第3章 紅の決意(星野シキア編)中編
六郭星学園寮 中庭
六郭星学園の寮には中庭があり、それなりの広さで、公園遊具などもある。夜の時間帯はあまり人が来ることはあまりないらしいためか、中庭に僕だけしかいなかった。
真瀬莉緒
「…………作曲か……。」
僕にはまだ決心はつかなかった。タクトくんはあんなことを言っていたが、それでも不安があった。どうすれはいい……そんな時に……
目の前が真っ白な光と共に爆発音が鳴る。
真瀬莉緒
「なっ……!?なんだ!?」
??
「ふう……六郭星学園ね。間違いないわ。」
白い光が消えると共に1人の女性が目の前に立っていた。
??
「あ。あなた、真瀬莉緒さんでしょう?」
状況が追いつかない中で僕の名前を目の前の女性が言った。
真瀬莉緒
「え……どうして僕の名前を?」
パニックになりながらもなんとか口を開く僕。
そんな僕をみかねたか、女性は喋り出す。
虹谷アヤ
「私は虹谷アヤ。名前ぐらいしか言えないけど、目的は1つ。星野シキアさんの捕獲よ。」
真瀬莉緒
「なっ……! 星野さんを!?」
何を言っているかわからない……何故、星野さんを捕まえるのか……。
虹谷アヤ
「彼女にはとある容疑がかかっているわ。そのために彼女を連れて行くわね。」
そう言うと虹谷と言う女性は星野さんのところへ行こうとした。
僕は何が何だかわからないままだけど……虹谷さんの前に立ちはだかっていた。
虹谷アヤ
「避けてください。」
真瀬莉緒
「ダメです。彼女は何もしていません。それは僕が証人になります。なので捕まえる必要はないです。」
虹谷アヤ
「…………。」
真瀬莉緒
「仮に彼女が無実な場合どうするんですか? どう責任をとるべきですか? 彼女に何かあったら僕は許すわけには行きませんね。」
虹谷アヤ
「…………わかりました。今回はこちらが引きます。でもわかってますね。彼女はグレーな存在だと言うことを……!」
そう言うと白い光が再び照らされ、光が消えると虹谷さんはいなくなっていた。
真瀬莉緒
「なんだったんだ……?」
僕は訳がわからずその場で立ったまま考え込んでいた。
するとそこに……。
??
「もしもし? そこの君?」
真瀬莉緒
「えっ……ああ!柳原先生!」
目の前にいるのは柳原悠香先生。六郭星七富豪の1つの柳原グループの会長の娘さんであり、家にはかなりの執事やメイドがいる。この間の執事・メイド喫茶のやっていたクラスもこの先生のクラスだ。家での生活はほとんどを執事やメイドに任せているが、本人は1人でも家事全般はできるらしく、実際に家庭科を担当している。
柳原悠香
「こんなところでどうしましたか?」
真瀬莉緒
「あ、いえ……少し頭の切り替えをと……。」
柳原悠香
「……何かあったんですか? よければ私が話を聞きますよ。」
真瀬莉緒
「……いえ、大丈夫です。おかげで目が覚めました。」
柳原悠香
「そうですか。じゃあそろそろお部屋に戻りましょう。」
時計塔を見ると確かに遅い時間になっていた。何もすることがないため否定することもない。
真瀬莉緒
「はい。」
そう言って僕は戻ろうとした……その時……
ギギ……ガガ……
真瀬莉緒
「な……耳鳴り……?」
ギギ……ガガ……
真瀬莉緒
「うわあ! く、苦しい……!!」
柳原悠香
「え……大丈夫ですか!? 今、医務室に連れて行きますね!」
耳鳴りが鳴る中、僕は柳原先生と近くにいた同じ生徒によって医務室に運ばれた。




