884話 鬼ごっこ攻略?
属性ソイ豆は、やはりそれぞれ味が違っていた。火は少し辛味があり、水はやや甘く、土は味が濃くて、風は香りが強くなり、闇は苦みがあるようだ。
因みに、浮遊島で買ってきた光属性は最初から塩味が付いている。
モンスたちもそれぞれ好みがあるらしく、自分が好きな味のソイ豆を貪っているな。
「ララ!」
「アコラは土のソイ豆が好きか」
「ラー!」
「ヒヒン!」
「キャロは水ね」
馬は角砂糖を食べるって言うし、甘い味が好きなんだろう。お椀に鼻先を突っ込んでガツガツ食べているのだ。
「グゲー!」
「ウアー!」
「ワフ!」
妖怪たちにも好評である。河童は水属性。幽鬼は光、サトリは火がお気に入りだ。幽鬼、光属性のソイ豆食べて大丈夫? お祓いされたりせん?
モフモフの毛に包まれた小型の猿っぽいサトリも、火属性いいの? 動物には辛い物食べさせちゃダメなイメージなんだけど。
これで分かるのは、妖怪本人の属性とかはあまり関係なく、普通に味覚的に好きなものがあるっぽかった。
無口な魂繭はよく分からないけど……。いや、お椀に入った風属性のソイ豆が光る繭に吸い込まれていくな! 魂繭も食事ができるようになっているようだった。
俺はどれかと言われたら火属性のやつが好きだな。ピリ辛で美味い。まあ、よりビールが欲しくなるんだけどさ。
「ごくごく……ぷはぁぁぁ! 美味い!」
ゲーム内とは言え、朝からビール! 背徳の味が最高です! 飲み過ぎると酩酊状態になっちゃうから、これで最後だけど。
「さてさて。属性ソイ豆も手に入ったことだし、いくか」
「ワフ!」
「スネ!」
妖怪たちも俺が何をするつもりか理解しているようだ。サトリとスネコスリが前回のリベンジだとばかりに、気合を入れている。
まあ、今回のパーティメンバーはモノを投擲出来る奴がいいから、サトリもスネコスリも連れて行かないけどね!
「あと、用意したいものがあるんだよね。ルフレ、手伝ってもらっていいか?」
「フム?」
ログアウト中に調べて、鬼に対して豆以外にも有効なものがあることを知ったのだ。ちょっと臭いけど、効果があるといいなぁ。
「ということで、挑戦するぞ! 再びの鬼ごっこ!」
「ゴゴ!」
「ガガー!」
「スス!」
「フフー!」
鬼ごっこリベンジだぜ! 昨日、護符術のレベリングをしたので、召喚可能な妖怪の数が1つ増えて4体召喚可能だ!
豆を投擲せねばならないので、人と同じ行動が可能な四鬼を喚び出している。
ちゃんと順番に並んで、返事をしてくれているな。全身が金属のキンキ、影のように黒いオンギョウキ、水で形作られたスイキ、緑色のガス状の姿のフウキだ。
俺の陰陽師度が上がったおかげで、少し背の高い成人男性くらいのサイズに成長している。スイキとフウキはモノが持てるのか不安な姿だが、ちゃんと手に持つことも投擲することも可能だった。
ただ、スイキもフウキも物を透過する能力があり、それを使うと豆を落としてしまうらしい。攻撃を回避しながら一方的に豆をぶつけるというのは無理であるらしい。
全属性の豆を持っていると投げる時に迷いそうなので、妖怪たちは1人1種類の豆を持っている。キンキが土、オンギョウキが火、スイキが水でフウキが風だ。
俺は右手に光、左手に闇を装備していた。これくらいなら間違えないだろう。
「準備万端! いくぞ!」
「ウガ!」
鬼たちを引き連れて、俺はカウンターから参加を申し込んだ。すると、前回と同じ気色の悪い洞窟へと飛ばされる。
序盤は前回と同じだ。迷路のような洞窟内を歩き回り、出口を探す。しかし、そこに立ちふさがるのが凶悪な5色の鬼たちだ。
まあ、もうビビったりしないけどね!
「で、でたぁ! 色は白! 光属性を持ってるやつ――って俺だった! こ、こっちくんなぁ!」
ビ、ビビってないし! 出会い頭でちょっと驚いただけだから! マジで!
しかし、俺の腰が引けた状態でのヘロヘロ投擲でも、その効果は絶大だった。白鬼に光属性のソイ豆が当たると、悲鳴を上げて逃げていったのである。
浜風が笑っちゃうのも仕方ないくらい、情けない姿だった。いやー、豆ヤバいわ。その後も、対応する属性のソイ豆をぶつけられた鬼がドンドン逃げていく。
問題は、光と闇の豆を投げ間違えて、俺が死にかけたくらいかな?
因みに、そのあともう一つのアイテムを試してみた。イワシの頭である。ヒイラギの枝の先にビギニイワシの頭だけを刺した、ちょっと気持ちの悪いアイテムだ。
節分の時に、玄関に飾るらしい。あまり馴染みがないので、調べるまでは知らなかったのだ。
少なくとも自分の周辺でやっているところは見たことがないし、学校行事でもお見掛けしていない。まあ、見た目悪いし、臭いしな。豆をまくよりかはハードルが高いのだろう。
で、その効果だけど、あまり意味がありませんでした。いや、まったくないわけじゃない。これを見せると。数秒だけ鬼が足を止めるのだ。しかし、それだけだった。
むしろその後はメッチャ怒って、跳びかかってくる。慌てて豆で退散させたよ。
あくまでも豆をぶつけろってことなんだろう。
ただ、豆を投げていると段々と申し訳ない気持ちになってくる。だって、鬼さんが全員涙目で逃げていくんですもの。ちょっと弱い者いじめしているような気持ちなのだ。
それでも心を鬼にして――いや、ギャグじゃないからね? 鬼を豆で退散させながら進んでいくと、見慣れない扉が見えてきた。
「も、もしかしてあれが……?」
罠などを警戒しながらゆっくりと近づいていくと、扉が勝手に開き始めた。そして、そこを通り抜ければ――。
『鬼ごっこ・第一階層の攻略おめでとうございます』
「やったー! クリアーだ!」
全面的にソイ豆さんのお陰だけど、やってやったぞー! オルト、サクラ、オレア、ありがとう!
でも、第一階層って言ったか?




