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王宮世界・絶対少女王政ムジカ  作者: 狩集奏汰
一章
18/97

18話

 とにかくわたしに話題を決める権利が回ってきたのだ、やるべきことをやろう。


「ええ、その……あなたの親類、ノイズ・マイナー・セブンスコードのことよ」


「……」


 一気に押しが消えた。

どうやらレガートは彼について全く興味がないようだ。


「彼はあなたのお母様の従兄弟にあたるはずよね、いろいろとお話もしたんじゃないかしら?」

ノイズ・マイナー・セブンスコードの亡命によって起こる問題はなんといっても情報の漏洩だ。


 【トライアド帝国】では後を継ぐべきものが年少であるのに当主が亡くなった場合その伴侶が一時的に権限を引き継ぐ。

マイナー・セブンスコード家のその例に従って亡きユニゾン前大将軍の妻――ノイズ・マイナー・セブンスコードの母親が当主代行となっているが成人していないとはいえ彼ももう十五歳、ある程度の重要な情報も教えられているはずなのだ。

それが【ピアノ公国】に渡ってしまったということはとんでもない事態だ。

マイナー・セブンスコード家はこれをノイズの単独犯とし、一族を挙げて彼を糾弾することで責任から逃れようとしているが、家と所属する【宰相派】の弱体化は避けられないだろう。


 ちなみに【宰相派】と【大将軍派】というと文治派と武断派が対立しているように見えるがそういうわけではない。

【宰相派】は帝国宰相テンポ・マイナー・トライアド公爵を筆頭とする帝室と繋がりが強く既得権益を持つ大貴族の集まりで、【大将軍派】は私の父である帝国大将軍ビート・ドミナント・テンション侯爵を筆頭とする皇帝陛下に個人の能力を認めて引き上げられた近臣の集まりである。

だから【宰相派】に所属するマイナー・セブンスコード家は武門の家だし、お父様の友人で家族ぐるみの付き合いがあるブレイク・ダイアトニック・コード侯爵は【大将軍派】だが皇帝の文書管理を司り強い政治力を持つ秘書官長に就いている。


 話を戻すとノイズ・マイナー・セブンスコードがもたらした情報を【ピアノ公国】はどう受け取っているのか、これは探っておいた方がいいだろう。


「お母様やお兄様とは色々話しているみたいだけど、わたしは別に……」


 おっと、はぐらかすか。


「でも国の外はこんなに静かだから、本当に()()の証拠はないんだね」


()()?」


 いや、なにやら重要な情報の気配だ。

しかも【ピアノ公国】内ではその情報は知れ回っているようだ。


「公国ではフォニム帝が【ムジカの上王】を弑逆するつもりだという話でもちきりだよ」


 なんて?

【ムジカの上王】の弑逆!?


「そんな不敬の極み!皇帝陛下がなさるはずがないわ!!」


 そういうことは邪魔な二国を征服し終わってからするものでしょう!?

おっと、後半は口に出してないな。セーフ。


「フォニム帝は冷酷だけど聡明との評判だもんね」


 冷酷というかワガママで陰湿って感じかな……じゃなくて。

政治・軍事的な実権はなくとも宗教的な権威を持つ【ムジカの上王】を弑逆なんてすれば【ピアノ公国】と【クラシック王国】に大義名分を与え連携させやすくさせてしまう。

【ムジカ大陸】三国の勢力バランスは【トライアド帝国】が他の二国を一つずつ相手するなら楽勝だけど連携されたら厄介、とはいえ【ピアノ公国】と【クラシック王国】も利害が対立しているので完璧な連携は取れない……という状況から成り立っている。

このバランスを【トライアド帝国】に振りになる形で壊して開戦するなど皇帝陛下がなさるはずはないのだ。


 なんでまたノイズ・マイナー・セブンスコードはそんな出鱈目を【ピアノ公国】に?

証拠もなく弑逆ほどの罪をなすりつけようとすれば逆に【ピアノ公国】が不利になるというのに。


「証拠がなくても公国の中で盛り上がるだけなら問題ないから……また軍事費が上がる……」


 ああ、【ムジカ大陸】で最大の軍事力を持つ「軍事大国」は【トライアド帝国】だけど国費における軍事費の割合が一番多い「軍事国家」は【ピアノ公国】だもんね。

……ということは【ムジカの上王】弑逆計画は流出した機密情報じゃなくてでっち上げだろう。

身分のある亡命者が来たのをいいことに軍事費を増やす口実を生やさせてもらった、といったところか。


「つまり、【ピアノ公国】ではノイズ・マイナー・セブンスコードは弑逆計画を止めるために亡命してきた、ということになっているわけね」


 レガートは頷いた。


「ではあなたはご家族にこう伝えるべきだわ。ノイズ・マイナー・セブンスコードの言うことはでっち上げ、彼の言うことは信じるに値しないとね」


「うん、メロディが何も知らなかったことは伝えないでおいてあげる」


 ぐえー。

レガート・カデンツァには遺憾ながら完敗のようである。

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