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colorful 〜rainbow stories〜 encore  作者: 宮来 らいと
第1部 星野シキア編

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第4章 若竹色の楽譜(星野シキア編)中編

 数日後……。



 オーディション会場 会場前



 真瀬莉緒

「ここが……オーディション会場……シキアさん……大丈夫ですか?」


 星野シキア

「ええ……今のところは。」


 真瀬莉緒

「良かった……無理しないでくださいね。」


 星野シキア

「ええ、でも……莉緒……あなたがいるなら大丈夫よ……。」


 真瀬莉緒

「シキアさん……?」


 星野シキア

「莉緒……覚えてる……?私が夢を持つことをやめたことを……。」


 真瀬莉緒

「ありましたね……。」


 星野シキア

「でもね……今は、莉緒がいるから私は夢を持てるようになった。好きな声優さんに曲を作りたい。そんな夢を叶えたいと、そう思ったの。」


 真瀬莉緒

「…………。」


 星野シキア

「そして今日はその大切なオーディション。楽譜の色は若竹色。この楽譜は私が夢を叶えたい時に使うための楽譜なの。」


 真瀬莉緒

「え……、それって……。」


 星野シキア

「莉緒……ありがとう。私に夢を大切なものと教えてくれて……。」


 真瀬莉緒

「シキアさん……!」


 星野シキア

「行きましょう!梶木になんか負けないから!」


 真瀬莉緒

「はい!」


 僕たちはオーディション会場の中に入っていった。


 オーディション会場内


 僕たちは受付を終えた後、控え室で待機し、名前が呼ばれて面接室のドアのベンチで待っていた。


 星野シキア

「もうすぐね……。」


 真瀬莉緒

「はい……。」


 僕たちの出番は次だった。今か今かと前の人のオーディションが終わるのを待っている。


 真瀬莉緒

「大丈夫ですよ……。きっと。」


 星野シキア

「ええ……今度こそは……。」


 真瀬莉緒

「はい……今度……」


 ガチャとドアの開ける音が聞こえ、振り向くと前の人が出てきた……ある男と一緒に……。


 ??

「ほう……懲りずにまた来たのかね。」


 星野シキア

「は……はあ……!」


 真瀬莉緒

「あなたは……!」


 目の前にいたのは梶木源蔵だった。何をしに来たかは僕らには既にわかりきっていた。


 梶木源蔵

「こんなもの見なくてもわかるんだよ。ワシが正しいんだ。ワシが。」


 そう言って、シキアさんの若竹色の楽譜を奪いとる。


 星野シキア

「そ、それは……!! やめてください……!!」


 梶木源蔵

「ふん! こんなもの……破り捨ててやるわ!!」


 破り捨てられる……そう思った時、1つの手が梶木の腕を掴む。


 梶木源蔵

「な……!?」


 真瀬莉緒

「あなたは……!」


 梶木の腕を掴んだのはシキアさんの憧れている声優さんだった。

 声優さんは梶木から若竹色の楽譜を取り、警備員を呼ぶ。


 梶木源蔵

「待ってくれ!! ワシはただ、ワシはただ……ストレスを発散させたくて……!!」


 警備員に羽交い締めにされながら連れていかれる梶木。去り際に言った言い訳も酷い。とんでもない奴だ。


 星野シキア

「あ……あの……。」


 声優さんは梶木から取った若竹色の楽譜を手渡した。


 星野シキア

「ありがとう……ございます。」


 そして声優さんは立てるかどうかを聞き、シキアさんに手を差し出した。


 星野シキア

「ありがとうございます……。」


 シキアさんは少しだけ動揺しながらも、声優さんに感謝をして、面接室へ入っていった。それにつれて僕も面接室に入る。


 真瀬莉緒

「失礼します。」


 面接室には声優さんとほかに審査員が4人。1つ空席があり、おそらくはそこが梶木の席だろう。


 審査員A

「それでは始めさせていただく前に……」


 声優さん以外の審査員全員が立ち上がる。


 審査員A

「大変申し訳ありませんでした!」


 審査員B

「梶木さんのことで色々とご不快な思いをさせてしまい大変申し訳ありませんでした!」


 そう言って審査員たちは謝罪をする。


 僕とシキアさんはさすがにそれに止めに入り、落ち着いたところで今回の作曲についてのコンセプトなどを話していった。


 星野シキア

「……そして、完成したのがこの曲です。1度聴いてみてください。」


 審査員C

「はい。ではこちらの音源をお借りいたします。」


 審査員の人はそう言ってラジカセにCDを入れた。


 そして……曲が流れる……。


 曲が流れ、声優さんは若竹色の楽譜を見ながら聞いていた。


 …………。声優さんは何も言わない。何かを考えている様子だ。


 考え終わると審査員に耳打ちをする。


 審査員D

「申し訳ありませんがもう1度流させていただきます。」


 もう1度……?


 その声優さんはこの曲を何度も何度も繰り返して聴く……審査員たちも声優さんの表情を見て何かを確信した。


 審査員D

「こちらの曲には歌詞はありますでしょうか?」


 歌詞……そういえば作ってなかった様な……


 星野シキア

「こちらにあります。」


 真瀬莉緒

「え……?」


 僕が知らない間に作っていたのだろうか。シキアさんは何の迷いもなく歌詞を審査員に渡した。


 シキアさん……いつの間に作っていたのだろう……?


 ………………。


 声優さんは音楽も止めて、ただただひたすらに歌詞の書いた紙を読み続ける……。

 それがようやく終わり、審査員たちを見て頷いた。

 それに審査員もうんと頷く。


 審査員B

「ありがとうございました。控室にてお待ちください。」


 真瀬莉緒

「わかりました。失礼いたします。」


 星野シキア

「失礼いたします。」


 僕たちは面接室を後にし、控室にて結果を待つのみだった。

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