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colorful 〜rainbow stories〜 encore  作者: 宮来 らいと
第1部 古金ミカ編

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第2章 紺青の瞳(古金ミカ編)中編

 六郭星学園 音楽室



 数日後……僕たちは曲の練習をしている。……が、古金さん自身はあまり乗り気では無さそうな様子だ。


 一生懸命に練習はしている様には見えている。ただ本人も何かで引っかかっている様な様子だ。


 真瀬莉緒

「古金さん……?」


 古金ミカ

「……ん? ああ、どうしたのー?」


 真瀬莉緒

「いや……何か……あまり調子が良くなさそうだなって……。」


 古金ミカ

「…………。」


 真瀬莉緒

「何かあるんですか? お父さんと……。」


 古金ミカ

「……ねえ、もし良かったらちょっと遊びに行かない?それから話して、あ・げ・る!」


 真瀬莉緒

「うぅ……わかりました。」


 一瞬、肌寒い感覚があったが、古金さんの青い瞳を見ると、落ち着いてくる。柊木さんの言う通りかもしれない。これが本人の性格なんだと。


 古金ミカ

「ではでは、早速行きまっしょう!」


 古金さんに言われるがままついていく……

 ついて行った場所は……。



 六郭星公園



 着いた場所は公園だった。思いのほか普通の場所だ。


 真瀬莉緒

「公園……? 何をするんですか?」


 古金ミカ

「決まっているじゃん! 遊ぶの。この道具たちで!」


 古金さんが持ってきたカゴの中にはキャッチボール用具やフリスビー、ホッピングなど公園で遊べるものがたくさんあった。しかもほとんどがオレンジ色だった。


 真瀬莉緒

「……すごいですね。特にみんなオレンジ色で統一されているんですね。」


 古金ミカ

「前も言ったけど、オレンジ色はあったまる色で私も楽しくなるんだ〜! アイもオレンジ色が好きみたいだけど、そこは大いに賛成ですな〜!」


 真瀬莉緒

「そうなんですね。オレンジ色か……。」


 古金ミカ

「それよりも早く遊びましょうよ!」


 真瀬莉緒

「……そうですね。じゃあ何にするか、選びましょうか。」


 僕たちは肩を並べてカゴの中の道具を見る。


 古金ミカ

「これとかどうかな?」


 真瀬莉緒

「あ……それは周りに人がいない方が怪我をしにくいので、今は難しいかもですね。」


 古金ミカ

「そっか……じゃあこれは?」


 真瀬莉緒

「あ! それ良いですね。それをやりましょうか!」


 僕たちは選んだ道具でひたすらと遊んだ。


 真瀬莉緒

「はあ……はあ……。」


 古金ミカ

「はあ……はあ……。」


 とにかくひたすらに遊んでいたためか僕たちは芝生の上で仰向けになり、休憩をとっていた。


 とても激しい運動だった。フリスビーはいきなり3つも同時に投げるなどの強行に行き、ホッピングに関しては体当たり勝負でどこかのなんとかパーティのゲームに出てきそうな遊びだった。


 古金ミカ

「……ありがとうね。」


 しんどいところにお礼を言われた、ただ何も言われないよりもだいぶマシだ。お礼も返さないと。


 真瀬莉緒

「なんもですよ。久しぶりに身体を動かした様な気がします。」


 古金ミカ

「……そう。」


 真瀬莉緒

「…………?」


 古金さんは何かを言いたそうにしている様な気がした。いつもとは違い、真面目な様子だからだ。


 古金ミカ

「教えてあげる……私のお父さんのこと。」


 真瀬莉緒

「……はい。」


 古金さんは身体を起こし、おもむろに自分の父親について喋る……


 古金ミカ

「私の父は……悪徳な研究への支援を行っているの。」


 真瀬莉緒

「悪徳……?」


 古金ミカ

「ええ、その研究は人を人と思わない研究で、犠牲者も数知れないわ。」


 真瀬莉緒

「…………。」


 古金ミカ

「その研究には実験台として何千万と報酬を受け取ることができて、それで自分の子供を犠牲にしてお金をもらっている人もいるみたいなの。そしてその研究の実験台になった人は必ずと言っていいほど行方不明になっているわ。」


 真瀬莉緒

「そんなことが……! 許せないですよ!」


 古金ミカ

「しかもその研究にはこの学校の生徒も犠牲になっているみたいなの。今はまだ行方不明の人はいないらしいけど……」


 真瀬莉緒

「…………それで、お父さんとは不仲に?」


 古金ミカ

「当たり前じゃない。こんなこと……許せるわけないわよ。」


 真瀬莉緒

「そうですね……許せないですね。」


 古金ミカ

「ええ。……こんなところかしら。今の段階で話せることは。」


 真瀬莉緒

「そうですか……ありがとうございます。こんな話をしてくれて……」


 古金ミカ

「…………なんもなんも! お姉さんの愚痴に付き合ってもらっただけだよー。これからもよろしく!」


 話し終えるといつもの古金さんに戻った。


 真瀬莉緒

「そろそろ戻りますか……。」


 古金ミカ

「そだね。帰ろうか。」


 僕たちはこの後、大変な出来事に関わるとは思わなかった。それを知らず、帰路についた。



 六郭星学園寮 玄関前



 ざわざわ……ざわざわ……


 玄関につく。当たりがものすごく騒がしい。


 古金ミカ

「おお? 何かのパーティかな?」


 真瀬莉緒

「いや……特にそんな行事はなかったはずですけど……。」


 ??

「ああ、君たち今戻ってきたのかい?」


 真瀬莉緒

「ええ、まあそうですけど……。」


 崎盾ジュン

「ああ、ごめん。僕は生徒会副会長の崎盾ジュン(さきだて じゅん)。実は今……」


 ??

「グオオオオオォォォォ!!」


 男子生徒A

「うわぁ!きたぞ!!」


 女子生徒A

「いやぁぁ!!」


 真瀬莉緒

「な……!?」


 目の前にいたのは狼とも言えない獣だった。


 古金ミカ

「…………!? まさか……これが……?」


 崎盾ジュン

「逃げよう!! 急いで!」


 副会長に言われ、僕たちは急いで外へと逃げる。


 真瀬莉緒

「はあ……はあ……!」


 まずい、外で運動したからか体力が少ない。短時間での逃走が必要だ。


 古金ミカ

「莉緒っち! しっかり!」


 走りながら古金さんに励まされ、必死に逃げた。


 なんとか屋上に着き、僕たちは狼もどきのモンスターを下から見ている、周りには警察と鹿崎先生と柿本瑛久(かきもと あきひさ)先生がいた。


 鹿崎咲也

「柿本! 大丈夫だ。もう怪物は麻酔銃で寝ているから、檻に入れても大丈夫だ。」


 柿本瑛久

「うわぁぁ……助けてくださーーい!!」


 鹿崎咲也

「わあ! バカ! 大声出したら起きるだろ!」


 なんとか檻に入り、モンスターは連れて行かれた。


 崎盾ジュン

「はあ……みなさん大丈夫ですか? 先生方から指示があるまで待っててください!」


 副会長がみんなの安否を確認している。

 それまで全員は屋上で待機をする。


 待機をしている間、星野さんたちとも合流し、姉さんたちのクラスの人とも合流した。


 星野シキア

「しかし……物騒な事件ね。こんなことになるなんて……」


 月川タクト

「本当にそうだよね。そう言えば会長も何か言っていなかった?」


 来川ナナ

「そう言えば、行方不明の人が学園内にいるって……私たち学年ではなかったからそこまで気にならなかったですけど……。」


 夜坂ケント

「…………。」


 真瀬志奈

「夜坂さん……? どうかされました?」


 夜坂ケント

「いや、なんでもない。それより、柊木と古金の2人は……?」


 そういえばさっきから会話に入ってこない。2人で何か話しているのかな?


 振り向くと2人がいたので話しかけようとすると妙な会話をしていた。


 柊木アイ

「やっぱり……そうなのかな……。」


 古金ミカ

「ええ、間違いないわ。」


 柊木アイ

「実際にこんなことになっているってことは……ミカの言う通りかもしれない……。」


 古金ミカ

「だからさ、もう親にあれをやるなって言った方がいいわよ。」


 柊木アイ

「…………わかったよ……。でも時間が欲しい。本当にやっているのかどうか見てからじゃないと……。」


 古金ミカ

「それでもいいわ。今は本当のことだけを知ってほしいから。」


 話を聞いてしまった……立ち聞きはあまりよろしくはないがかなり重たそうな話だった。


 真瀬莉緒

「あの……古金さん……。」


 古金ミカ

「お……? ああ、ごめんごめん! お姉さんたちを置いて話すわけにはいきませんよね〜!」


 柊木アイ

「ごめんね。それで、何の話?」


 すると気づいたのか、姉さんが訳を話した。


 柊木アイ

「ああ、ごめんね。色々と話していたから……。」


 古金ミカ

「さてさて、会話に混ざりましょうか!」


 2人は場をごまかしながら会話に入っていった。やっぱりあまり良い話ではないのかもしれない……


 その後、僕たちは会長たちの指示で、自室の方へ戻ることができた。

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