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デスゲで俺は最強スライム  作者: まめ太
第六章 ソード オブ ジャスティス
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第八話 裁判Ⅱ

「本当に……、」

「もういい、どいてろ、エリス。」

 なんだか、健気さが哀れで、観てられなくなる。


「景虎……、ご、ごめんなさい、わたし……、」

「いい。解かってたから。どうせ誰かに命令されて、仕方なくやってんだろうってくらいは解かってた。ここに居る、向こうからの合流組も、お前と似たような立場だ。みんな、解かってるさ。」


 見回せば、皆、神妙な面持ちで彼女の告白に耳を傾けていた。誰もが、本来は彼女のように善良なプレイヤーばかりなんだ。この極限の状況で、自分を見失っちまうのは仕方ない、誰に責められるもんじゃない。

 人間なんてのは、弱いもんなんだから。


 けど。

 それとこれとは話が別って言ってな。


 やった事に対する責任は、誰もが取らなきゃいけない。有耶無耶には出来ない。

 さぁ、裁判の続きだ。本題に入ろう。


     ◆◆◆


「あの仕組みを言いだしたヤツって言っても……誰が言いだしたかなんて、解かるわけないよ。」

 適当に指名した男プレイヤーは、しどろもどろでそう答えた。

 俺達が寝返り組をここへ集めた本当の理由を知って、連中の中には動揺が走っている。


「噂くらいは聞いてるんじゃないの? 脱出するのに金を取ろうなんて考えるのは、幾らなんでも非常識だもの。そんな事を言いだした時点で、誰が言ったかくらいは聞くもんじゃない?」


 犯人捜しだ。

 これを有耶無耶にするつもりはないからな。


 別にいいんだぜ? ルシフェルのせいにしても。

 実際は犯人じゃなくても、こっちは一向に構やしない。そう思って聞いてんだが、今のところは誰もヤツを悪しざまに言ったりはしない。洗脳が深いうちは、ヤツを庇い続けるんだろう。

 エリスが不安げな顔で成り行きを見守っていた。


「ほ、本当に知らないんだ。いつの間にかそういう話になってて、上層部が認めたんならって……。」

「ルシフェルたちは賛同したのね? つまり、連中はグルってこと?」

「ち、ちがう! 上層部は唆されただけなんだ、きっとそうだ! あ、思い出した、アイツだ! アイツが言いだしたに決まってる! アイツはがめつい金の亡者だから、きっとアイツだ!!」


 そして、スケープゴートの名が上がる。

 数名の、普段から転売などで知名度を上げていたプレイヤーが槍玉にあげられ、この場に居ないヤツを除き、居合わせたヤツ等は必死に弁明を述べた。

 だが、悲しいかな、今までが今までだからな。誰も信じやしないんだよな。


「俺は入知恵なんかしてない! 他のヤツがどうかは知らないけど、脱出に金取るなんて、さすがにそこまで悪どい事は考えないよ! 最初に聞いた時に驚いたくらいなんだ! 信じてくれ!」


 どうだかな、なんて陰口が寝返り組の連中の中から聞こえた。

 じろりと睨んでやれば、すぐにざわめきは収まる。


「証拠不十分、てとこか。実際、提案を聞いた連中や、提案しそうな古参連中は降伏しないで逃げちまったからな。ま、連中が観念してこっちと合流したら、そん時にでもはっきりさせよう。それから、こっちはもっと深刻な話だ。……誰が、売春斡旋を始めた?」


 こっちこそ、有耶無耶には出来ない最大の問題だ。


「被害者が多数出てる。中には未成年も居る。未成年と知った上で買春しやがったアホウが居るってことだ。」

「デスゲーム中のことだから……、多くは不問にされるって、だから……、」

「そ、そんなの言いだしたら、色んな微罪が出てくる! 向こうに居た連中は全員有罪ってことになるじゃないか! そもそも、売ってた方はどうなるんだよ!」


 後ろめたい何かを隠しているヤツほど、必死になって食い下がってくる。売買に関わったか、カツアゲか、イジメか、叩けば埃が出て来るんだろう。


「やかましい、」

 低い声で脅しつければ、途端に収まる。

 お前らも、そろそろ熱が冷めて正気に戻ってきたんじゃないのか?


「この際、微細なところはいいんだよ。売春は一番ヤバい、これだけはキッチリ片を付ける。」

「し、証拠なんか取れないじゃないか! もともとバグだし、テント内のログも取れないし、誰も言わなきゃ問題になんてしようがない! 普通の状態じゃなかったって、そっちが言いだしたんだぞ!」


 ああ、そうさ。お前たちは正常な判断力を奪われた状態に置かれていたって、前置きで確かにそう言った。事件が終わって、警察の捜査に引き継がれたあとも、全容解明は難航するだろうさ。

 デスゲーム中のことは多くが不問になるってのも、よく聞かれることだ。バーチャルの世界でのことだし、生死が掛かった異常事態なわけだし、世間も多少のことは目を瞑るだろう。


 だが、俺等が心配してんのは、世間だの警察だのじゃねぇんだよ。

 バグテント使用で、ログという明確な証拠が出ないって事自体が危険極まりないって言ってるんだ。


「解かった。これくらいで止めといてやるよ。お前らのことはこっちに合流ってことで、了解は取ってる。ただし、今、俺らが追及しなくても、問題が表面化すりゃ嫌でも警察が動くだろうから、その時は覚悟しとけよ?」


 俺の言葉に過剰反応する奴らが、俺たち三人の位置からは丸解かりだ。後ろ暗い奴等、てことだ。


「そ、それって、どういう意味だよ?」

 一人が恐る恐ると質問を返した。


「一人二人の被害者じゃない。それに関わった……買春した客はもっと多く居るってことだ。被害者たちは、今回の件は内密に収めたいそうだが、客になったヤツの誰かが騒ぎを起こしたら、穏便には済まなくなる。その辺のことを言い含めておこうと思ったから、ここにわざわざ集めたんだよ。お前らを。」


 俺の説明に、また連中はざわめき始めた。ようするに、これはアフターケアってヤツだよ、気付けよ、鈍感共。アホウだと気付かないアレコレを詳細に忠告してやってんだよ。


「バーチャル犯罪に関しての法律ってのがあるのは知ってるよな? 今回の件は、ソイツに抵触するって言ってんだよ。」

「バーチャル内のアダルティな関係については、保障されてるだろ!」

「未成年に対しての強制猥褻、脅迫、関係の強要、非行行為への誘導、他にも色々と付いてくんぞ。中身はプログラムの疑似人格じゃないんだからな。」


 もちろん、こうして話してる裁判内容も運営データとして着々と記録が残されていってる。



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