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colorful 〜rainbow stories〜 encore  作者: 宮来 らいと
第1部 夜坂ケント編

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第1章 煉瓦色のお屋敷で(夜坂ケント編)中編

 六郭星学園 音楽室



 真瀬志奈

「…………ここが音楽室ね……。」


 初めて訪れた音楽室はとても広く、世界のあらゆる楽器が並べられており、さらには音響設備までも取り揃えられている。まあ、私の学校も合併されているのでこれが当たり前だと思う。


 夜坂ケント

「それじゃあ、早速で申し訳ないが、チェロを弾いてもらおうか。」


 真瀬志奈

「はい……。」


 チェロを弾くのはいつ以来なのだろう……私は感覚を取り戻しながらチェロを奏で始めた……



 チェロを弾き終えた。感覚は何とか覚えていたため上手く弾けた。夜坂さんの反応は……?


 夜坂ケント

「…………!」


 驚きを隠せていない様子が見られた。どうやら本当に上手く弾けたようだ。


 夜坂ケント

「これなら作曲も可能だろう。真瀬がよければ作曲で行こうかと思うのだが……。」


 真瀬志奈

「わ、私は…………。」


 ??

「ケント? 何しているの?」


 夜坂ケント

「ら……来川!」


 音楽室に入ってきたのはショートヘアの女子生徒だった。夜坂さんと知り合いなのだろうか?

 私のことに気づいたのかその女子生徒は私に対して頭を下げて挨拶してくれた。


 来川ナナ

「突然ですみません。私はKクラスの来川ナナ(らいかわ なな)と申します。よろしくお願いします。」


 真瀬志奈

「あ……はい。私は真瀬志奈です。よろしくお願いします。」


 来川ナナ

「ええ……よろしく…………それよりもケント。まさかとは思うけど、あなた……独断で課題を決めようとしているんじゃないでしょうね?」


 夜坂ケント

「それがなんだ?」


 来川ナナ

「相手の気持ちを考えなよ! 無理矢理やらせるのは難しいって。」


 夜坂ケント

「…………。お前は考えすぎなんだ。」


 来川ナナ

「……!?」


 真瀬志奈

「お、落ち着いてください!」


 私は何かを察したのか、止めに入った。


 夜坂ケント

「……とにかく、作曲で行くんだ。少し黙っていてくれ。」


 来川ナナ

「……わかったわ。でも真瀬さんも無理しないでね。キツくなったら私に言ってね。」


 真瀬志奈

「は……はい。」


 そう言うと来川さんは音楽室から出てった。


 夜坂ケント

「…………。とにかく作曲のコンセプトを近々決めるぞ、わかったな。」


 真瀬志奈

「…………はい。」


 そこで今日の作曲作りは終わりになった。



 六郭星学園寮


 今日から寮の暮らしが始まる。

 部屋は2人1組の構成になっている。私の部屋のパートナーはどんな人なのだろうか。


 そんな期待を込めて扉を開ける。


 真瀬志奈

「失礼します……。」


 来川ナナ

「あ、先程の方!」


 真瀬志奈

「ら……来川さん!?」


 部屋のパートナーは来川さんだった。知っている人で少しだけホッとした。


 来川ナナ

「あのあとケントには何かきついこと言われませんでしたか?」


 真瀬志奈

「いえ、あのあとすぐに切り上げることになりましたので……。」


 来川ナナ

「そう……それならいいんですけど……。」


 真瀬志奈

「はい……。」


 来川ナナ

「…………。」


 真瀬志奈

「…………。」


 互いに沈黙が流れる。しばらくすると来川さんが重たい口を開いた。


 来川ナナ

「ケントのこと……身体のこと知ってますか?」


 真瀬志奈

「身体のことですか? それは……知らないですね。」


 来川ナナ

「そうですか……。それならいいですけど…………あ。そうでした。これから1年よろしくお願いします!」


 真瀬志奈

「あ、はい! よろしくお願いします!」


 来川ナナ

「それじゃあ私は少し外へ出ていますので、ゆっくり休んでくださいね。」


 真瀬志奈

「わかりました。ありがとうございます。」


 来川さんは外へ出かけて行った。


 私はテレビをつけた。ちょうど映っていたのは学生チーム対芸能人チームのクイズ番組だった。

 そういえばこの中にも同じ学園の人がいた気がする。……どうやら今日は欠席のようだ。


 いないとわかり、適当なチャンネルを次々と変えていく。


 ……特に見たいものがなかったのでテレビを消した。そして、時計を見ると遅い時間になっていた。


 …………そろそろ寝よう。


 私は寝床についた。



 六郭星学園 音楽室



 翌日、私と夜坂さんは曲のコンセプトを考えようと音楽室に行くと見慣れない先生がいた。


 ??

「あら?あなたたちは?」


 夜坂ケント

「……夜坂ケントです。Eクラスの生徒です。」


 真瀬志奈

「真瀬志奈と言います。同じくEクラスです。」


 笛花奏

「あら……咲也のところの子ね。私は笛花奏(ふえばな かなで)。Kクラスの担任をしているわ。」


 真瀬志奈

「笛花先生ですね。よろしくお願いします。」


 笛花奏

「ええ、よろしく。ところでどうしてここに?」


 夜坂ケント

「今度行われる課題を作曲にしようと考えています。なので、ここに来ました。」


 笛花奏

「そう……ちなみにコンセプトは決まっているの?」


 真瀬志奈

「そ、それは……」


 夜坂ケント

「コンセプトはまだ決まってはいません。これから決めます。」


 笛花奏

「そう……あなたたちはそれぞれどんなコンセプトが良いか決まっているの?」


 夜坂ケント

「俺はまだ決まってはいません。ですが今すぐにでも作曲がしたいです。」


 笛花奏

「そう……真瀬さんは?」


 真瀬志奈

「私は……この声優さんをモチーフにした曲を作りたいなって、思っています。」


 そう言って私はその声優さんの画像を見せた。


 夜坂ケント

「……!?」


 真瀬志奈

「え……?」


 少し夜坂さんが動揺をしたような気がするが、ほんの一瞬だったので気のせいかもしれない。


 画像を見た笛花先生は思わぬことを言った。


 笛花奏

「あら?この声優さんなら今度、楽曲のオーディションがあるわよ。」


 真瀬志奈

「え!本当ですか!?」


 笛花奏

「ええ、もし良いならオーディションにも参加してみたらどうかしら?」


 真瀬志奈

「そうですね……」


 私は可能ならば応募をしてみたい。けれど、夜坂さんは……どう思うかだ。


 真瀬志奈

「あの……夜坂さんは……?」


 夜坂ケント

「俺は構わない。コンセプトはそれで行こう。」


 即決だった。あっさりと決まった。


 真瀬志奈

「良いんですか?」


 夜坂ケント

「ああ、構わない。」


 真瀬志奈

「……わかりました。」


 なんだろう何かしっくりと来ない。夜坂さんの本音を聞けていないからだろうか。


 笛花奏

「それじゃあコンセプトが決まったから、2人のコミュニケーションを深めるためにも少し遊んでみたら?」


 真瀬志奈

「遊びに……ですか?」


 笛花奏

「ええ、はいこれ。遊園地のチケット。この近くにあるから遊びに行ってらっしゃい。」


 夜坂ケント

「先生、そんな時間はないです。急いで作曲をしないと。」


 笛花奏

「大丈夫よ。課題だけど、6月から3月に変わったから十分な作曲の時間があるわよ。」


 夜坂ケント

「そうじゃなくて…………。…………いえ、なんでもないです。わかりました。行こうと思います。」


 笛花奏

「はい。いってらっしゃい!」

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