表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
89/232

4-19 魔物狩り体験アトラクション

「次はどうします?」


 城戸女史は少し思案して、

「こちら側のダンジョンはどうなっていますか? 昨日見せてもらった21ダンジョンはこちらのようにはなっていませんでしたが」


 おお、勇気ありだな。

「21ダンジョンで、中にお入りになったのですか?」


「え、ええ。それがどうかしまして?」

 腰に手を当てて、頭だけ振り返って聞き返してきた。お、ちょっと立ち直っていたか?


「ダンジョンの魔物は米軍防衛線を抜けて、いきなり後ろにポップしてくる場合がありますので。気を付けないと俺の時みたいな大変な事になりますよ。最低限の武装はしていかないと」


 城戸女史の顔がみるみる青くなった。

「米軍はそんな事は一言も……」


「自国の政治家とかが来たんならともかく、日本の関係者ですから。まあ、適当に相手してくれたんでしょ。日本の入り口では滅多に出ませんがね。靴も婦人用のを履いていましたよね。せめてスニーカーにしないと。トレッキングシューズなんかも悪くはないです」


 城戸女史はなんとも言えない表情をしていたが、決意したようにのたもうた。

「入ります。ええ、ええ、入りますとも。見ていかないと仕事したことにならないでしょ!」


 そうかもしれないな。じゃ行くか。

「人数増えましたので、高機動車にしますよ」


「それだと何か問題でも?」


「今までは人数ギリギリで軽装甲付きのハンヴィーを使用していたんですけど、高機動車は基本幌なので防御力に欠けます。そして武装も、ハンヴィーに付けている12.7mm機銃が付かなくなるので」


 また城戸さんが引き攣った顔をしていたが、しょうがない。適当に行くか。

 全員無事に乗り込めたので、指示を出した。


「佐藤、適当な通路に入ってくれ。昼飯には戻りたいな」

「あいよ」


 どんどん進んでいって、さっそく発見したので俺が降りた。イーグーの群だった。また補充しておくか。


 軽機を腰だめに、いつもの如くにぶっぱなしまくった。城戸さんはずっと耳を塞いでいた。今日のは52体で終わった。全て回収して、持ってきた1体を出して城戸さんに見せた。


「お、大きい。すごく毛むくじゃらだし。血、血塗れだわ。動物虐待って言われないかしら」

 それは新鮮な意見だ。探索者ギルドで是非その旨演説してほしいな。


「これ、まだ小さい方なんじゃないですか?」

 日本の街に出たのは、もっと小さいのがいたな。そういや、どっかで小さい奴も見かけた覚えがある。


「おい、そろそろ時間だけどどうする?」

 時計を見ながら池田が聞いてきた。


「うん、戻るか。飯にしようぜ」


 俺達はダンジョンの外へ出た。そう深くは潜っていないので、30分もしたら陽光の元へと戻ってきた。城戸さんが生き返ったような顔をしている。


「あなた達、よくあんなダンジョンの中で平気ね。暗いし、なんだか息が詰まるわ」


「ライトがつくだけマシですよ。実際の走行訓練ではライトつけられないですよ。敵の的になっちゃいますから。見えないようなら暗視装備もありますので。夜間走行訓練では普通に使っていますね。魔物は撃ち返してこないだけ気が楽ですよ」


 敵が撃ってくるんだったら、最低でも装甲や防弾ガラスのついたライトアーマーとかに乗らないと。


「お昼は屋台で食べますよ」

 あたりで軒を並べている魔物肉屋台を眺めながら城戸さんに通告する。


「あの、何の肉を使っているのかしら」

 不安そうに恐る恐る聞いてきたので、スッパリと答えてやった。


「もちろん、魔物に決まっているじゃないですか。何、当たり前な事を」


「すいません、食欲が無いので、お昼は抜きでお願いします」 

 なんか泣きそうな顔をしている。


「ねえ、どれがお勧め?」

 川島は、目を輝かせて物色している。


「俺の一押しはあれかな。俺が初めて食べた奴。ボリュームもあって、結構うまいぜ。栄養満点な感じだし。値段は大銅貨5枚な、俺の分も頼む」


「よし! それいこう」

 銭は持たせてあるんで、俺が指さした屋台に自分で買いに行った。


「城戸さん、本当に食べなくていいんですか? こいつは日本で買おうと思っても買えないんだ。高いのは100gで20万円ほどするし。大金持ちが先を争って、買ってくれていますよ」


 肉はちゃんと魔法で処理してから出してある。回復魔法で殺菌して、寄生虫の有無もファクラの力で見ているのだ。みんな、各自で飯を買いに走った。


 あんまり意地の悪い事を言ってもなんなので、城戸さんには日本で仕入れたサンドイッチのセットとパックのジュースを渡しておいた。


 俺が出しておいたテーブルセットに力なく腰掛けていたが、しょぼしょぼとサンドイッチを摘まんでいた。


「どうですか、この異世界は。日米の関係者の中でも、自衛隊員以外に連れてきたのは、あなただけですよ」


「なんていうか、もうお腹いっぱいです。早く帰りたい……」

「いや、お仕事はしないと。後で、店を回ることにしましょうか」


別作品ですが、「おっさんのリメイク冒険日記 ~オートキャンプから始まる異世界満喫ライフ~」

http://book1.adouzi.eu.org/n6339do/

も書いております。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ