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colorful 〜rainbow stories〜 encore  作者: 宮来 らいと
第1部 古金ミカ編

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第3章 山吹色の夕焼けで(古金ミカ編)中編

 六郭星学園 Eクラス教室



 僕はどうすれば古金さんを救えるのか、古金さんのルームメイトの姉さんに相談してみた。


 真瀬志奈

「ミカを救う方法か……たしかに私もミカのことが気がかりなのよね……。」


 真瀬莉緒

「姉さんは……姉さんならどうするの?」


 真瀬志奈

「私は……そうね……待つしかないわね。」


 真瀬莉緒

「待つしか……ない?」


 真瀬志奈

「私は思うのよ……こればかりはミカ自身が乗り越えないといけないの。私たちにできることはミカを受け入れる体制を作ることだと思うの。無理矢理に元に戻そうとするとまた逆効果になりそうな気もするの。それなら体制を整えて待つしかないのかなって。」


 真瀬莉緒

「体制を……受け入れる……。」


 真瀬志奈

「莉緒……あなたにはあれがあるでしょう?」


 真瀬莉緒

「…………!」


 そうだ……あれがある……! こうしてはいられない。います……



 ギギ……ガガ……


 な……なんだこの耳鳴り……!?


 ギギ……ガガ……


 真瀬莉緒

「が……苦しい……!」


 真瀬志奈

「り……莉緒!? 大丈夫!? しっかりして!」


 真瀬莉緒

「はっ……! 姉さん!」


 その声でなんとか意識を取り戻すことができた。


 真瀬志奈

「莉緒? 大丈夫なの? 無理しないで……。」


 真瀬莉緒

「う、うん……」


 今のはなんだったんだのだろうか……僕にもわからないまま、僕は音楽室に向かう……。



 六郭星学園 音楽室



 音楽室に来た。僕は早速、作曲作りに取り掛かろうとしたが、そこには……古金さんがいた。


 真瀬莉緒

「古金……さん?」


 古金ミカ

「真瀬さん。お疲れ様です。作曲でしょうか? それでしたら私もご一緒させていただきます。」


 真瀬莉緒

「…………。いえ、僕1人でやります。」


 古金ミカ

「どういうことでしょうか?」


 真瀬莉緒

「今の古金さんとはできないと思います。」


 古金ミカ

「そうですか。わかりました。では、しばらくは別行動で行きましょう。」


 真瀬莉緒

「はい。」


 こうして僕は音楽室から離れることにした。



 六郭星学園 空き教室



 僕は笛花先生から許可を取り空き教室で練習をする。


 古金さんが弾ける曲かつ完璧な曲を作るんだ。古金さんを待つんだ。


 そう決めてから数時間経った。1人でどのくらい練習したのだろうか、外はもう真っ暗だった。部屋に戻ろう。



 六郭星学園 廊下



 学園の廊下はかなり暗くなっている。相当な深い時間なのだろう。門限も危ういかもしれない。


 真瀬莉緒

「急いで……戻らないと……。」


 僕は歩いていると空き教室から声が聞こえる気がした。


 真瀬莉緒

「なんだろう……この声……?」


 空き教室に近づこうとすると空き教室から1人の女子生徒が出てきた。


 ??

「あ、あの! 私の声……聞いていましたか……?」


 真瀬莉緒

「え、いや、聞いてないですよ……? あなたは……?」


 夢野マナカ

「すみません……私、夢野マナカ(ゆめの まなか)です。」


 真瀬莉緒

「真瀬莉緒です。あの……空き教室でなにを?」


 夢野マナカ

「いえ……なんでも……ないです……では……失礼します……。」


 夢野さんはそう言うと、とぼとぼと歩いて寮の方へ戻って行った。気のせいか……彼女の声はどこかで聞いたことのある声な気がした。

 だけど、今はそんなことを考えている暇はない。急いで寮へ戻らないと。


 真瀬莉緒

「僕も戻るか……。」


 僕は急いで寮に戻った。



 六郭星学園 Kクラス教室



 翌日……僕が教室に入ると古金さんが声をかけてきた。


 古金ミカ

「真瀬さん。今日は作曲に協力させてください。」


 真瀬莉緒

「…………。」


 古金ミカ

「なぜ私を拒むのですか? 作曲をするだけですよ。」


 真瀬莉緒

「……古金さん。今日は作曲ではなくて……ちょっとお散歩についてきてもらえますか?」


 古金ミカ

「…………? 構いませんが?」


 真瀬莉緒

「それじゃあ、放課後に行きましょう!」


 古金ミカ

「わかりました。放課後待っております。」


 そして、放課後になった…………


 真瀬莉緒

「それじゃあ行きましょう。」


 古金ミカ

「はい。」


 僕たちは中庭に出る。中庭には星野さんと来川さんがいた。


 古金ミカ

「星野さん。来川さん。どうされましたか?」


 星野シキア

「ええ、今はどうしたらあなたを救えるか考えていたの。」


 古金ミカ

「私を……?」


 来川ナナ

「何もできないかもしれないけど、私たちはあなたのことを待っているから……!」


 古金ミカ

「…………。」


 星野シキア

「莉緒……あとはよろしくね。」


 来川ナナ

「頑張ってね。」


 そう言うと星野さんと来川さんは去っていった。


 真瀬莉緒

「散歩の続きをしましょう。」


 古金ミカ

「はい。」


 散歩を続けると、今度は姉さんがいた。


 真瀬志奈

「ミカ。元気?」


 古金ミカ

「はい。私は元気ですが……?」


 真瀬志奈

「ミカね。私は待つことしかできない。これを乗り越えれるのはミカ次第。私はミカを信じているからね。莉緒……頼むわよ。」


 姉さんもそう言うと去っていった。


 中庭の階段近くに行くと今度は月川さんと夜坂さんに会った。


 月川タクト

「やあ、古金さん。こうしてお話するのは初めてだね。」


 古金ミカ

「はい。そうですね。」


 夜坂ケント

「俺たちは古金とはあまり接点はないが、柊木がいつも心配していてな……。俺たちの友人が心配しているんだ。こっちも応援しないとな。」


 月川タクト

「そうゆうこと。古金さん。アイもそうだけど、僕たちも元の古金さんに戻るのを楽しみにしているからね。」


 夜坂ケント

「ああ……。頑張れよ。」


 そして2人は去っていった。


 古金ミカ

「先程からみなさんは何を考えているのでしょうか?」


 真瀬莉緒

「さぁ……? …………気持ちはわからなくもないですけどね。」


 そう言って散歩を続けた。気がつけば遠いところまで散歩をしていた。辺りは山の上の展望台だった。


 そこには柊木さんがいた。


 柊木アイ

「ミカ……。」


 古金ミカ

「柊木さんも同じことを言うのですか?」


 柊木アイ

「…………。」


 真瀬莉緒

「違うよ。アイくんはそんなことはしない。」


 柊木アイ

「莉緒くん……!」


 真瀬莉緒

「古金さん……いや、ミカさん。僕はどんなミカさんでも構わない。他人に性格をどうこう言われる筋合いなんてないからね。」


 古金ミカ

「…………。」


 真瀬莉緒

「それでね。僕がミカさんと一緒に作ってきた曲を聞いて欲しいんだ。と言っても僕が少しアレンジを加えたけれど……」


 古金ミカ

「…………。」


 真瀬莉緒

「それで、この曲を聞いてミカさんにどうしてもらうか決めて欲しいんだ。」


 古金ミカ

「……わかりました。」


 真瀬莉緒

「ありがとう。じゃあ……弾くね。」


 僕はミカさんへの思いを乗せて曲を弾いていく……



 古金ミカ

「これが……真瀬さんの……思い……。」


 僕の思いは少なからず届いた様子だった。


 真瀬莉緒

「ミカさん。これが僕たちが作ってきた曲です。この曲を生かすのも殺すのもミカさん次第です。」


 古金ミカ

「……私が……?」


 真瀬莉緒

「今決めなくてもいい。ミカさん、いつでも待っています。」


 古金ミカ

「……私は……! 私は……!」


 真瀬莉緒

「ミカさん……。」


 古金ミカ

「へへーんだ!! もちろん莉緒っちと一緒に作るんだもんねー!!」


 真瀬莉緒

「やった……!!」


 柊木アイ

「よし!!」


 良かった……。前のミカさんに戻った……。

 ホッとしたのか、肩の荷がおり、そのまま地べたに座り込んでしまった。その時に辺りを見ると既に夕方だった。展望台から見えるのは山吹色のきれいな夕日だった……。僕を見ていたミカさんは隣に来て地べたに座った。


 古金ミカ

「莉緒っち……ありがとうね。」


 真瀬莉緒

「…………うん。」


 古金ミカ

「私……父親の暴力にも暴言にも負けないから。……それと父親から命令された曲だけど、それは作る。でもそれは命令じゃなく、莉緒との約束として作りたいんだ。」


 真瀬莉緒

「そっか……じゃあ、明日からたくさん練習しよう!」


 古金ミカ

「もっちろーん! いっぱい練習するんだから!」


 再び光を取り戻したミカさんと決意をあらわにした。


 そして、それを見ていたアイくんが何かを言いたそうな様子が見られた。


 柊木アイ

「ちなみに……莉緒くんたちは課題はできているの?」


 …………忘れていた。元々は6月を予定していたけど、例のモンスター事件の件で3月になった。しかし、今回のミカさんの件で、課題はそっちのけになっていた。


 古金ミカ

「それなら問題ないわよ! この曲を課題として提出するの。それなら文句ないでしょう?」


 真瀬莉緒

「僕も同じことを考えていたよ。それで行こう!」


 古金ミカ

「おー!!」


 柊木アイ

「……………………。」

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