第3章 濃紺の空 (霧宮ナツハ編)前編
秋。作曲の方は順調…………とまでは行かないが、霧宮さんがいない今、僕はアレンジを程なく完成させた。
真瀬莉緒
「これで……どうだ……?」
一応、曲にはなってはいるがどうなのだろうか……。
真瀬莉緒
「ひとまず誰かに聞いてもらおう……。」
僕は誰かいないか、学内を歩くことにした。
六郭星学園 職員室前
職員室前に着いた。神谷先生あたりに聞いてもらおうかと思い扉を開けようとすると……。
??
「何してるんですか?」
礼儀正しく声をかけてきたのは成瀬実先生だった。
真瀬莉緒
「あ、すみません。神谷先生を探してまして……。」
成瀬実
「彼女なら今日は別の用事でいないはずですよ。」
真瀬莉緒
「そうですか……すみません。ありがとうございます。」
成瀬実
「ええ、構いませんよ。」
そう言うと成瀬先生は職員室に入って行った。
真瀬莉緒
「………………姉さんのところへ行こう。」
僕は姉さんに曲を聞いてもらおうと寮の方へ向かう。
六郭星学園寮 志奈・ナツハの部屋
真瀬志奈
「…………なるほどね。私に聞いてもらおうとね。」
真瀬莉緒
「ああ、姉さん頼むよ。」
真瀬志奈
「ええ、ナツハのためよ。曲を早速聴かせて。」
真瀬莉緒
「うん……。どうかな……?」
僕は曲を流すと姉さんは目を閉じてじっくりと鑑賞していた。
曲が終わると姉さんは目を開けて、口を開く。
真瀬志奈
「莉緒らしさもあって、ナツハの気持ちも入っているわね。…………悔しいけれど、ノクアとの作曲よりも実力は上ね……。」
真瀬莉緒
「そうか……姉さんのパートナーはノクアか……。」
ノクアとのペアの姉さんも作曲だった。それを上回るレベルの曲を作れたのは正直言って嬉しい。
真瀬莉緒
「そうか……ありがとう……。」
そう言ったとき部屋のドアが開く。
するとそこには…………。
真瀬志奈
「ナツハ……!?」
真瀬莉緒
「霧宮さん! 身体の方は大丈夫ですか!?」
霧宮ナツハ
「え、えぇ……とりあえずは。」
真瀬莉緒
「そうですか……霧宮さん……。」
霧宮ナツハ
「ええ……でもこれからまた撮影があるから。」
真瀬志奈
「撮影って……!? まだ万全の体調じゃないでしょう!」
霧宮ナツハ
「ええ……そうだけど…………。」
真瀬莉緒
「やっぱりあのチーフマネージャーが……。」
霧宮ナツハ
「………………えぇ。」
真瀬莉緒
「………………。」
霧宮ナツハ
「とりあえず行ってくるわ…………。」
真瀬莉緒
「………………。」
霧宮さんが部屋から出ていく……。僕と姉さんは何も言うことが出来なかった。
六郭星学園 Cクラス教室
霧宮さんが出てったあと、僕たちはどうすればいいのかノクアたちと悩んでいた。
櫻井シオン
「あのチーフマネージャー、相当なやり手ね。名前を調べても悪評が全然出てこない。」
浅越ハルト
「圧力で封じているんだろう。そういう奴はいくらでもいるが……ここまでとはな。」
櫻井シオン
「普通なら悪評が出てもおかしくないのに……。」
浅越ハルト
「ネットでは神様呼ばわりか……。」
美園エリカ
「神様……!」
小鳥遊カルマ
「やめろ。」
美園エリカ
「う、うぅ……失礼……。」
真瀬莉緒
「どうしたらいいんだ……。」
風亥ノクア
「……………………。」
結局……何も浮かぶことなく、その日は解散することになった。
六郭星学園寮 莉緒・ノクアの部屋
真瀬莉緒
「…………。」
風亥ノクア
「…………。」
お互い無言の時間が続く。しばらくするとノクアが思いついたかのように重たい口を開いた。
風亥ノクア
「学園キングの収録だ。そろそろ行かないと。」
真瀬莉緒
「学園キングですか。頑張ってください。」
風亥ノクア
「ねえ、莉緒くん。良ければ見学しないかい?」
真瀬莉緒
「学園キングをですか!? いいんですか?」
風亥ノクア
「うん。いいよ。プロデューサーにも許可取っているから。」
真瀬莉緒
「是非! お願いいたします!」
僕は好奇心で二つ返事で言ってしまった。
そして、そのまま学園キングの撮影現場に向かって行った。




