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colorful 〜rainbow stories〜 encore  作者: 宮来 らいと
第2部 霧宮ナツハ編

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第1章 グリーンバックの向こうで(霧宮ナツハ編)中編

 六郭星学園 音楽室



 音楽室に向かうと、待たせたためか、霧宮さんはピアノの椅子に座りながら足を組みながら少しくたびれていた。待っていた時のポーシングもモデルさながらだった。


 霧宮ナツハ

「……遅い。」


 真瀬莉緒

「すみません……。」


 僕はとりあえず謝った。


 霧宮ナツハ

「……で。演奏してもらう楽器なんだけれど……ヴィオラでいいかしら。」


 ヴィオラか…………何年ぶりくらいだ……?まあ大丈夫だろう。


 真瀬莉緒

「わかりました。では……」


 僕はヴィオラを手に取り、演奏を始める……



 演奏を終えた。ヴィオラをしまい、霧宮さんの方を向くと霧宮さんは口を抑えながら驚いていた。


 霧宮ナツハ

「すごいわ……すごい……。」


 真瀬莉緒

「はぁ……ありがとうございます。」


 霧宮さんは素直に褒めてくれた。純粋に嬉しい気持ちになった。


 そんな気持ちの中、トランペットらしき音が聞こえた。


 真瀬莉緒

「このトランペットの音……どこからだ……?」


 僕は不思議に思っていると霧宮さんはすぐさまこう言った。


 霧宮ナツハ

「ノクアでしょう?出てきたら?」


 ??

「バレちゃったか……。」


 彼はそういうと姿を表して、僕の顔を見るとすぐに挨拶をしてくれた。


 風亥ノクア

「はじめまして。風亥ノクア(かぜかい のくあ)って言います。お見知りおきを。」


 真瀬莉緒

「どうもこれはご丁寧に……。」


 あれ……? この人もどこかで……?


 風亥ノクア

「おっと、こんな時間だ。そろそろ、学園キングの撮影だ。ごめんね。いきなりで。それじゃあ……またいつか会おうね!」


 風亥さんはそう言うと音楽室から離れた。


 離れてから思い出したのは風亥さんは学園キングという番組の出演者だったんだ。芸能人とインテリ学生たちのクイズバトルで確かインテリ学生のメンバーだ。


 モデルと言い、インテリ学生もいるなんて……すごい学園だな……。


 霧宮ナツハ

「…………モデルとかすごいと思っているでしょう?」


 真瀬莉緒

「えっ……いや、そのまあ……すごいなって。」


 霧宮ナツハ

「…………羨ましくなんてないわよ。」


 真瀬莉緒

「えっ……?」


 霧宮ナツハ

「なんでもないわ。とりあえず作曲で課題を進めましょう。」


 真瀬莉緒

「課題を……ですか?」


 霧宮ナツハ

「ええ、せっかくだもの。やりましょうよ。」


 真瀬莉緒

「…………少しだけ考えさせていただけますか?」


 霧宮ナツハ

「わかったわ。近いうちに答えを出してね。」


 真瀬莉緒

「はい。」


 結局、その日は解散した。


 明日からは寮生活が始まる。急いで家に帰って明日の準備をしてから考えよう……。


 …………翌日。



 六郭星学園寮



 僕はテレビを見ることにした。学園キングを見るためにだった。


 テレビの向こうには風亥さんが映っていた。


 テレビMC

「というわけで今回の勝者はインテリ学生チーム!!」


 相変わらずインテリ学生チームは強い。


 テレビMC

「風亥! 今回は大活躍だね!」


 風亥ノクア

「いやー! そうですね! 頑張りましたよ!」


 他の人たちもすごいけれど……風亥さんも強いな……。


 それにしても……


 真瀬莉緒

「まさか同室になるとは……。」


 風亥ノクア

「思ってなかったね。」


 そうルームメイトは風亥さんだった。まさか有名人と同室になるとは思わなかった……。


 風亥ノクア

「それよりもナツハのことだけど……大丈夫?」


 真瀬莉緒

「何がですか……?」


 風亥ノクア

「あいつ……何というか、性格に難ありだからさ。無理矢理に課題を押し付けそうな感じかあってさ。」


 真瀬莉緒

「あー……そうですね……でもそんなことはなかったですよ。期間まで待ってくれますから……。」


 風亥ノクア

「そうか……それならいいけれど……。」


 真瀬莉緒

「…………。」


 風亥ノクア

「まあいいや。それじゃあちょっとだけ外に出るからゆっくりしてって!」


 そう言うと風亥さんは外へ出て行った。


 1人の時間になり、僕は霧宮さんが言っていた作曲の件について考えた。


 作曲か……僕は……。


 それぞれの特技を活かした方が良いな。作曲をやってみよう。


 そうと決まったら、僕はゆっくり休むことにした。


 僕の休みの時間には欠かせないものがある。それは最近ハマっているVtuberの動画だ。名前は綺羅星メルマ(きらぼし めるま)。ここ最近で登録者数が60万人を超えた、今1番勢いのある女性Vtuberだ。


 綺羅星メルマ

「星々のみんな〜!みんなのアース。綺羅星メルマで〜す!」


 いつものかけ声にいつもの挨拶。最近の心の拠り所だ。


 綺羅星メルマ……癒されるな……。


 メルマの動画をひと通り見終わると僕はすぐに寝床についた……。



 六郭星学園 Iクラス教室



 教室に入ると霧宮さんがいた。


 霧宮ナツハ

「おはよう。」


 そう言ってきたので挨拶をしないわけにはいかない。


 真瀬莉緒

「おはようございます。」


 霧宮ナツハ

「そんなに固くなくて良いわよ。パートナーじゃない。」


 真瀬莉緒

「は……はぁ……。」


 霧宮ナツハ

「それよりも決まった? 課題は作曲で行くことにするの?」


 真瀬莉緒

「そうですね……。ちなみにどうして作曲なんですか?」


 霧宮ナツハ

「そうね。言ってなかったけれど、今回作曲する理由はね……声優さんにね。作曲の依頼を頼まれたのよ。」


 真瀬莉緒

「声優さんに?」


 霧宮ナツハ

「ええ、職業柄色々な人と会うことが多いから、声優さんとも共演してね。そこで依頼をされたわけ。」


 真瀬莉緒

「声優さんって……どの人ですか?」


 霧宮ナツハ

「この人だけれど……。」


 霧宮さんが見せた写真はかなり有名な声優さんだった。この人に作曲を……か。

 断る理由も考えたが、特に断る理由がない。だったら受けてみよう。


 真瀬莉緒

「わかりました。できる限りのことはやってみようと思います。」


 霧宮ナツハ

「助かる。それじゃあよろしくね。」


 真瀬莉緒

「ええ。わかりました。」


 僕はそう言うと、霧宮さんは握手を求めてきた。


 霧宮ナツハ

「ん。」


 真瀬莉緒

「……はい。」


 僕はしっかりと握手を交わした。


 真瀬莉緒

「それじゃあ、音楽室で曲調を考えましょう。」


 霧宮ナツハ

「そうね。それじゃあ放課後に少し話ましょうか。」


 真瀬莉緒

「はい。わかりました。」


 そして、授業が終わり放課後……



 六郭星学園 音楽室



 音楽室に入るとそこには慌てている先生がいた。


 ??

「うう……音楽室の掃除も大変だな。」


 あれは……柿本瑛久(かきもと あきひさ)先生だ。たしか、姉さんのクラスの担任だ。


 柿本瑛久

「ああ、君たち……ごめんね。好きに使っても良いからね。」


 そうだ。この先生は少しビビりな性格だって姉さんが言っていたな……。


 真瀬莉緒

「わかりました……。それじゃあ、使わせていただきます。」


 柿本瑛久

「あはは……ごめんね……。それじゃあね。」


 柿本先生はそのまま音楽室から離れていった。


 霧宮ナツハ

「それじゃあ、早速曲調を練って行きましょうか。」


 真瀬莉緒

「ええ、そうですね。やっていきましょう。」


 そう言うと霧宮さんは持ってきた箱からヴィオラを取り出した。


 霧宮さんのヴィオラはとても黄色いヴィオラだった。


 真瀬莉緒

「霧宮さんのヴィオラとても黄色いですね。」


 僕はなんとなくヴィオラについて触れた。


 霧宮ナツハ

「ええ、このヴィオラはオーダーメイドなの。」


 そう言うと霧宮さんは饒舌に語り出した。


 霧宮ナツハ

「このヴィオラは黄色いでしょう。私は黄色が好きなの。黄色ってとても華やかな色で見ていてこっちも楽しくなるの。ノクアも黄色が好きなんだけれど、そこには共感しか感じないわ。」


 真瀬莉緒

「そうなんですね。黄色か……。僕も黄色は華やかだなって思いますよ。黄色と言えば天然って思われることも多いですが、そんなことはないと思います。黄色ってとても素敵な色です。」


 そう言うと霧宮さんは嬉しそうな表情を浮かべていた。


 霧宮ナツハ

「ふふ……ありがとう。……さ、コンセプトを決めましょう。」


 真瀬莉緒

「はい。」


 僕たちは練習を始めた。


 まずは互いにどこまで弾けるか改めて確認をするだけではあるが、とても有意義な練習ができたと思う。


 どこまで弾けるか確認した数時間。すると霧宮さんがあることに気づいた。


 霧宮ナツハ

「あ、そうだわ。私……この後撮影があるんだった。」


 真瀬莉緒

「撮影ですか? ……ああ、そうですよね。」


 霧宮さんは有名なモデルさんだ。こんな練習をする時間すら貴重なんだろう。


 改めてすごい人と実感していると霧宮さんはこんなことを言ってきた。


 霧宮ナツハ

「あ、そうだ……。見学しない? 私の撮影?」


 真瀬莉緒

「ぼ、僕がですか?」


 霧宮ナツハ

「ええ、他に誰がいるのよ。見学する? しない?」


 見学か……せっかくだから見てみようかな?


 真瀬莉緒

「わかりました。ぜひ見学させてください。」


 霧宮ナツハ

「わかったわ。マネージャーには私から伝えておくから一緒に行きましょう。」


 真瀬莉緒

「はい!」


 そうして僕たちは撮影所に行くことになった。

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