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廃嫡の夜会――ある婚約破棄事件の顛末

作者: 佐倉美羽
掲載日:2026/02/09

■審問官に問われた貴族夫人の話

 ええ、あの口に出すのもおぞましい出来事を一番近くで見ていたのはわたくしですわ。

 昨夜の夜会で突然、王子殿下が衆目を集めて、こう言いましたの。

「アイリーン!俺はお前との婚約を破棄する!」(馬鹿にしたモノマネ)


 もうドン引きですの。この男はいったい何を言ってるのかと。周囲の貴族たちも凍り付いておりました。アイリーン様も自体が呑み込めないからかグラスを持ちながら固まっている始末。ですが、あの男と言ったらそんな様子を意に解さずに続けて、「そして、ここにいるエリスと結婚する!」(心底馬鹿にしたモノマネ)とのたまいましたのよ?信じられますか?横に連れ添った見たこともないお嬢さんの腰を引き寄せて、アイリーン様に向かって指を刺したんです。アイリーン様もやっと自体が呑み込めたのかワナワナと震えておりました。ええ。もちろん、私たちはすぐさまアイリーン様をかばいに行こうとしましたよ。ですが、いち早く動いたのはアイリーン様のお父様、メテウス卿でしたの。


「貴様!!これはいったいどういうことかっ!!」(威厳のある言い方)

 卿は今にも殴り掛からんとばかりに王子に詰め寄り、それをアイリーン様が身を挺してかばっていました。もうとんでもない迫力でして!それに、いつの間にかエリスとかいう女はいなくなっているし、怒声渦巻く中で経済封鎖してやるなんて言葉まで飛び交うものですから、会場はもう騒然。王子も自分が何をしでかしたのかわからないみたいに目を点にしておりました。そこで、やっと異変に気が付いた王妃様が兵を連れ添って事態を治めたんです。エリスがどこに行ったかですって?いえ、存じません。わたくしたちも怒り狂う卿をなだめるのに精いっぱいでしたので。正直、それどころではありませんでしたの。



■審問官に問われた第二王子リチャードの話

 やってくれたな、というのが本音ですよ。まさか兄があそこまで愚かだったなどと、信じたくもない。それに兄上の婚約者、アイリーンは四大貴族の一角、メテウス家のご令嬢です。たしかに、彼女はすこし出過ぎたところもありましたが、それでも血統、頭脳、それに器量。どれをとっても申し分ない相手だったはず。あの美しい鴉の濡れ羽色の髪は宮殿でも話題で……こほん、失礼。なるほど、なぜ兄があんなことをしたのか、ですか。ふむ。僕には正確なことはわからないですが、兄は何か思い詰めていたのかもしれません。正直に申し上げて、貴族たちの間には兄よりもアイリーンを評価する者もおりましたので。でも、だからってあんな……(沈黙)


 いえ、すみません。ええ、僕もその場にいたのですが、突然のことで声も上げることすら出来ませんでした。アイリーンにはとても申し訳ないことをしたと思います。まだ王室からの沙汰は降りていませんが、彼女には兄に代わって心よりお詫び申し上げます。はい。エリスという女に関してですね。僕も考えていたんですが、どこかで見たことはあるとは思うのですが、どうにも霞がかかったように思い出せないんです。申し訳ございません。あの事件の時、そう、メテウス卿が兄に詰め寄る直前、エリスは兄になにか耳打ちをして去っていきました。そこで僕はやっと正気に戻り、待てと声を上げたのですが、すでに会場は罵詈雑言が飛び交い混迷を極めており、エリスはあっという間に人の波に溶けていきました。こちらも捜査したいところではあるのですが、王室もメテウス卿への弁明に努めておりまして、どうにも。重ね重ね、アイリーンには気の毒なことをしたと思っています。僕が知っていることは以上です。あとは王室の公式見解をお待ちください。



■審問官に申し出て来た侍女の話

 申し上げます!申し上げます!自分、エリスの正体を知っているであります!あの子はちょうど5年前、アイリーン様が王子殿下と婚約したときに王妃様の侍女としてやってきた娘にございます。前髪を目元が隠れるほど垂らし、ひどい猫背でボソボソと話す侍女でしたが、それはもう、立派なものをお持ちで……。あ、いえ。違うんです!たわごとではなく!どちらかと言えばたわわでして……。おお、お待ちください!お許しを!どうかお聞きください!自分も先般の夜会には給仕として控えていたのですが、あのご立派なものを自分が見間違えるわけがございませぬ!顔に関しては髪を上げており見覚えのない美人さんでしたが、間違いありません!栗毛の髪とそれはもうご立派な……。こほん。つまり、エリスは王妃付きの侍女にございます!ん?じゃあ、その侍女は何者かって?うーん……。さぁ?



■審問官に問われたジュノー王妃の話

 いいえ、侍女は大勢おりますので、覚えてないわ。それに、王室が誰を侍女に雇おうが、勝手ではありませんか?第一、夜会で侍女がドレスを着て第一王子の隣に並び立つ?冗談はよして頂戴。いったい誰がそのドレスを用意するのですか。……時間の無駄ね。さっさとエリスの逃亡先でも見つけに行きなさい。



■アイリーン=フォン=メテウスの告訴

 ええ、今思い出しても腹が立ちます。あんな仕打ち生まれて初めてでした。

 わたしの婚約者、今となっては元婚約者ですが、エドワードがまさかあんな馬鹿な殿方だったなんて、まったく見下げ果てた男です。

 あの人と婚約して5年になりますが、思い返してみても、とんでもない大バカ者でした。重大な決断は先送りするし、責任からは逃げるし、なにかとオドオドしているし、弟のリチャード第二王子を見習って欲しいものです。ですが、私はあの人に極刑を望みません。あの人はきっと騙されたのだと思います。あのエリスとかいう女に。


 夜会の前日のことです。ここ帝都の宮殿で久しぶりにエドワードと会ったのですが、なんだかソワソワと落ち着きがないではありませんか。視線は泳ぎ、呼吸もなんだか苦しそう。

「どうしましたか?具合が悪いのですか?」と私がお聞きしても目も合わせない。はい、私の従者もその様子を見ております。たしかにエドワードは私といる時はいつも、なんと言うか、卑屈っぽくて、自信なさげでしたのに、その時ばかりはなんだか違う気配を感じました。いうなれば、初陣前の新兵のようで。あの時にはもう決心していたのでしょう。きっと、私がいないときにあのエリスという女にそそのかされていたのでしょうね。その決心が政治的に自殺することだとすら、思い当たらないように。長い時間をかけて……(目を尖らせながら)


 ええ、本当に馬鹿なことをしたと思います。知っての通り、帝国は度重となる戦続きで経済的に余裕がない。王室も我々四大貴族と婚姻することで権威と経済補助を受けているというのに、それを反故にするなどと。あの男は私個人を敵にまわしたのではなく、メテウス家を、もっと申し上げれば四大貴族全員を敵に回したということに気が付いていないのでしょう。このような前例を作ってしまえば、もう誰も王室と婚姻しようだなんて思いませんよ。父上も面子を潰されてカンカンです。今も四大貴族で会議を開いていますからね。何を話しているかですって?さぁ?それはご想像にお任せします。


 事件のことをお話します。そうです。夜会での出来事です。ええ、突然のことでした。私がグラスを持ちながら、フェルネスト家のご息女と会話を楽しんでいたところで、急にエドワードが大きな声を出して視線を集めたのです。何事かと思いました。だって、正式な結婚の発表はまだ先でしたから。見てみると隣にいたのは知らない女。薄茶色の髪をした知らない女がいたんです。ええ、エドワードの腕に媚びるように、はしたなく胸を押し当てながら縋り付いていました。そして、しなだれかかりながらエドワードに何かを耳打ちしたのです。私に対してじっとりとした視線を向けながら。


 こんなことを申し上げると、あなたは私を残酷な人間だとお思いになるのかも知れません。ですが、それは審問官殿があの女の顔を見ていないからです。特にあの一瞬の、燃え盛るような瞳を見ていないからです。私はあの女と目を合わせたとき、たとえ地獄の業火に焼かれようとも、この女を殺さねばならないと思いました。醜悪に歪んだ目、勝ち誇ったように吊り上がる口。薄汚い畜生のように見えました。父は家の面子を汚されたと感じ、すぐにエドワードに詰め寄りました。私も当然そうするべきでしたのに、それとは違う、怒りを感じていたのです。……ええ。女として負けた。その屈辱が私の理性を焼き払っていきました。その事実を、私は今でも認めたくありません。恥ずかしさ、悲しさ、腹立たしさ、その時の私の心の中は、なんといえば言い合わせばいいのかわかりません。今までに感じたことのないドロリとした汚泥が、胸の内からせり上がってくるようでした。何とか理性を繋ぎとめて、血相を変えている父を止めようと必死になっていたところ、ほんの一瞬、一瞬ですよ?目を離したら、あのエリスという女は初めから居なかったように人込みの中へと消えていったんです。もう勝負はついたとでもいうように、去っていった。私は喧騒の中でほんの夢うつつのうちに、唇を噛んでいました。絶対に許せない。


 ことによるとエドワードは謹慎ののちに、修道院に幽閉されるとのことです。私は彼の言い分次第では、事情を斟酌して口添えをしてあげることも視野に入れています。あの人は、愚かでしたが、私を害そうとはしなかったですので。ですが、あのエリスという女は違います。見つけ次第、拷問の末に極刑に処します。死体は城門から吊り下げ、ご自慢の美貌を皆に見ていただこうと思っています。はい。今、メテウス家の軍が総力を挙げて探しておりますので、見つかるのも時間の問題でしょう。(陰鬱な笑み)



■第一王子エドワードの懺悔

 ――エリスは俺の理解者でした。彼女は言ったんです。「堂々と選ばない男を、誰が王として認めますか?」と。エリスと出会ったのは5年前のこと、ちょうどアイリーンと婚約するときに、配属になった女性でした。ええ、侍女です。彼女と目が合ったときに、稲妻に討たれたような衝撃を受けましたよ。運命の女に出会ったと、俺はそう思いました。彼女もそうであったようで、俺たちは水滴が一つになるように、引き寄せられていきました。エリスだけが、本当の俺を見てくれた。俺を慰めてくれた。俺こそ王にふさわしいと言ってくれた。父上でも母上でもリチャードでもアイリーンでもなく、俺がこの国の支配者になるのだと、ふさわしい器だと言ってくれた。だからこそ、俺はあのアイリーンと婚約破棄し、エリスを妻にする必要があったのです。


 アイリーンはいつも俺を見下した目で見てきました。いつも、しっかりしろ、すぐに決めろと俺をせっつくのです。そして、決まって俺がアイリーンの思った答えとは違う選択をすると、彼女は失望したようにため息をつく。それが、どれだけ辛かったか、どれだけ俺の心を削いでいったのか、審問官殿にはわかるまい。それに、なお許せないのが、アイリーンのリチャードを見る目です。弟が何かを言えば、じっと聞き入るようにあいつを見る。いつも張り詰めたような空気を纏っているのに、その時ばかりはうっとりと顔を上げるのです。俺には一度もそのような視線を送ったことはないというのに。これを裏切りと言わずしてなんと言いますか。ですが、俺は、何も言うことが出来ません。ただ、妬ましさに身もだえしていたのです。


 ええ。エリスは逃げましたよ。でも、どこに逃げたのかは、どれほど拷問されようとも、たとえ指先から心の臓まで切り刻まれようとも言うつもりはありません。耐えるのは得意ですからね。俺とエリスは愛し合っているんです。アイリーンとは育まれなかった真実の愛。エリスは言ってくれました。王族としてではなく、俺自身を愛していると。俺は彼女の愛に応えたい。そして、俺はおそらく王室から追放されるでしょう。ですが、必ずエリスが迎えに来てくれる。そう約束しています。


 はい、あの晩のことは今でも夢に見ます。俺が「皆の者聞け、静まれ、静まれ。話を聞け。王子エドワードが諸君に訴えることがある」と言ったとき、皆が俺を王を見る目で見ていました。貴族たちが集まる夜会の喧騒は水を打ったように静まり返り、会場はたちまち王の御前となったのです。ええ、震えるほどの万能感と這いよる恐怖が背を伝いました。でも、エリスが俺を勇気づけてくれたのです。これこそが愛ですよ。だからこそ、俺はあの時、英雄となれたのです。皆が固唾を飲んで次の言葉を待っていました。空気の流れすら支配下においた、絶対的な空間の中で、俺は胸の内に巣くっていた暗雲を断ち切るように言ってのけたのです。「アイリーン!俺はお前との婚約を破棄する!」と。


 アイリーンは驚愕に目を見開いていましたよ。初めて、あの女を出し抜いてやったと、そう思いました。ついに言ってやったと、心の中で快哉を上げ、体中に心地の良い電撃が走りました。いつもリチャードと並び立って俺を蔑んだ罰を、彼女は受けるべきなんです。だからこそ、とどめとばかりに「そして、ここにいるエリスと結婚する!」と言ってやった。俺は真実の愛を見つけたのだと、言ってやったのです。たちまち、アイリーンの顔が真っ赤に染まり、自慢の黒髪も逆立ち、眉は天井を貫かんばかりに吊り上がっていきましたよ。いい気味です。


 ……ええ。王室の経済状況は知っています。ですが、それよりも目下解決すべき事態があります。わかりませんか?四大貴族は力を持ちすぎている。今や王命すら届かないほどに。これは由由しき事態ですよ。父上も母上も現状を全くわかっていない。王族たるものが貴族に及び腰だなんて、あってはならないことだ。俺は王威を示すために、あそこで意見する必要があった。誰が主人で誰が臣下なのかをはっきりと示す必要があったのです。後悔はしていません。俺が身を賭して、この国の王家の威信を復活させられたのなら、光栄の極みです。


 その後は大変でした。メテウス卿が鬼神の如く詰め寄ってきたので、俺は身の危険を感じて、すぐさまエリスを逃がしました。命よりも大切な女性ですから。彼女はそっと俺の耳に礼と愛をつぶやいて去っていきました。それにしても会場のあの狂乱っぷりは異様でしたよ。だれかが囃し立てているかのように、怒りの渦が大きくなっていきました。まったく、メテウス家をはじめ四大貴族の力が強すぎる証左ですよ。このままでは今に取り返しのつかないことが起こるでしょう。……どうしてそう思うかですって?エリスは落胤した貴族の娘です。ええ、貴族の横暴によって生まれた被害者なんです。この国には、エリスのような民が大勢いる。エリスはいつも嘆いていました。ならば、それを救うのは王家の役目。違いますか?……それが真実かどうか?そんなことは、俺にはどうでもいい(失笑を浮かべながら)



■四大貴族ザラド=フォン=ロメロの見解

 ああ。エリスの死体は我がロメロ領で見つかった。あの夜会には私も参じていたので顔は分かる。死体の顔とドレスも一致していた。間違いない。

 部下の報告を受けて使いとともに見に行ったのだ。死体は街道のはずれにある藪の中に、仰向けに倒れていた。首には深々と刃を突いた跡、夥しい血が流れたようで、草は赤く乾いていた。手元には血の跡がべっとりとついた短刀が転がっていた。エリスも逃げられないと悟ったのかもしれん。間違いなく自害だろうよ。喉笛をずぶりと一突きし、力任せに引き抜いた。軍人故、誰よりも死体を見て来たからわかるのだ。


 結局、身元は分からずじまいだった。エリスという名が本名なのかも怪しい。いったいどうやって王室に潜り込んだのか。エドワード王子殿下を骨抜きにしたのかさっぱりわからん。アイリーン嬢も気の毒でならんな。あれほど血眼になって探していたのに、結末はあっけないものであった。だが、死体を辱めることは神もお許しにならんのでな。こちらで処理させてもらった。


 この間、四大貴族で会議を開いたのだが、メテウス卿も乱心して話にならなかった。賢人と言われた御仁が机を叩きつけながら怒りをあらわにしていたぞ。あれほどの知恵者に大しけの如き波風をたてるとは、まったく大した毒婦よ。だが、これは王家も被害者なのではないかと私は思う。ああ。会議で話していたのもそのことだ。アストラ―ド殿とガラテア殿は訝しんでいたが、今こそ貴族家として王家を支えねばならない時でないかと私は思う。そう、エリスの手に握られていた短刀は王城の備品……どうして彼女が持っていたのか、これがどういう意味なのかは貴君の想像に任せよう。だが、私の考えでは、エリスは隣国から送られてきた諜報員だったのではないかと思う。つまり、いうなれば王家を混乱させるための政治的刺客だ。到底許せぬ不届き者よ。


 これからロメロ家は王家とメテウス家の亀裂を執り成し、再び一つに繋いでいく所存だ。辛抱強く話せばアストラ―ド殿もガラテア殿もきっとわかってくれるだろう。私が言えることは以上だ。太陽の国に栄えあれ。神の名の元に。



■ローデリカ審問官最終報告書

 本件は、関係人物エリス(身元不詳、以下「当該人物」という)の自死、および王室による一連の対応措置の実施をもって、事実上の収束を見たものである。


 事件発生当初においては、四大貴族を含む諸貴族の間に王室に対する不信感が顕在化し、統治秩序の安定を損なうおそれのある緊張状態が認められた。しかしながら、王家は速やかにメテウス家に対する名誉回復措置を講じるとともに、エドワード王子による一連の行為が王室の公式意思に基づくものではない旨を声明として公表した。


 これらの対応により、当該緊張は段階的に緩和された。特に、四大貴族の一角であるザラド=フォン=ロメロによる調停的関与は、貴族社会の沈静化に一定の効果をもたらしたものと評価される。ロメロ家は伝統的に軍事を主軸とする家系であり、帝都中枢における政治的発言力は限定的であったが、本件を契機としてその影響力を拡大させたことは客観的事実である。


 また、被害関係者であるアイリーン=フォン=メテウスに対しては、第二王子リチャードが継続的に訪問し、謝意および遺憾の意を表明した。これらの行為は公式記録に基づくものであり、その後、両名の婚約が成立したことについても確認されている。


 一方、エドワード王子については、王室の判断により謹慎および療養措置が公表され、その後、修道院への移送を経て、廃嫡処分が正式に決定された。


 以上の経過を踏まえ、本件は帝国史上、政治的・社会的影響の大きい事案であることは否定できない。しかしながら、メテウス家が王室との成婚を契機に本件に関する訴えを正式に取り下げたことを受け、法王庁としての調査および審問は、ここに終了とする。


 なお、当該人物エリスの身元および関係性については、確証に足る資料が存在せず、現時点においてこれを特定することは不可能である。


 以上。


(完)

ここまでお読みいただきありがとうございました。

エリスの正体はわかりましたか?

わかった方は是非感想欄で教えてください。ご評価もいただけましたら小躍りして喜びます。

佐倉美羽


▼本作品が気に入っていただけだなら、こちらの短編もオススメ!似たテイストで、しっかり悪が滅びる物語です。本事件の間接的な答えになるかも?それか、ただのミスリードかもしれません。良ければどうぞ。

https://book1.adouzi.eu.org/n4068lr/

『「もう会うこともあるまい」と手紙で私を捨てた元婚約者様へ。あなたが食べたそのお菓子、毒よりおそろしい「真実」が入っていました』

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― 新着の感想 ―
エリスの正体はロメロ卿からの間者かな?ロメロが王家の仲裁をすることで四大家の中で抜きん出るのが目的とか。 それか第一王子を見限ったアイリーンと第二王子の共謀か。 どっちにしろ王家の最適解は相性悪そ…
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