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26.結婚しても名前で呼び合う仲がいい

最終回が近くなってきたので、人気投票やることにしました!

人気が上位のキャラはSSなんかを書こうと思っています!

詳細は活動報告にて記載していますので、よければ見てやってください!


投票サイト↓


http://tagvote.grinspace.jp/Cb01_Vote?Key=cbb04cbf234d4d20b13c9fd453552c49

 いやー走った走った。こんなに走ったのは久しぶりじゃねぇか?寝起き……死に起きにはつらかったわ。太腿がパンパンだ。

 で、だ。いざ魔王の間についてみたらこれだよ。うちの奥さんが恐怖の魔王と天才勇者をぶちのめしている真っ最中だった。一応やばそうだったから軽い調子で声はかけてみたけど、正直ビビってる。恐妻ってレベルじゃねぇぞ、まじで。なんかやばそうな魔力の塊がそこら中にふよふよ浮いてるし、あれに当たったら絶対まずいだろ。


「クロムウェル……!?」


 レックスが地面に倒れながら顔だけ俺の方に向け、驚愕の表情を浮かべる。ルシフェルも似たような顔をしていた。いや、あいつらの面白い顔を見れたのはいいんだけど、それどころじゃないんだよね。目の前にいるセリスは俺の知っているセリスじゃねぇ。


「えーっと……レックスの奴はわかるんだけど、なんでフェルまでボコボコにされてんの?」


 とりあえず気になったことを質問してみた。セリスは俺を見た状態で固まったまま何も答えない。うん、やっぱりそうなるよね。


「あのーセリスさん?そこに転がっているバカ二人は……あー……俺にとって大切な奴っていうか……いや、大切な奴って言うと語弊があるな。いたらいたで面倒くさいけど、いないと困るってか……とにかく殺さないでいただけると嬉しいんだけど?」


 セリスはゆっくりと俺から視線を外すと、倒れ伏しているレックスとフェルに視線を向ける。しばらく二人を眺めた後、再び俺の方に顔を向けた。


「そうですか……やはりこの世界は私のことが嫌いみたいですね。最も見たくない幻を私に見せるのですから」


 え?最も見たくない幻って俺の事?やばい、普通に傷つく。


「……幻なんかじゃないよ。それはセリスが一番わかるでしょ?」


「……そういえばまだ息の根を止めておりませんでしたね。吹き飛びなさい」


 セリスは笑顔で話しかけてきたフェルをもの凄い形相で睨みつけた。そのまま手を横に振ると、二人の身体が猛スピードで飛んでいく。あのボロボロの身体であの速度はやばい。ゴキブリ並みの生命力を誇る二人でもまずいことになる。

 俺は即座に転移魔法を発動し、城の壁と二人の間に割り込んだ。そして、二人の身体を何とかキャッチする。


「クロムウェル……お前……」


 俺の腕の中で何かを言おうとしたレックスを、首を左右に振って黙らせた。今、お前と会話している余裕は多分ない。


「……死んでも生き返っちゃうんだから……やっぱりクロは出鱈目だね」


「お前の親友のおかげだよ」


「っ!?……そっか、アルが」


 俺が地面におろすと、フェルは嬉しそうな顔で笑った。さっき起きたこと、お前には話してやりたいんだけどな。残念ながら俺の嫁さんがそれを許してくれそうにないんだよ。


「ちょっと見ないうちに随分乱暴になったんだな」


「知ったような口を利かないでください。世界が作り出した幻の分際で」


 セリスの中で俺は幻確定なんですね。とりあえずその誤解を解くところから始めねぇと。


「何を電波系みたいなこと言ってんだよ。お前のキャラじゃねぇだろ。どっからどう見てもみんなの人気者、クロさんだろうが」


「…………あの人は死にました」


 セリスが僅かに震える声で答えた。それは間違っちゃいない。間違っちゃいないが……何と説明したらいいか。適当な事を言ってもセリスにはばれるだろうし。この状態のセリスもやっぱりエスパー搭載しているよな?って事は正直に話すのが一番って話か。


「俺は確かに死んで、でも、気が付いたら白い部屋にいて、そこにアルトリウスがいて、アルトリウスはアロンダイトの中で生きていて、あいつの長話を聞く羽目になって、聖属性魔法であいつの命をもらって、なんだかんだで生き返ったんだよ」


 起こったことをありのまま話してみた。それでセリスの反応はと言うと……。


「意味が分かりません」


 ぐうの音も出ないほどのシンプルな回答。そうだよね、俺も途中で何言ってるかわからなくなったもん。


「ごめん、クロ。僕もよくわからなかったよ」


「あぁ、俺もだ」


 うるせぇ!追い打ちかけて来てんじゃねぇよ!お前ら怪我人は大人しく成り行きを見守ってろって言うんだよ!


「そういうわけが分からないところまで似せてきますか……この世界はどれだけ私の心を搔き乱したいというんですかね」


 セリスは吐き捨てるようにそう言うと、身体から魔力を解き放つ。何この魔力?勇者とか魔王とかそんなの鼻で笑えるレベルじゃねぇか。やべぇよやべぇよ。


「やはりこの世界を許すわけにはいかないようですね。その前にあなた達には私の前からいなくなってもらいます」


 そう言うと、セリスは俺達に手のひらを向けた。


「消えなさい」


 突然、俺達の周りにある空間がねじれる。そして、それは激しく渦巻いていき、この世界から排除しようと俺達を吸い込み始めた。


「なんだこれ!?」


 俺は慌てて屈み、その辺にある地面の突起を掴む。だが、歪みは容赦なく俺を呑み込もうとしていた。まずいまずいまずい……非常にまずい!あれに吸い込まれたらダメだ!俺の細胞が全力でそう叫んでやがる!

 俺は何とか抵抗しながら、レックスとフェルを懸命に足で押さえるつける。めちゃくちゃ引っ張られるんだけど!吸引力が落ちないただ一つの渦巻きすぎんだろ!

 俺がどうしようか必死に頭を悩ませているにもかかわらず、あろうことかフェルは楽しそうに笑いかけてきやがった。


「クロ……セリスのこと頼んだよ」


「はぁ!?何言ってんだ!?」


 なんでこいつはこの状況でこんなに落ち着いていられるんだ!?あの渦にのみ込まれたら消えちまうんだぞ!?


「……そうだな、クロムウェル。後は任せたぞ」


 なぜかレックスまで俺に笑顔を向けてくる。なんなんだよこいつら!頭おかしくなったんじゃねぇのか!?あっ、元からおかしいわ。くそが!!


「じゃあな」


「ばいば~い」


「っ!?レックスっ!!フェルっ!!」


 二人は同時に俺の足を払いのけ、渦の中へと消えていった。俺の叫びは虚空へとさまよう。


「意外としぶといですね……早く消えてください」


 セリスの魔力が膨張した。それに呼応するように渦巻きも巨大になる。


 くそっ!これ以上は耐えられねぇぞ!?かっこつけて駆け付けたっていうのに、何もしないうちに退場かよ!シャレになんねぇぜ!!

 あのバカ二人は勝手に俺に託してさっさと行っちまったしよぉ!!なんかいい感じに消えてったけど、あいつらは全部俺に押っ付けただけだからね!?特にフェル!魔王様なんだから部下の不始末はちゃんと責任取れ!!あぁ!?旦那のお前が尻拭いするもんだって!?だから、こんなに死ぬ気で地面にへばりついてんじゃねぇか!!

 そもそもこの魔法は何だって言うんだよ!!思ったことが全部本当になるだぁ!?聖属性魔法は反則だと思ったけど、こいつに比べればあんなの正攻法だ!!この魔法はズルだ!チートだ!!理不尽だ!!


「くそ、が……!!消、えてたまるか!!」


 つーか、なんであいつは俺のことを消そうとしてんだよ!?おかしいだろ!!俺が死んだせいでセリスは暴走してんだよな!?その本人が戻ってきたんだぞ!?お涙頂戴、はいちゃんちゃん、のハッピーエンドでいいだろうが!!

 ……そういやアルトリウスが言ってたな。”失楽園(パラダイス・ロスト)”はセリスが強く念じたことがそのまま起こるって。ってことはあれか?こいつは心の底から俺が消えて欲しいって思ってるってことか?


 …………ふざけんじゃねぇぞ。


「セリスッ!!!!!!!!!!!」


 煮えたぎる怒りを吐き出すかのように俺は叫んだ。本気で俺に消えて欲しいって思ってんなら、ここで消えちまっても結構だ。そんな思いで、あいつの名前を呼ぶ。


 渦巻きは段々と小さくなっていき、やがて消えていった。


「………………なーんだ」


 俺は手についた土を払いながらゆっくりと立ち上がる。そして、目を見開いてこちらを見ているセリスに軽く笑いかけた。


「やっぱり俺の事、消えて欲しくねぇんじゃねぇか」


「な、なんで……!!」


 セリスが分かりやすく狼狽している。いつも冷静であまりそういうとこ見たことないから新鮮……いや、そうでもねぇか。俺が無茶する度にこんな感じだった気がする。……それにしても、まじで消えて欲しいって思われてなくて本当に良かった。


「なんでってそんなの分かりきっているだろ?お前が俺に惚れているからだよ」


「なっ……!?」


 セリスの目が卵みたいにまん丸になる。


「まぁ、仕方ねぇよな。こんなにイケメンな指揮官の秘書をやってたんだから」


「…………」


「お前の窮地を助けてやったこともあるし、好きになって当然だよ」


「…………めろ」


「ってか、俺達夫婦になってるからね。しかも新婚ほやほやだ。それなのに大事な伴侶を消えて欲しいなんて思う方がどうかしてるよな」


「…………やめろ」


「だから、お前が俺を消せなくても何も不思議ではない」


「やめろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」


 絶叫とともにセリスの魔力が爆発した。周囲に待っていた魔力球がハイスピードで不規則に動き始めた。


「あの人と同じ顔で……!!あの人と同じ声で……!!あの人みたいなことを……言うなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


 子供の様に喚くセリス。俺は穏やかな気持ちでそれを見つめる。


「……さて、と」


 結婚してから初めての夫婦喧嘩でもおっぱじめますか!!

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