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colorful 〜rainbow stories〜 encore  作者: 宮来 らいと
第1部 月川タクト編

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第1章 真っ白な出会い (月川タクト編)中編

 月川タクト

「なんか……すごい人だったね。」


 柊木アイ

「うん……すごい執着がありそうな女の子みたい。」


 夜坂ケント

「6つの高校が合併したんだ。変なやつが1人くらいいてもおかしくない。」


 柊木アイ

「先生はああ言っていたけど、あんまり関わらない方がいいよね。」


 月川タクト

「うーん……でもさ、最初だし不信な気持ちもあるから、半年くらい経ったらみんなと仲良くすると思うよ!」


 月川くんはそう言った。性格もすごく良いんだなぁ…


 柊木アイ

「そ、そうか……? まぁ月川くんが言うなら少し考えるね。」


 夜坂ケント

「月川は相変わらず心優しいな。合併説明会の時も連れ添い子供に優しく接していただろ。」


 真瀬志奈

「あ、前からみなさんお知り合いだったんですか?」


 私は自然にそう発言していた。


 柊木アイ

「うん、合併説明会の時に知り合っただけどね。」


 夜坂ケント

「…………ああ。」


 月川タクト

「それはそうと真瀬さんは出身は音楽学校なんでしょ! だからさ課題…………曲作ってみない?」


 曲か……月川くんはギター弾けるし、作曲家目指してもいるし、私も確かに昔に何曲か作った経験はあるけど…………


 柊木アイ

「あ、それ良いかも!僕も志奈ちゃんの腕前見てみたいし!」


 夜坂ケント

「鹿崎先生は課題はなんでもいいと言っていたから最適かもしれないな。」


 2人にも曲が聞きたいを言われてしまった。

 そう言われると断りづらい…………


 真瀬志奈

「曲と言っても私なんかが…………」


 鹿崎咲也

「俺もいいと思うぞ!」


 真瀬志奈

「鹿崎先生!?」


 職員会議が終わったのか、鹿崎先生もそう言って入ってきた。


 鹿崎咲也

「真瀬は楽器弾けるし、月川は作曲家志望だろ?なら課題で試しに作るのはどうだ? 作るなら奏に俺から頼んでおくぞ? あ、奏は音楽を担当している笛花奏(ふえばな かなで)のことだから。後々みんなも会うと思うから名前だけ覚えてあげてな。」


 わわ…………先生にまで背中を押していただるなんて…………これは流石に断れない…………


 真瀬志奈

「わかりました……作ってみます。」


 月川タクト

「やった! 真瀬さんと曲が作れるんだ!」


 柊木アイ

「あはは、月川くんも一緒に作るんだよ。」


 月川タクト

「わかってるって!」


 鹿崎咲也

「よし! じゃあ早速奏に声を掛けておくから明日、放課後音楽室に来てくれ!」


 そう言われて私と月川くんは「はい。」と言い鹿崎先生は教室から出た。


 月川タクト

「さてと……じゃあそろそろ帰るか。」


 柊木アイ

「そうだね。寮に入るのは明日からだからね。」


 夜坂ケント

「あぁ、そうだな。また明日だな。」


 月川タクト

「じゃ、また明日ね!」



 そう月川くんが言って、私たちは家に帰った。



 翌日…………


 六郭星学園 音楽室


 月川タクト

「ここが音楽室か…………すっご…………」


 初めて訪れた音楽室はとても広く、世界のあらゆる楽器が並べられており、さらには音響設備までも取り揃えられている。まあ、私の学校も合併されているのでこれが当たり前だと思う。


 ??

「あら、あなたたちね。咲也が言っていたのは。」


 振り返ると見た目とは裏腹に大人びた女性が立っていた。おそらくこの人が鹿崎先生が言っていた…


 笛花奏

「私は笛花奏。雨虹音楽高校の教員だったけど体調崩して2年ほど休んでいて、合併を期に復帰したからみんなとははじめましてになるわね。音楽を教えるからよろしくね。」


 真瀬志奈

「は、はい!」


 月川タクト

「よろしくお願いします!」


 笛花奏

「うふふ…………そんなに緊張しなくても大丈夫。まずはそうね…実力を見せてくれないかしら?」


 真瀬志奈

「わ…………わかりました!」


 笛花奏

「じゃあ…………まずはこの楽器弾いてくれる?」


 真瀬志奈

「はい…………」


 私はひとまず指定された琵琶を弾いてみた。

 それを聞いた笛花先生は驚いていた。


 笛花奏

「すごい…………咲也から聞いていたけど、まさかここまでの実力とは……じゃあ、次は…………」


 と指定された楽器を弾き、笛花先生から高評価を得た。


 笛花奏

「じゃあ月川くん。ギター弾いてみて。」


 月川タクト

「は、はい。」


 月川くんがギターを弾く。ギターを弾いている姿は初めてあった時以来だけど、かなりの腕前だった。そんな月川くんの顔を見ると真剣な表情。ただ、その顔にも楽しく弾いている気持ちが見えたような気がした。

 笛花先生は月川くんのギターを弾き終わると、笑みを浮かべていた。


 笛花奏

「…………プロの作曲家志望目指すだけあるわね。及第点ではあるけど、見込みアリね。」


 月川タクト

「あ、ありがとうございます!!」


 笛花奏

「じゃあ曲だけど……コンセプトとかあるかしら?」


 コンセプトか……考えていなかったな……。


 月川タクト

「そうですね…………この人に歌って欲しい曲ってのはダメですかね?」


 笛花奏

「ある人に? 別に問題は無いけど…………どんな人なの?」


 月川タクト

「はい、自分が作曲家を目指す理由となった人でその人は声優をやっているんです。」


 声優さんかぁ…………最近は声優さんはすごいブームでテレビにも出る声優さんも少なくないし、なにより皆さん歌も上手い。


 月川タクト

「その人はイベントか何かで来ていてその人の歌を聞いて……とても良い曲で……この人の曲を書きたいって思いました。そして来年の3月に曲を出すらしく、その曲のオーディションがあるそうなんです! そこで僕は応募しようと思っています!」


 笛花奏

「なるほど……その人には強い想いがあるのね。すごい立派なことよ!」


 月川くんが作曲家を目指す理由はそうだったんだ…やっぱり夢があるっていいな…


 ??

「まだそんなこと言ってるの?夢見てんじゃないわよ。」


 突然その声が聞こえた。声の方向には女子生徒が立っていた。


 ??

「そんなことやってたって意味は無いんだから。諦めたらどうなの?」


 月川タクト

「シキア、別にいいだろ!俺はあの人の曲が作りたいんだ!」


 ??

「くだらない…………ここまで言ってもまだそんなことを…………。」


 月川くんとその人は口論をし始めた。

 さすがに笛花先生が止めに入った。


 笛花奏

「星野さん、夢を壊すのはみっともないわよやめなさい。」


 ??

「しかしですね…………叶うものも叶わ…………」


 笛花奏

「やめなさい。」


 短調に冷静に笛花先生が言う。


 ??

「仕方ないですね…………」


 その人は渋々そう言った。


 ??

「夢見てんじゃないわよ…………私みたいに…………!」


 その人は捨て台詞を吐いた。音楽室を離れる前に私の顔を見て呟いた。


 ??

「莉緒…………?」


 真瀬志奈

「え……?」


 何でこの人から莉緒の名前が出てきたのだろう?考えている途中でその人は音楽室から出て行った。


 月川タクト

「ごめんね……こんなところ見せちゃって……」


 真瀬志奈

「大丈夫ですよ。それより……あの人は……?」


 月川タクト

「あいつは星野シキア(ほしの しきあ)。昔の知り合いなんだけど…夢を一度貶されたらしく俺の夢も貶されると思ってるんのかな…………」


 夢か……確かに夢は叶う人、叶わない人がいると言うし……星野さんはきっと…………


 笛花奏

「あの子は私のKクラスの子でもあるんだけど……まだ諦めなくてもいい年齢だとは思うのよね……」


 あれ、Kクラス?そういえば莉緒もKクラスだったような……


 笛花奏

「あ、そういえば真瀬さんの弟くんも私のクラスで課題は星山さんとだったわね。」


 真瀬志奈

「莉緒と!?」


 あの人と莉緒が……課題のパートナー……少し不安だ。


 笛花奏

「でも彼に対しては夢を諦めさせるようなことはしていないから安心してね。その時は私が必死で止めてあげる。」


 真瀬志奈

「先生…………。」


 月川タクト

「先生もこう言っているし、信じてあげようよ。」


 真瀬志奈

「…………はい。」


 笛花奏

「はい!じゃあ早速作曲の続きをしましょう!」


 こうして私たちは曲に取り掛かった。

 取り掛かると言っても最初はコンセプトをどうするかを話し合うだけだった。

 今日から寮生活のため、早めに切り上げ私たちは自分の部屋に来た。



 六郭星学園 寮 志奈の部屋



 真瀬志奈

「ここが、私の部屋か…………広い…………」


 部屋は広くリビングとベッドルームが2部屋あり、両方防音になっているらしいのでベッドルームからもう一つのベッドルームからは何も聞こえない。この部屋に2人でがこの寮のルールらしい。私と相部屋の人は……まだ来ていない。


 真瀬志奈

「うーん……相部屋の人はまだ来ていないみたいね……」


 私は今日考えたコンセプトをおさらいしようとしたとき、相部屋の人が入って来た。


 ??

「あ……あなたは……。」


 真瀬志奈

「あ……音楽室の……。」


 そこにいたのは星野さんだった。


 真瀬志奈

「あの……私は……。」


 星野シキア

「すみません。先ほどは……私……タクトを見ているとついああ言ってしまうんで……」


 真瀬志奈

「いえ…………私はEクラスの真瀬志奈です。真瀬莉緒の双子の姉です。よろしくお願いします。」


 星野シキア

「なるほど、通りで似ているわけね……私はKクラスの星野シキアです。よろしくね。」


 真瀬志奈

「はい!よろしくお願いします。」


 星野シキア

「その様子からすると、私と莉緒が課題のパートナーであることを知っているのね。」


 真瀬志奈

「はい、笛花先生から聞きました。」


 星野シキア

「そう……。」


 真瀬志奈

「………………………。」


 星山シキア

「ねぇ、夢ってどう思う?」


 真瀬志奈

「夢…………ですか?」


 星山シキア

「ええ……」


 真瀬志奈

「夢……。」


 星野シキア

「わからないならいつでもいいわ。その答え、いつかは教えてね。」


 真瀬志奈

「……わかりました。」


 夢……あまり考えたことはなかった。どう思う……一つ気になることは、星山さんが言かけた言葉…………


「叶うものも叶わ…………」


 叶うもの叶わないものもあると言うことだろうか。彼女にはきっと何かがあったんだろう。けど、会ったばかりの人間にそんなことを聞くことはできない。そんな私はこの空気を紛らすためにテレビをつけた。


 テレビをつけたらクイズ番組がやっていた。

 その番組には月川くんが言っていた風亥さんが出ていた。


 MC

「ということで本日の勝利はインテリ学生チーム!!」


 どうやら風亥さんのチームが優勝したらしい。クイズの台には名前が書いており風亥ノクア(かぜかい のくあ)という名前らしい。


 MC

「今回は風亥くん! きみが一番活躍していたね!」


 風亥ノクア

「ありがとうございます。キャプテンの十森(とおもり)さんにエールを送ってもらったのでリラックスしてクイズに集中できました。十森さんありがとうございます!」


 十森

「よせよ、照れるじゃないか。かわいい後輩の為だ。エールを送るのは当然だろう?」


 満更でもなくキャプテンの人がそう言う。この人はすごいチームメイトから信頼されているんだろうなぁ…………


 星野シキア

「それってあの風亥さんが出てる番組よね。確か毎回大人数のチームメイトから6人が選抜されているから毎週出てるってわけではないらしいわよ。」


 星野さんがそう言って私に話しかけてきた。


 真瀬志奈

「そうなんですね。」


 星野シキア

「あ、知らなかったの?あぁ…………そうか、タクトのやつに聞いたのね。」


 真瀬志奈

「はい…………」


 星野シキア

「タクトは確か風亥さんと同じ程度の学力だからもしかするとあそこにいても不思議じゃないのに、なんで音楽なんかに…………」


 星野さんはぶつぶつと言っている。そういえば星野さんは月川くんとどういう関係なのかをまだ知らない。


 星野シキア

「……何か?」


 真瀬志奈

「あ、いえ……別に……。」


 星野シキア

「…………?」


 今、関係を聞くのはやめておこう。まだ知り合ったばかりだからもっと仲良くなってからにしよう。


 星野シキア

「…………私は用があるから出かけるから。寝るなら先に寝てて。」


 真瀬志奈

「あ…………はい。」


 星野シキア

「さっきからそんなに硬くならなくても……もっとフランクにすれば良いのに。」


 星野さんは笑みを浮かべた。それなら私も期待に応えるべきだ。


 真瀬志奈

「うん、わかった。じゃあね。」


 星野シキア

「じゃあね。」


 星野さんは出かけて行った。私も曲のコンセプトをおさらいしてから寝ようと、曲についておさらいした。


 おさらいを終えたあと、私はスマホを見た。


 真瀬志奈

「充電しないと…………」


 そう呟いた私は眠りについた。

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