第2章 レッドゾーンを超えて(霧宮ナツハ編)中編
六郭星学園 音楽室
あれから数日後。僕は音楽室で霧宮さんに、風亥さんに弾いた曲を弾いていた。
霧宮さんの反応は…………
霧宮ナツハ
「なるほどね……良い曲。私のヴィオラの弾ける限界まで活かした曲ね。」
真瀬莉緒
「はい。いかがですか? この曲で行きませんか?」
霧宮ナツハ
「ええ、もちろんよ。これで行きましょう。」
真瀬莉緒
「はい! そうしましょう!」
霧宮ナツハ
「早速練習よ。莉緒くん。」
真瀬莉緒
「わかりました!」
そう言われるがままに、僕たちはひたすら練習を続けた。
夜も更けてきた頃、また霧宮さんが撮影の時間になった。
霧宮ナツハ
「そろそろ撮影の時間ね。…………来る?」
真瀬莉緒
「わかりました。今日もお願いします。」
霧宮ナツハ
「それじゃあ行きましょう。今日はチーフマネージャーは来ないから安心してね。」
それを聞いて少し安堵を感じた。僕は心置きなく撮影を見学できるぞ。
そう思って僕は撮影現場に向かった。
撮影現場
撮影現場に着くと今日はマネージャーさんが気を利かせてくれたのか椅子とテーブルを用意してくれていた。しかもお菓子もついていた。
マネージャー
「やあ、莉緒くん久しぶりだね。今日はチーフもいないからゆっくりしてってね。」
真瀬莉緒
「ありがとうございます。」
マネージャーさんがそう言うと霧宮さんが水着姿でこっちに来た。
霧宮ナツハ
「今日は水着の撮影なの。まさかこうして見られる日が来るなんて……ね。」
真瀬莉緒
「それなら……断っても良かったんじゃ……。」
霧宮ナツハ
「良いの。莉緒くんは特別だから。」
真瀬莉緒
「ん? 特別って……?」
霧宮ナツハ
「ごめん、聞かなかったことにして。」
真瀬莉緒
「え、ああ、はい。」
カメラマン
「すみませーん!スタンバイお願いいたしまーす!」
霧宮ナツハ
「あ、はい! 今すぐ行きます! ……呼ばれたからいくね。」
真瀬莉緒
「はい。いってらっしゃい。」
そう言うと霧宮さんは撮影へと向かった。
黄色いビキニをまとった霧宮さんだが、やっぱり笑顔があるけれどもどこか楽しくなさそうだ。
マネージャー
「いやー……それよりどうだい?ナツハとは上手くやっているのかい?」
マネージャーさんが話しかけてきた。
真瀬莉緒
「ええ、なんとかやっています。」
マネージャー
「まあ……そうだよね。水着姿を見せられる男子だもんね。普通なら断るもんね。」
真瀬莉緒
「え、あぁ……そうですよね。何でだろう……?」
マネージャー
「ナツハは水着撮影が苦手で人を呼ぶのはもってのほかなんだけれど……莉緒くんは不思議な人だね。」
真瀬莉緒
「不思議な人……ですか。」
マネージャー
「うん……けど最近ナツハは少し楽しくなさそうなんだ。」
真瀬莉緒
「霧宮さんがですか?」
マネージャー
「うん……やっぱり……チーフとのいざこざが原因かなって……。」
あの高圧的な人か……。
マネージャー
「あの子には稼いでもらうといつも言っているけど、その稼いだお金は全くナツハに渡さないんだ。」
真瀬莉緒
「それってダメなやつじゃないですか!?」
マネージャー
「うん。だから僕がこっそりと自腹で渡してはいるんだけれど……。」
真瀬莉緒
「大変ですね…………。」
マネージャー
「でも大丈夫だからね。僕は平気だから……。」
真瀬莉緒
「………………。」
カメラマン
「撮影は以上になります! ありがとうございました!」
撮影が終わり、霧宮さんがこっちに向かってきた。
霧宮ナツハ
「お疲れ様。どうだった?」
真瀬莉緒
「ええ、とても良かったです。」
霧宮ナツハ
「そう……なら良いわ。」
マネージャー
「ナツハ。これからもこの子と仲良くするんだよ。」
霧宮ナツハ
「…………はい。」
霧宮さんは着替えを終えるとすぐにこちらへきた。
霧宮ナツハ
「莉緒くん。帰ろう。」
真瀬莉緒
「はい。」
こうして僕たちは帰路へと向かった。
あれから数日が経ち、空いている時間には練習をただただ繰り返えしていた。
今日も音楽室で練習するはずだったのだが……
六郭星学園 音楽室
霧宮ナツハ
「ああ、莉緒くん……。」
真瀬莉緒
「…………? ……どうかしましたか?」
霧宮ナツハ
「実は…………。」
僕は霧宮さんの話を聞く。すると思いのほか重たい話だった。
真瀬莉緒
「撮影が大量に入った?」
霧宮ナツハ
「ええ……しかも1、2本とかじゃなくて何十本も……仕事のオファーとは言え、これは学業に弊害が出るわ……。」
真瀬莉緒
「断ることは出来ないんですか?」
霧宮ナツハ
「断った結果がこれ……嫌って言ったら何十本も増やされたのよ……。」
真瀬莉緒
「そんな……。」
霧宮ナツハ
「ひとまずやるしかないわね……。」
真瀬莉緒
「大丈夫ですか……?」
霧宮ナツハ
「わからない……けれどやるしかないわ……。申し訳ないけれど、しばらくは練習出来ないかもしれないわ……。」
真瀬莉緒
「そうですか……。わかりました。大変なときは連絡してくださいね。」
霧宮ナツハ
「そう言ってくれるとありがたいわ。……よろしく。」
真瀬莉緒
「はい。」
結局その日は解散することになり、僕は食堂へと向かった。
六郭星学園 食堂
食堂に行くと、そこには学園内でモテることで有名な不知火カイルさんがいた。
女子生徒A
「不知火さん! これを受け取ってください!」
不知火カイル
「ありがとう。大切にするよ。」
モテる男はすごいな……
すると後ろから人とぶつかってしまう。
??
「ああ、ごめんなさい!すみません…………。」
後ろを振り向くとそこにいたのは内野タスクくんだ。
内野タスク
「邪魔ですよね…………。失礼します。」
真瀬莉緒
「こちらこそすみません……。」
そう言うと内野くんは一番端っこの席へと座った。
僕も座ろうとすると隣にふんわりとした女子が座る。よく見ると名雲メイさんだった。
名雲メイ
「あ、失礼しますね。」
真瀬莉緒
「はい。どうぞ。」
そう声をかけられると、さらに名雲さんから話しかけられた。
名雲メイ
「頑張っているらしいですね。霧宮さんとの練習。」
真瀬莉緒
「ええ……まぁ……。」
名雲メイ
「頑張ってくださいね。応援しています。」
真瀬莉緒
「はい。ありがとうございます。」
僕は照れながら、そう言うと僕はカレーライスを食べて、部屋に戻った。




