからもいっしょにいてくれるんですか……?」


「調子のいいことを言っているのはわかってるわ。それでも、いっしょにいたいっていう気持ちは本当」


 わたしはマリアに真正面から向き合って深く、頭を下げる。


「どうかあなたの力になることを許して欲しい」


 沈黙の中、ゆっくりと時間が過ぎていく。

ずっと頭を下げ続けられてもマリアが困るだろうと思い、頭を上げてもう一度彼女の顔を見る。

マリアは――顔を真っ赤にして、固まっていた。

えーっと、これはどういう反応だろうか?


「あー、マリア、許せないならそれでいいの。わたしはそれだけのことをしたし……」


「メロディ先輩!!」


 そう叫んで、マリアがわたしの胸に飛び込んできた。

ちょっと驚いたが、しっかり受け止めて、彼女の肩を抱く。

そうするとマリアはわたしにぎゅっと抱きついて感極まった声で話を続ける。


「メロディ先輩の中にわたしがいるって思ったの、全部勘違いだったと思ったらすごく辛くて……今までずっと苦しかった……!」


「そうね、わたしのせいで辛い思いをさせてごめんな……」


「でも!全部が勘違いってわけじゃなかったなら、メロディ先輩がいっしょにいてくれるって言ってくれるなら、わたしそれだけで幸せです!!」


 マリアは本当に幸せそうな笑顔で、そう言った。

わたしもそう言ってもらえたことを、とても幸せに感じた。

彼女を守りたい、幸せにしたいという気持ちが溢れ出してきて、これは――親友というやつね!

リズムやハミィに対する気持ちとちょっと似てるけど全然違う初めての感情。

これが一番の友達――親友への気持ちに違いない。

そう思って、わたしもマリアの体を強く抱き締めた。


「えーっと、話しかけてもいい感じでしょうか?」


 宮殿勤めのメイドが申し訳無さそうに話しかけてきた。

いつからそこに……ってよく考えたら扉をちゃんと閉めていなかったな。


「きゃっ!はい、すみません!大丈夫ですなんでしょうか!!」


 マリアは大慌てでわたしから離れてあたふたとメイドに対応する。

そんなに照れなくてもいいのに、かわいいなぁ。

のん気にそんなことを考えているわたしにメイドから容赦ない伝言が伝えられる。


「皇帝陛下からメロディ様にお呼び出しです」


 そうだった、()()()()()()したいって言われてるんだった!



 呼び出されたのは皇帝陛下の私的な空間。

いるのは足置き台になっているブレイクおじさまとおうちモードかつ不機嫌な皇帝陛下だった。


「えっと、お久しぶりですフォニム様」


「メロディはさ、わたしがなんで不機嫌なのかわかる?」


 足をばたばたさせながら、座った目でわたしを見てくる皇帝陛下。

これは処罰とかはされないけどひたすらねちねち言われる面倒くさいやつ!


「【聖女】にマウント取られたから、でしょうか?」


「違う~~~!ちょっとは苛ついたけど、子供相手にそこまで大人気ないわたしじゃない~~~」


「それじゃあ……これからの王国と公国との折衝が面倒だから?」


「また違う!むしろどう追い詰めてやろうか楽しみにしてる。本当にわかんないの?」


 わかりませんよ!?

助け舟を求めてブレイクおじさまの方を見ると、満足気な顔で足置き台を満喫していた。

お父様といい大丈夫かこの国の偉い人達!


「メロディ、フォニム様は君と【聖女】殿が仲良くしていたのが羨ましいんだ……ビート殿とはしばらく会えていないから、くっ、あいつ羨ましい!!」


 皇帝陛下もお父様と仲良くしたかった?本当にそれだけ?

皇帝陛下の方を向き直すとその通り、と言わんばかりに深く頷かれた。


「そこに嫉妬して不機嫌って、十分大人気ないじゃないですか……」


「大人気なくて悪い~~~?」


 開き直られた。

今日は本気で面倒くさい感じらしい。


「あぁ、むかつく!それと、君達次は王国の方に行くんだよね?」


「はい、そうですけど……」


 【クラシック王国】には青竜王ベース、赤竜王ドラムの二体のドラゴンが出現している。

急いで帝国との協力体制を築き上げなければ被害は取り返しのつかないものになるだろう。

マリアにとっても故郷と家族が心配なはずである。


「だったら途中でビートのいる辺り通って様子見てきてよ、ドラゴンはぶっ殺したけどそれでワイバーンがいなくなるわけじゃないみたいだからその対策でそっちに手が回らないんだよ」


 ワイバーン、一人前の騎士ならばなんとかなる強さのようだが数が多い。

その対策をしっかりしておかなければ皇帝陛下が国を離れて他のドラゴンを討ちに行くことは出来ないから手を抜くことは許されない。

おうちモードのときはこんな感じだけど、仕事はきちんとこなす方なのだ。


「お任せください、お父様にフォニム様が会いたがっていることをちゃんと伝えて、王国との協力体制も取り付けてきてみせますよ」


 わたしもやるべきことをちゃんとこなさねば。


「なんかここで終わらせようとしてるけどまだまだメロディには付き合ってもらうからね?」


 えー、終わらせてよ……

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