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colorful 〜rainbow stories〜 encore  作者: 宮来 らいと
第1部 来川ナナ編

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第3章 茜空での約束(来川ナナ編)中編

 来川医療センター前の公園



 来川さんは公園にいた。僕は一緒にベンチに座ろうと来川さんをベンチに促して座った。


 来川ナナ

「…………。」


 真瀬莉緒

「…………。」


 互いに無言が続く…………。


 口を開いたのは来川さんの方だった。


 来川ナナ

「ねえ……莉緒くんは……薄茶色は好きって変だと思う?」


 真瀬莉緒

「薄茶色ですか……?」


 来川ナナ

「私ね、前に友達とケンカをしてその子が交通事故で亡くなったって話を言ったっけ。……あ、お父さんが言ったわね。」


 真瀬莉緒

「……そうでしたね。」


 来川ナナ

「そのケンカした理由はね……薄茶色なの。その友達は薄茶色なんて、いらないって言ってね。私の好きな色だったから、それで怒っちゃって……。」


 真瀬莉緒

「そうだったんですか……。」


 来川ナナ

「薄茶色が好きって……変かな?」


 真瀬莉緒

「変じゃないと思います。」


 僕は即答で答えた。


 真瀬莉緒

「変なんかじゃないです。赤や青みたいに有名な色ではないかもしれないですが、薄茶色にもちゃんとした意味のある色なんです。好きな色に否定される要素なんてないです。」


 僕が言うと来川さんは少し笑みを浮かべた。


 来川ナナ

「…………ありがとう。そう言ってくれたのは2人目。」


 真瀬莉緒

「そうなんですね。……ちなみに1人目は?」


 来川ナナ

「1人目はケント。ああ見えて、ケントは薄茶色が好きなの。それであのハチマキの色も薄茶色なの。」


 真瀬莉緒

「そうだったんですね。」


 来川ナナ

「よし。じゃあ……薄茶色を変な色と言わなかった莉緒くんとも約束。」


 真瀬莉緒

「約束……?」


 来川ナナ

「ええ……約束は私と一緒にケントが必ず聞いてくれる曲を作るのと、その曲がその声優さんに歌ってくれるそんな曲にすること。」


 真瀬莉緒

「来川さん……!」


 来川ナナ

「莉緒くん……約束!」


 真瀬莉緒

「わかりました!夜坂くんが目を覚ますような曲かつ、声優さんが歌ってくれる曲を作りましょう!」


 来川ナナ

「莉緒くん! ありがとう!」


 僕たちはその約束を守るため指切りをした。

 外はすっかりと茜空になっていた。


 茜空での約束は絶対に守ろう……そう誓った。


 そう誓い、僕たちは六郭星学園に戻ることにした。


 来川ナナ

「莉緒くん。帰ったら、早速練習しましょう。」


 真瀬莉緒

「もちろんです! 頑張って良い曲を作りましょう!」


 僕たちはその日は夜まで曲の練習をして、自分の部屋に戻った。



 六郭星学園 音楽室



 あれから数日。僕たちは作曲に取り掛かっている。創作ダンスの方はほぼ全て完成をしている。あとは作曲をどこまでアレンジできるかのところまで来ている。


 真瀬莉緒

「ここをこうして……そう。そこを……。」


 来川ナナ

「はい……。」


 来川さんはピアノを丁寧に弾きこなす。ピアノの腕は確かなものだ。


 真瀬莉緒

「ピアノ……上手ですね。」


 来川ナナ

「あ、ありがとう。」


 真瀬莉緒

「……………………。」


 来川ナナ

「……………………。」


 タイミングが悪かったのか、ちょっとだけ無言が続いた。


 すると来川さんがふとこんなことを言った。


 来川ナナ

「ねえ、たまにはどこかに行かない?」


 真瀬莉緒

「どこか……ですか?」


 来川ナナ

「ええ、ここ最近は2人でいることないから、どこかに行かない?」


 真瀬莉緒

「そうですね……。」


 曲もだいたいは完成に近いから……まあ、たまには良いだろう。


 真瀬莉緒

「そうですね! 行きましょう……!」


 来川ナナ

「じゃあ早速行きましょう!」


 そうせかされて僕たちはボウリング場に向かった。



 ボウリング場



 真瀬莉緒

「あの……僕、ボウリングやったことないんですけど……」


 来川ナナ

「本当に!? ……じゃあ教えてあげる!」


 来川さんに目を丸くしながら驚かれた。相当なことなのだろうか?


 やったことはないものの、まずはボウリングの玉を持ってくる。


 持ってくるとまずは来川さんが薄茶色の玉を投げる。


 来川ナナ

「えい!」


 声を出すと同時にボウリングの玉を投げる。ボウリングの玉はピンを全て倒した。


 来川ナナ

「やったわ! ストライクよ!」


 来川さんはストライクを出した。僕もストライクを出したいが上手くいくだろうか?


 来川ナナ

「さ、次は莉緒くんの番よ。」


 真瀬莉緒

「はい……。」


 僕はボウリングの玉を投げる。


 しかし、ボウリングの玉はピンに当たることはなかった。


 真瀬莉緒

「ガターか……。」


 来川ナナ

「諦めちゃダメ! もう1回投げてみましょう!」


 そう言われて僕はもう1回投げる。


 またボウリングの玉はピンに当たらなかった。


 来川ナナ

「大丈夫! 私がついているから! 頑張って!」


 来川さんは一生懸命に僕を応援してくれた。


 僕が何度もガターを出しても、応援してくれた。


 来川ナナ

「フレー! フレー! り・お・くん!」


 必死になって応援をしてくれている……期待に応えないと!


 僕は思い切ってボウリングの玉を投げる。すると……真ん中を転がっていった。


 真瀬莉緒

「…………!!」


 そして……ボウリングのピンは全て倒れた。


 真瀬莉緒

「やった……! ストライクだ!」


 来川ナナ

「莉緒くん! おめでとう!」


 来川さんは僕がストライクを出したことを自分のことのように喜んでくれた。


 真瀬莉緒

「ありがとうございます!」


 来川ナナ

「良いのよ。これは莉緒くんが頑張った証拠よ。……さあ! ここからは負けられないわよ!」


 真瀬莉緒

「望むところです!」


 その後、来川さんとボウリングで勝負することになり……結果は……言うまでもなく、来川さんの勝ちだったが、僕とスコアがあまり変わらなかった。


 僕はそのスコアを見てとても嬉しくなった。


 真瀬莉緒

「これが……僕の結果……!」


 来川ナナ

「ふふ……おめでとう!」


 真瀬莉緒

「ありがとうございます!」


 来川さんは僕の結果におめでとうと言ってくれた。僕はボウリングがとても楽しいものだと初めて思った。

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