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デスゲで俺は最強スライム  作者: まめ太
第四章 イン ザ ダークネス
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第七話 価値ある人Ⅰ

 まだルシフェルたちに対する畏怖の念は拭えていないが、なんとかなつきは自身の判断を取り戻した。

 他者に支配され、言いなりになる状態は脱却した。安全の保障、それをなつきが心から納得したからだ。

 俺は、誰よりも強い。それが保障に繋がる。


 まぁ、ルシフェルの支配から、俺に鞍替えしただけとも言えなくもないんだけどな。

 自力で立つ力を削がれたなつきにはまだ、誰かの支配という外骨格は必要なんだ。


「じゃあ、街へ戻るよ?」

『ああ。もし、訝るヤツがいたらこう言え。道具屋に駆け込んでいた、なんとか隙を見てようやく逃げ出せた、ってな。』


 街のエネミーは、無理にやり合おうとしなければ、逃げおおせることは可能だ。

 城門の外に居る連中はみんなそうやって逃げたヤツばかりだろうし、話を聞いてなければ一度は街に入るだろう。

 確認はしてないが、恐らく、少なくはない人数が中で、雑魚戦闘から復活地点ボス戦のコンボ食らって死んでるな。


「街から出たら、どうしたらいいの? 仲間みんなに見つかったら、また殴られると思うんだけど。」

『俺は痛くも痒くもないから大丈夫だ。俺を被ってるお前も痛みはない。痛いフリしとけ。まぁ、面倒臭いから、見かけたら隠れよう。街を出たら指示を出す、とにかく出よう。』


 ちょっと気になるテントがあったんだ。アレの確認をしたい。


 首から上を、ちょうど潜水服のヘルメットみたいな形に丸く膨らませ、頭頂部に空気穴を残して完全になつきを包み込んだ。アホ犬の例のスキル以外はこれで無敵状態。

『OK、出ていいぞ。』

 首元にメモをちょいと出して促す。


 銀行を出て、走ってアホ犬の索敵範囲から抜け出たら、一安心だ。

 ダンジョン中心部にあたる銀行一帯のエネミーは、城門付近の奴等以上にレベルも戦闘力も桁外れな奴等で、それこそエカテ姐さんやネロクラスの廃人が数人がかりでなければ倒せない。


 スフィンクスに気付かれて、追いかけられる。

 のっそのっそと、歩いてるんだか走ってるんだか解からんほどの鈍いスピードのモンスターだ。

 盾職は【光の翼】という移動補助スキルを、デフォってほど、必ず付けてる。盾ってのはスピードが無いとやってられん役目だから、当然なつきもこのスキルを持っていて、発動させていた。

 駆け足のなつきにスフィンクスが追いつくことはない。徐々に引き離され、そのうちUターンして帰っていった。


 なつきの周囲にはトレイン状で多くのエネミーが群れている。

 最初はビビっていたなつきも、ビクともしないスライムの膜に守られている事に、そのうち慣れたようだった。


 エネミーは、あまりに持ち場から離れてしまうと、ある程度の時間経過で勝手に戻っていくんだ。

 寄ってくるエネミーと、引き返していくエネミーと、群れてくるエネミーとで、場は大混雑した。


 最初は盾で殴りながらどけていたなつきも、しまいにゃ両手で掻き分けながらって感じになって進む。

「んもー! ゴーレム、邪魔!」


 二体のゴーレムが通せんぼ。その間の僅かな隙間をよっこらしょと通り抜ける。

 さっきから、ゴーレムの丸太のような腕がなつきの頭を思い切り殴り付けているわけだが、ぼよんぼよんと音が鳴るだけだ。柔らかい皮状の俺は、なぜかゴーレムには潰せない。表面が波打ってるだけだ。


 プログラムの判定次第だから、リアルの方程式で考えると、どういう状況だって感じなんだが。俺を被っていてもなつきは自由に走り回れる。そんで頭上をボコボコ殴られているのにまるで効かないって状態は、リアルの法則では矛盾した状態ってことだ。指で摘まめるほど薄く柔らかいのに、ゴーレムの攻撃にはビクともしないんだ。


 どんどん進んで、ついに城門が見えてくる。

 なつきの足元は、真っ白ってほどに骨犬だらけだ。

「これ、どうするの!? このまま突っ切っていいの!?」

『OK、フィールドチェンジと同時にフルフェイス外すから。』

「解かった!」


 門へ飛び込む。同時に俺は頭部を覆っていた膜を鎧内部へ引っ込めた。

 飛び出してきたなつきを、数人のプレイヤーが一斉に視線を向けて注視した。けれど、さして興味もないのか、すぐに顔を背け、それぞれの作業の続きに戻る。


 どうやら巧くいった。

 あれこれしてる間に朝になっちまってたようだが、まぁ、問題はない。


「朝の仕事があるから、しばらくじっとしてて。」

 こそっと、周囲に怪しまれないようになつきが言う。


 仕事?


 デスゲ状態の時に増えた経験値やら金銭ってのはもちろん、運営が取り上げたりはしないものだけど、この状況でそんな事に血道を上げてるような奴は居ないだろ、普通。

 俺らがレベル上げしてんのは、必要に迫られてだが、こっちでもなんかしてるってことか?


「薬草摘みしないと。ノルマがあって、ボクは100本を午前中に収めないといけないんだ。」

 人目を気にしつつで、なつきが教えてくれる。

 やっぱりこっちはこっちで攻略準備を進めてるってことか。


「午後からは峠フィールドで資金稼ぎしないといけないから、それが終わってからでいい? 付き合うの。」


 資金って。800人からがあくせく稼いだ金額って、相当だぞ、おい。

 攻略に資金? なんだ、それ?



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