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colorful 〜rainbow stories〜 encore  作者: 宮来 らいと
第1部 柊木アイ編

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第2章 グレーな疑惑(柊木アイ編)中編

 六郭星学園 音楽室



 数日後の放課後……私たちはベースの練習を行っていた。飲み込みが異様なほどに早く、定番のJーPOPや最近話題のVtuberの曲のベースも弾けるようになってきている。


 柊木アイ

「どうかな……? 弾けてるかな?」


 真瀬志奈

「はい! 上達が早いです! これならきっと……!」


 柊木アイ

「これなら……って?」


 真瀬志奈

「はい。声優さんに合う作曲を考えていましたが、そのためには柊木さんの技術力も必要と考えました。その両方が合った曲を作ろうと思いましたが、この技術なら両方ともクリアしてます!」


 柊木アイ

「本当に!? その作曲聞かせて!」


 真瀬志奈

「はい! こんな感じです!」


 私は柊木さんに考えて作曲した曲を弾いた。

 柊木さんの反応は……


 柊木アイ

「すごくいい……! これなら声優さんも気に入ってくれるよ!」


 真瀬志奈

「ありがとうございます! ではこの曲のベースを練習しましょう!」


 柊木アイ

「うん! やってみよう!」


 こうして私たちは私が作った曲の練習に取り掛かった。

 柊木さんはとても楽しく練習に励んでいた。


 柊木アイ

「うん……こうかな……?」


 柊木さんの飲み込みはやっぱり早い。


 真瀬志奈

「そうです! その調子です!」


 これなら順調に曲の完成は十分に間に合いそうだ。


 そうだ。せっかくなら柊木さんとスキンシップを取るためにどこかに出かけてみようかな?


 柊木アイ

「ん? どうかしたの?」


 真瀬志奈

「いえ、この進み具合なら十分に間に合いそうなのでせっかくならどこか一緒に出かけましょうかなと……。」


 柊木アイ

「あ……ごめん。僕は学校以外でのクラスメイトの関わりは禁止されているんだ……。」


 真瀬志奈

「そう……なんですね……。」


 そう言われてみれば……あの時もそうだったな……。


 六郭星学園 Eクラス教室



 月川タクト

(アイ! よかったらみんなでカラオケ行かないか?)


 柊木アイ

(カラオケ? あー……)


 月川タクト

(ケントや真瀬さんとかも行くけど、どう?)


 柊木アイ

(ごめんね。今日は難しいや。)


 月川タクト

(そっか……。じゃあまた今度な!)



 六郭星学園 音楽室



 柊木アイ

「うん……母親から言われていてね……。お母さんの言っていることは絶対だし、僕も信じているから……。」


 真瀬志奈

「そうなんですね。わかりました……。」


 ??

「坊っちゃん。行きましょう。」


 柊木アイ

「じいちゃん?」


 そこには執事の東島さんがいた。


 東島

「せっかくの機会です。真瀬さんと遊びに行ってはいかがですか? 私が取り繕いますから。」


 柊木アイ

「じいちゃん……! わかったよ! 行ってくるね!」


 柊木さんはすごく嬉しそうだ。それにしてもどこに行こうか……?


 柊木アイ

「それじゃあ、僕が行きたかった水族館に行きたいな!」


 真瀬志奈

「水族館! 良いですね! 行きましょう!」


 柊木アイ

「じゃあ行こうか?」


 真瀬志奈

「はい! 行きましょう!」


 東島

「坊っちゃん。送り迎えはいかがいたしますか?」


 柊木アイ

「うーん……真瀬さんがよければ……。」


 真瀬志奈

「そうですね……。」


 柊木さんがいつも乗ってるか……。

 乗ってみたいか乗りたくないかといったら……もちろん乗ってみたい。リムジンの可能性もある。1度だけでも乗りたいと思っているから絶好のチャンス。


 真瀬志奈

「お願いします! 乗ってみたいです!」


 柊木アイ

「わかった! じいちゃん。お願いするよ。」


 東島

「ではでは。早速……」


 東島さんは車を取りに行った。


 リムジンに乗れる……そう思った……のに。



 六郭星学園 校門前



 真瀬志奈

「軽自動車……」


 まさかの軽自動車……。驚きを隠せない……。


 柊木さんは何かを察したのか、こう言った。


 柊木アイ

「じいちゃんだから、なるべく小回りが効く車をって思ってこれにしてるんだ。お母さんはリムジンだけど……僕にはこの車しか乗せてくれないんだ。」


 真瀬志奈

「結構厳しそうな人なんですね……」


 柊木アイ

「うーん……そうなるかも……? ……まあ行こうよ!」


 真瀬志奈

「そうですね。行きましょう!」


 私たちは東島さんの運転で水族館に向かった。



 六郭星水族館



 柊木アイ

「おお……これが水族館か……。」


 柊木さんは水族館の中を見て、驚きを隠せない様子でいた。


 真瀬志奈

「柊木さんは水族館は初めてですか?」


 柊木アイ

「うん。前から行きたかったんだ。特に見たかった魚がいてそれを見たいんだ!」


 真瀬志奈

「そうなんですね。じゃあ早速行きましょう!」


 柊木アイ

「うん! 行こう!」


 私は柊木さんに手を引っ張られる。本人はとても楽しそうな様子だった。


 柊木アイ

「あ! ほら見て、大きな魚がいるよ!」


 柊木さんはまるで少年のようで微笑ましかった。

 私はこのまま柊木さんの思うままに水族館を回った。


 そして、柊木さんの足が止まる。


 柊木アイ

「いた。僕が好きな魚……!」


 真瀬志奈

「本当ですか! ……この魚は……。」


 魚はクマノミだった。柊木さんはクマノミを見てとても嬉しそう。


 柊木アイ

「ずっと魚は青っぽいとか白っぽいとか思っていたんだ。だけど、テレビでクマノミを見てこんな色の魚もいるんだって思ったんだ。それから僕はオレンジ色が好きになったんだ。」


 真瀬志奈

「そうなんですね。テレビとかは見れるんですね!」


 柊木アイ

「……テレビも1週間に2時間だけ。それも決まったテレビ局しか見せてもらえなかったんだ。」


 そのことを聞いて驚愕した。柊木さん……とても厳しい環境で育ったんだな……。


 柊木アイ

「大丈夫。僕はお母さんとの仲は良好だからね。」


 真瀬志奈

「それなら……いいんですけど……。」


 そう言ったが、やっぱり私にとっては厳しすぎると感じる。そう思いながら私たちはクマノミの場所から離れていった。


 柊木アイ

「ごめん。少しトイレに行くね。」


 真瀬志奈

「あ、はい。ベンチで待ってますね。」


 私はベンチに座り、柊木さんを待つことに。そこに執事の東島さんがやってきた。


 東島

「真瀬様。お疲れ様です。」


 真瀬志奈

「あっ……東島さん。」


 東島

「本日はありがとうございます。私、坊っちゃんがあんなに楽しそうにしている姿は初めてでございます。」


 真瀬志奈

「えっ……。」


 やっぱりそうなんだ……柊木さん……。


 東島

「真瀬様。どうか、これからもよろしくお願いいたします。」


 真瀬志奈

「はい……。」


 そうだ。柊木さんのお母さまについて聞いてみよう。東島さんならわかるかもしれない。


 真瀬志奈

「あの……柊木さんのお母さまってどんな方なんですか?何か……されているんですか……?」


 東島

「……真瀬様。申し訳ありません。私の口からはなんとも……。」


 真瀬志奈

「そうですか……。」


 やはりあまり言えないのかしら……そこに柊木さんが戻ってきた。


 柊木アイ

「ごめんね待たせちゃって。次の魚を見に行こう!」


 真瀬志奈

「あ、はい! 行きましょう!」


 私はモヤモヤが残るままではあるが、水族館を楽しんだ。

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