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colorful 〜rainbow stories〜 encore  作者: 宮来 らいと
第1部 夜坂ケント編

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第4章 薄茶色のハチマキ(夜坂ケント編)後編

 そして……数週間後、オーディションの日になった。私たちはオーディション会場前にいた。


 夜坂ケント

「いよいよだな……。」


 真瀬志奈

「ええ……」


 夜坂ケント

「これまでの集大成だ。絶対オーディションに合格するぞ……!」


 真瀬志奈

「ええ、もちろんよ。私たちが合格するんだから。」


 私たちはオーディション会場に入る。



 オーディション会場



 審査員A

「次の方どうぞ。」


 真瀬志奈

「失礼します。」


 夜坂ケント

「失礼します。」


 目の前には審査員が4人いた。そしてその4人の他にもう1人。その人は合格した曲を歌う声優さん、その人だった。


 審査員B

「それでは、お名前をお願いいたします。」


 真瀬志奈

「はい。真瀬志奈と言います。よろしくお願いいたします。」


 夜坂ケント

「夜坂ケントです。よろしくお願いいたします。」


 審査員C

「では早速ですが、音源を聞かせてください。」


 真瀬志奈

「はい。こちらです。」


 私は音源のデモテープを渡した。


 審査員C

「では、早速聞かせていただきます。」


 審査員の人がデモテープをセットすると、曲が流れた。私と夜坂くんで作った大切な曲だ。


 審査員の人たちはとても真剣に聞いている。その中でも声優さんは誰よりも真剣に聞いていた。


 曲が終わると、声優さんは歌詞はないかと聞いてきた。


 夜坂ケント

「はい……。こちらです。」


 夜坂くんは声優さんに歌詞の書いた楽譜を渡した。


 楽譜をもらった声優さんは真剣な様子でその楽譜を見ていた。


 その後、声優さんは何度か質問をする。私たちはそれにしっかりと答えていった。


 そして……


 審査員D

「面接は以上です。控室にてお待ちください。」


 夜坂ケント

「はい。ありがとうございました。」


 真瀬志奈

「ありがとうございました。」


 そう言うと私たちは控室にて待つことになった。



 オーディション控室



 控室に行くと、そこには誰もいなかった。


 真瀬志奈

「誰もいない……?」


 夜坂ケント

「これは……一体……?」


 ドアが開く音が聞こえる。後ろを向くとそこには審査員の人たちがいた。


 私たちはつい身構えてしまう。

 一体どんなことが起きるのか……?


 審査員A

「おめでとうございます! オーディションの結果、あなたたちの曲が選ばれました!」


 真瀬志奈

「え……!」


 私たちは呆然とした。まさか本当に合格するなんて……!?


 審査員B

「オーディションに落ちた人はすぐにお帰りになる仕組みになっております。」


 審査員D

「ですので、今ここにいる方が合格者になっております。」


 真瀬志奈

「私たちが……ですか!?」


 審査員C

「ええ、おめでとうございます。」


 そして、審査員の後ろから声優さんが出てきた。


 審査員B

「今回のオーディション合格の最大の理由は歌詞がとても素晴らしいと本人が、言っておりました。」


 夜坂ケント

「歌詞が……ですか……!?」


 審査員D

「歌詞を書いたのはあなたですか……?」


 夜坂ケント

「は、はい。そうですけど……。」


 そう言うと声優さんが夜坂くんに近づいてくる。


 夜坂ケント

「えっ……これは……?」


 声優さんは夜坂くんに握手を求めてくれた。


 夜坂くんもそれに応えた。


 夜坂くんと声優さんは強い握手をした。


 夜坂ケント

「この曲を……どうかよろしくお願いいたします。」


 声優さんは強く頷いた。


 そして……オーディションが終わり、私たちは会場を後にした。


 合格が決まった数週間後……卒業の日になった。



 六郭星学園 大講堂



 SクラスからKクラスまで全クラスの生徒がずらりと並ぶ。


 鹿崎咲也

「ただいまより、六郭星学園卒業式を行います。」


 卒業式が始まる。1年間ではあるが、このクラスに出会えてよかったと実感する。


 1人1人名前が呼ばれていく。


 鹿崎咲也

「月川タクト。」


 月川タクト

「はい。」


 鹿崎咲也

「柊木アイ。」


 柊木アイ

「はい。」


 鹿崎咲也

「夜坂ケント。」


 夜坂ケント

「はい。」


 仲の良かったみんなが呼ばれていく。

 そして私も呼ばれる。


 鹿崎咲也

「真瀬志奈。」


 真瀬志奈

「はい。」


 そうか……卒業するんだ……。そう思うと悲しみに溢れていく……






 鹿崎咲也

「以上で卒業式を終了いたします。」


 そして、あっという間に卒業式が終わる。

 本当にあっという間だった。卒業式も学校生活も。


 ただ……唯一の救いは……。


 月川タクト

「みんな同じ大学に進学するのか……。」


 柊木アイ

「まあね。あそこは近くて楽だし。」


 夜坂ケント

「それに俺らだけじゃないだろ。」


 月川タクト

「ああ、シキアたちもだ。ていうか、こないだの期末テスト上位50人が全員同じ進学先って……。」


 夜坂ケント

「偶然も偶然だな……。まあ、楽しくはなりそうだけどな。」


 月川タクト

「それよりケント……来週だろ? ラジオで声優さんの曲が流れるのは?」


 夜坂ケント

「ああ、俺たちの作った曲だ。楽しみで仕方がない。」


 柊木アイ

「せっかくなら真瀬さんと2人で聞いた方がいいんじゃない?」


 夜坂ケント

「いいのか……?」


 月川タクト

「俺も良いけど……真瀬さんは?」


 真瀬志奈

「もちろん良いですよ?」


 特に断る理由もない。


 夜坂ケント

「そうか……良かった……。」


 真瀬志奈

「…………?」


 安堵する夜坂くんに私は少しだけ疑問に思った。


 その疑問を抱いたまま曲披露の当日になった。



 六郭星学園 寮 莉緒・ケントの部屋



 私は夜坂くんと莉緒の部屋で、曲を聴くことになった。


 部屋には莉緒の姿はなかった。


 夜坂ケント

「莉緒は今日は月川たちのところにいてもらっている。」


 真瀬志奈

「月川さんたちのところへですか?」


 夜坂ケント

「ああ……どうしても2人で聞きたかったからな……。」


 真瀬志奈

「2人で……?」


 どうしてかを聞こうとした時……ラジオが始まった。


 夜坂ケント

「始まった……。聞こう。」


 真瀬志奈

「ええ……。」


 そして……その時が来た。


 ラジオDJ

「それでは新曲です。合図をどうぞ!」


 男性声優

「彼の思いを込めて歌いました。聞いてください。」


 声優さんが言うと、私たちが作った曲が流れる……



 真瀬志奈

「これって……夜坂くん……!」


 私の頬からは一雫の涙が流れていた……


 夜坂ケント

「真瀬…………。」


 夜坂くんは椅子から立ち上がり私の前に片膝をついた。


 夜坂ケント

「真瀬…………俺は不器用だ。けれど…………なんて言えばいいんだろう…………。」


 真瀬志奈

「夜坂くん……。」


 夜坂ケント

「真瀬………………好きだ。あのとき、出会えたこと……なによりペアになれたこと……運命だと思った……。」


 真瀬志奈

「……………………。」


 夜坂ケント

「これから先、どんなことがあっても守ります。この気持ち……受け取ってください。」


 真瀬志奈

「…………はい。」


 夜坂ケント

「あ……ありがとう……。」


 真瀬志奈

「ええ……これからもよろしく……………………ケント。」


 夜坂ケント

「ああ……志奈。」






 虹谷サイ

「彼は違ったか……他を当たるとするか…………。」


 夜坂ケント編 完

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