第1章 青空の下で(柊木アイ編)中編
六郭星学園 Eクラス教室
柊木アイ
「おはよう!」
真瀬志奈
「あ……おはようございます。」
柊木さんが声を掛けてきた。
柊木アイ
「あのさ……課題の話だけどさ……。」
真瀬志奈
「あっ……そうでしたね。課題の作業やらないとですね!」
柊木アイ
「うん。それでさ……」
真瀬志奈
「はい……。なるほど……。」
昨日知り合ったにも関わらず、いつの間にか話に夢中になっていた。……そして、内容が決まった。
真瀬志奈
「これでいきましょう!」
柊木アイ
「うん! そうしよう!」
決まったのは料理だった。作るものはオムライス。互いに料理ができることからそうなった。
柊木アイ
「食材は僕に任せて! 色々と用意してくるから!」
真瀬志奈
「ありがとうございます!」
柊木アイ
「あとさ……楽器……弾けるんだっけ?」
真瀬志奈
「はい。なんでも弾けますけど……?」
柊木アイ
「あのさ、来年の3月に僕の母親がスポンサーのライブコンサートがあるんだ。」
真瀬志奈
「はい……。」
柊木アイ
「そこに声優さんが歌うんだけど、そこで新曲を作りたいって声優さんが言っているんだよね。そこで母親が僕がバラライカを弾けるのでって声優さんに言っちゃって僕が作ることになったんだ……真瀬さん……もし良ければ手伝ってくれないかな?」
真瀬志奈
「えっ……! 私がですか?」
柊木アイ
「やっぱりダメだよね……。」
真瀬志奈
「…………。」
私はしばらく考え込んだ……。考え込んだ結果、作曲のスキルアップになるだろうと思い、私は決意した。
真瀬志奈
「わかりました! 少しならお手伝いをさせていただきます!」
柊木アイ
「真瀬さん! ありがとう! 今回歌うのはこの声優さんなんだけど……僕はこの人の曲を作るとしたらバラライカじゃない方がいいかもしれないって思うんだけど、真瀬さん……申し訳ないけど、他の楽器の演奏教えてくれないかな?」
真瀬志奈
「うーん……この声優さん私も知ってますからバラライカはたしかに少し合わないですね……。教えるとしたら……ベースとピアノですかね?」
柊木アイ
「ベースとピアノか……。どんな感じなんだろう?」
真瀬志奈
「それじゃあ音楽室に行ってどんな感じなのか聞いてみましょうか?」
柊木アイ
「そうだね。今日の授業終わったら早速音楽室に行こう。」
真瀬志奈
「そうですね。実際に体験してみましょう。」
そうして、私たちは授業を受けて、終わりのチャイムと同時に音楽室に向かった。
六郭星学園 音楽室
真瀬志奈
「失礼します。」
柊木アイ
「誰もいないね。それじゃあピアノを借りようか。」
真瀬志奈
「そうですね。ピアノのはですね……。」
柊木さんにピアノを教えてみたがあまりピアノは得意ではない様子。ピアノを一旦やめてベースを弾くことにした。
柊木アイ
「ベース……こうかな?」
真瀬志奈
「あ……。すごい……。」
初めてにも関わらずベースを弾けている。これなら練習したらなんとかなりそう。
柊木アイ
「どうかな? 初めて弾いたけど……?」
真瀬志奈
「すごいです! 初めてなのに弾けるのはなかなかです!」
柊木アイ
「本当に!? ……ありがとう。嬉しいな。真瀬さんは弾けるの?」
真瀬志奈
「ベースですか? では見本を見せますね。」
そう言って私はベースを持ち弾いてみる。
そして、ベースを弾き終わると、柊木さんが唖然としていた。
柊木アイ
「すごい……! すごいよ!」
喜んでいる様子でした。その喜びに私は少し嬉しくなった。
真瀬志奈
「ありがとうございます。嬉しいです。」
??
「うん上手上手。」
真瀬志奈
「えっ!?」
柊木アイ
「うわ!ミカ!?」
そこにはアンパンを食べながら棒読みで褒めてくれた三つ編みの女子が立っていた。
古金ミカ
「アイの友達〜?私は古金ミカよろしく〜。」
真瀬志奈
「あ……はい……よろしくお願いします。」
柊木アイ
「ミカ! パン食べながら喋らないで!」
古金ミカ
「おお、アイがプンプンしている! これは逃げなきゃ。バイバーイ!」
柊木アイ
「あ……。逃げちゃった……。まったく、ミカははしたないな……。」
真瀬志奈
「あの、古金さんとはお知り合いなんですか?」
柊木アイ
「ミカ? …………うん。クラスメイトが六郭七富豪って言っていたでしょ。その七富豪の1つで古金グループってのがあって、そこの1人娘なんだけど……」
けど……?
柊木アイ
「はしたないところが多いんだ。人前ですぐプロレス技したりとかするし、さっきみたいに食べ物を歩きながら食べるから大変だよ……。」
真瀬志奈
「そうなんですね……。対応にお疲れのようですね……。」
柊木アイ
「うん……。まあ悪いやつではないことはわかるんだ。さて! ベースを練習しよう!」
真瀬志奈
「……そうですね。練習しましょう!」
作曲のため、ベースの練習をさらに行う。
柊木アイ
「うーんと……こうかな?」
柊木さんは練習にはかなりストイックということがわかった。完璧に弾けるように真剣に取り組む様子が見られる。
真瀬志奈
「そうですそうです! すごいです!」
柊木アイ
「よし、こうかな?」
真剣に取り組みながらもどこか楽しい様子で取り組んでいる。音楽が好きなんだな……
気がつくと時計は夜の7時になっていた。
柊木アイ
「ふう……こんな時間か……。夢中になっちゃった。今日はここまでにしよう。」
真瀬志奈
「そうですね。……そうだ。せっかくなので、明日は課題をやるためにお互いお昼のお弁当を作りませんか?」
柊木アイ
「あ、それ良いね! それじゃあ、寮の中にある購買部に行って食材買ってから帰ろう!」
真瀬志奈
「そうしましょう! 早速行きましょう!」
私たちは購買部に向かい、それぞれ食材を購入して自分たちの部屋に入った。
六郭星学園 寮 志奈の部屋
部屋は2人1組のペアがこの寮のルールであり、この時間帯ならもう相部屋になる人はもうこの部屋にいるだろう。
真瀬志奈
「失礼します……。」
部屋に入ると部屋の中には……
古金ミカ
「おお! あなたが私のルームメイトか! よろしく!」
真瀬志奈
「古金さん……!」
部屋にいたのは先ほど棒読みで褒めてくれた古金さんだった。
古金ミカ
「そんな固くならなくても! ルームメイトなんだから、気軽にミカって呼んでよ!」
真瀬志奈
「あっ……はい。すみません、私は真瀬志奈っていいます。よろしくお願いします。」
古金ミカ
「真瀬志奈って名前か……志奈っちよろしく!」
真瀬志奈
「志奈っち……? あ、はい。よろしく……お願いします。」
古金ミカ
「いやいや敬語とかいいよ! タメで行こうタメで!」
真瀬志奈
「あ……はい、あ、うん。よろ……しく。」
古金ミカ
「素直でよろしい! では、よろしく!」
真瀬志奈
「うん。」
うう……ハイテンション……少し苦手かもしれない……。
古金ミカ
「ふう……それじゃあ、私はお風呂入りに行きま〜す。あとは自由にくつろいでね!」
真瀬志奈
「うん。ありがとう。」
古金さんがお風呂に入ったあと、私はすぐに柊木さんのお弁当作りに取り掛かった。私は心を込めてサンドイッチと卵焼きを作った。




