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スケープゴート
どこにもいけない
ここにさえいられない
君の背中を追い続ける
そんな夢を見ていた
目覚めたらいないと
知っているから
このまま覚めなくても
いいのかな、誰か教えてよ
君の着ている服も
君の真っ白な肌も
少しずつ失いかけて
僕もどこにいる?
夢の中で山羊にあった
「まだ長いさ、でもお仕舞いさ」
手をとって振り向かせても
君の髪が邪魔でなにも見えない
少しずつ消えてゆく残像、偶像
景色すら真っ白に染め上げられてゆく
うさぎは言った「もう終わりだ」
なにも聞こえないから
ずっと走ってきたけれど
もう君の姿はない
この記憶が抜け落ちてゆく
そんな怖さに僕は体を震え
歩みを止めて呼吸をして
目が覚めるまで繰り返そう
何もない夢の中




