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王宮世界・絶対少女王政ムジカ  作者: 狩集奏汰
三章
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56話

 寮に到着したあとリズムとオクターヴ、親衛隊のみんなを一旦談話室に待たせておいてわたしはハミィとイロハをそれぞれの個室へと案内した。

イロハは自分で荷解きは出来ると言うのでとりあえずハミィの手伝いである。


「お姉様、手紙にも書いていたけれど本当にモテモテなんですね」


「それはなんというか……事の成り行きが大きいのだけれど、慕われるというのは案外悪い気はしないものね」


 なんて雑談も交えつつ二人がかりで荷解きを進めると仕事はすぐに終わり、あっという間に制服に着替えたハミィの出来上がりである。

ハミィの可愛さに比べて制服は少し、いやかなり地味だが制服の目的は着飾ることではないのでそこは仕方がない。


「それじゃあ制帽も持って、イロハさんを迎えに行きましょうか」


「はーい!あ、そうだその前にお姉様、一つ聞いてもいいですか?」


「なにかしら?」


 今ここで説明するべきことはあったかな?と首を傾げつつハミィの言葉に耳を傾ける。


「お兄様といい感じだっていうマリア・フォン・ウェーバーさん、本当にそうなの?さっきの人達みたいに実はお姉様狙いだったりしない?」


 おやおや、何を聞くかと思えば。


「まさか、そんなわけないじゃない。変なこと聞いてないで早く行くわよ」


「うーん、本当かなぁ……」


 【道標】によればわたしも確かに【攻略キャラ】の一人ではあるものの、わたしの【個別シナリオ】に入るには今年の【帝国シナリオ】中に特殊な条件をいくつか満たさなければならない。つまり、現時点でマリアにとって()()()()()()()()()()()()()()()()()()なのである。

条件を満たしていてもリズムの【個別シナリオ】に進むことは出来るしね。


 というわけでハミィの勘違いは置いといて、イロハの個室前。

わたしは彼女の部屋をノックし、準備ができたかどうか尋ねる。

すると少しだけ待ってほしいという返事のあと、さして待つこともなく彼女は扉を開けて出て来た。


「お待たせしました、メロディさん、ハミィちゃん。制服の着方はこれで大丈夫でしょうか?」


 そう言って不安そうに服を見ていたが、着方はばっちりだった。


「ええ、大丈夫よ。さっきまで着ていた【シラベ国】風の衣装は王国の伝統衣装と似ていたけれど、今風の服もよく似合っているわ」


「良かった、勉強した甲斐がありました。じゃあこのあとは、早速構内を見て回るんでしょうか?」


「あなた達が疲れていないのならそうしましょう。入学式までは大分時間があるからね」


「わたしは元気いっぱいですよ!」


 ハミィが手を上げて答える。

イロハも大丈夫だ、と頷きわたし達はリズム達が待っている談話室へと向かった。



 到着した談話室にはリズム達だけでなくレガートもいた。

後輩との挨拶を終えたのでわたしに会いに来たのだという。


「わたしがメロディと仲良しのレガート・カデンツァだよ。わきまえてね」


 何をわきまえるんだという当然の突っ込みも無視する堂々とした態度だった。


「いや、他にも公爵家の娘だとかクレシェンド公の婚約者で公妃候補だとか言うべきことがあるでしょう……」


「学校内で大事なのはそっちじゃないもん。ところでちっこい子は妹さんだろうけどもう一人は誰なの?」


 ちっこい子ってレガートもハミィも同じくらいの身長でしょうが。

まあそれは置いといて、わたしはレガートにイロハの紹介をする。


「あなたも【シラベ国】からの帰参者の噂は聞いているでしょう?その子女で二年生に編入するイロハ・コトネさんよ。わたし達が学校での世話をするように言われているの」


「よろしくお願いします、えっと、レガート様?」


 おずおずと挨拶をするイロハにレガートは無表情で――最近はかなり感情が読み取れるようになったが、警戒心を示しつつ返事をする。


「レガート先輩でいいよ。さっき言った通りメロディはわたしと仲良しなんだからね」


「はいはい、わかっているからその辺にしなさい。これからイロハさんに構内を案内するけれど、レガートもついてくる?」


「ついてく」


 即答だった。

というわけでレガートも加わったわたし達一行は構内案内に出発したのである。



 食堂


「まずは食堂ね、ここで三食頂くことになるわ」


「メロディさんと同席したいなら親衛隊に入隊してくださいね!」


「おかわり自由だからたすかる」


 第一校舎


「ここが第一校舎、普段授業を受けるところね」


「うわぁ、大きいですね……」


「最上階の塔からの景色は一級だけど、基本的には立入禁止なんだ」


 講堂


「ここは講堂、入学式とか聖誕祭のパーティーを行うところよ」


「パーティーってダンスするんだよね?わたしも出たい!」


「それならパートナー探さなきゃ駄目だぞハミィ」


 庭園


「それで隣が生徒の憩いの場である庭園ね」


「聖誕祭パーティーのあとはデートスポットになるよ」


「確かにデートに良さそうな雰囲気です」


 図書館


「ここは図書館、大陸中の書籍が集まっているわ」


「怪しいものも集まってるよね」


「今年も何か見つかるんですかね……」


 武闘場


「ここは武闘場……があったところね」


「吹き飛んでいるんですが、一体何が……?」


「それは話が長くなるからまた今度な」


「剣術トーナメント、今年は中止だね」



「大体こんなものかしら」


「けっこう広いんですね」


「回ってたら時間かかっちゃった」


 ハミィの言う通りそろそろ入学式のために講堂へ向かったほうがいい時間になってきた。

わたし達は一度解散しハミィは入学式へ、それ以外のメンバーは自室へと一旦戻った。

入学式が終わったら歓迎パーティー、今年こそは決闘せずに無事終わらせるぞ!

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