表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
目のはなせない子  作者: Aju


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

16/17

16 説明できない?

「逃げよう。いつ犯人が戻ってくるかもわからない。」


 実を言えば俺はもう少しこうしていたかったが、せっかくここまで脱出できたのに、ここで犯人に見つかったら元も子もない。


「どっちへ?」

 涼子も顔を上げて俺を見た。


「坂道を下る方へ行こう。たぶんそっちに町がある。」

 俺たちは坂を下る方向に、ひび割れて所々草の生えたアスファルトの道を進んだ。

「途中、車の音が聞こえたら藪の中に隠れるぞ。」

 助けを求めたらそれが犯人の車だった、なんてことになったら洒落にならない。

 とにかく町に出るまでは、誰にも見つからない方がいい。


 やがて予測したとおり、木々の隙間から眼下に町並みが見えるところに出た。

「よし。走ろう。民家があったら、とにかくそこに飛び込んで助けを求めよう。」

 俺と涼子は手をつないで下り坂を駆け出した。


 最初に見つけた民家は留守のようだった。

 中からテレビの音が聞こえるが、インターホンを押しても全く返事がない。

 玄関の引き戸に手を掛けると、からっと開いた。


「ごめんくださーい。誰かいませんかぁ?」


 テレビの音しか聞こえない。テレビがつけてあるのは「留守ではない」という用心のつもりなのかもしれない。

「不用心だな。」


 田舎のお年寄りはこんなもんなのかも、と思いながら門を出ると、そこに人がいた。

 お巡りさんだった。


 助かった!


「あー、君たち。ここで何をしてるのかな? ちょっとポケットの中を見せてくれるかな?」


 職務質問?


 ちょ・・・ちょっと待て。

 ポケットの中には・・・・。


「見せられないようなものかね?」

 お巡りさんの目が鋭くなる。


 いや・・・これは・・・・

 どう説明したら・・・?


「お兄ちゃん見せて! それ、あたしのですから!」

 後ろで涼子の声がした。

 俺はそろそろと、ポケットの中身を引きずり出す。

 ブラジャーとパンティ・・・。(°◇°;)


 お巡りさんが、それと涼子をかわるがわる見る。

 そして、目を泳がせた。


 見つけたんだろう。

 涼子のTシャツの胸のところのツンツン。


「き・・・君たち、年は・・・?」

 別の想像をしたらしい。


「19歳と18歳ですけど、何か? それより、あたしたち誘拐犯から逃げてきたんです! 助けてください。」


「逃げてきた? 誘拐犯?」

 再びお巡りさんは、引き締まった職業顔になった。



 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ