表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

26/273

act.26 オートマトンの役割


「どうしてそんなことが出来るようになってるのよ!」


 結合……イグナールにはいまいち想像がついていないが、モニカにはそれが何であるかが分かっているような言動だ。


「なぁモニカ結合ってなんだ? 俺にはさっぱりわか――」

「イグナールは知らなくていいの!」


 モニカは彼の言葉を食い気味に制し、ハンカチをイグナールの顔面に叩きつけた。その騒動に店の視線が集中するが、それすらも意に介さず話を続ける様子のマキナ。


「最も効率のいい方法であり、命懸けの戦いにおいて、精神的負荷を和らげ安定を図るための機能でございます。命の危機に瀕したあまねく生物は子孫繁栄のための行動に、突き動かされるものだと記憶しております」


 表情を変えず淡々と説明するマキナの言葉、「子孫繁栄」にさすがのイグナールも思い当たる知識があるのか、顏を紅潮させて黙々とハンカチでモニカに吹きかけられた水を拭く。


「そして最も重要なのは、貴重な無属性因子の検体採取であると記憶しております」

「そ、それってマキナはそれでいいわけ⁉」

「それが私が製造された目的の一つでありますので、不満といった感情は持ち合わせておりません」


 彼女は古代技術と魔法で生み出された人形である。あまりにも人と変わらない外見に騙されそうになるが、徹頭徹尾1つの目的のために造られた存在なのだ。


 そう考え至る自分に、僅かな違和感を覚えるイグナール。しかしその違和感の正体は判然としない。


「うむーあんまり納得が出来る話じゃないわね」


 モニカはマキナの考え、製作者によって与えられた意思について文句があるようではあるが、ここでどうなるものでもないので、歯噛みしながら押し黙った。


「ま、まあ他に方法があるようで俺は安心したよ」


 彼女のエネルギー補給とやらが毎回あんな調子では俺が持たない……それに突然の出会いと成り行きでマキナの目的もはっきりとしない。彼女は自分が魔王討伐のための存在と言っていた。それを成すためならば俺が必要となってくる……俺を利用し――


 いや、今はそんなことを考えるのはやめておこう。お互い魔王討伐の目的を持っていて、マキナには俺の魔力が、俺には彼女の情報が欲しい。マキナの存在がどうあれ、俺がいないと生きていけないと言うならば、手を差し出すべきだろう。


 イグナールは一通り自分の中で、考えをまとめる。そして今後の方針について話し始める。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ